テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 薔薇色の、夢とまぼろし ~

2025-02-27 22:03:51 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 はるのいろとォいえばァ、それはァ~…」

「がるる!ぐるがーるる!」(←訳:虎です!断然ピーンク!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 春を告げる色――

 それはやはり、日本に於いては《桜色》でしょうか。

 それとも、梅の花の《薄紅色》でしょうか。

 さあ、本日の読書タイムは、

 色をテーマとするこちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

           ―― 色の物語 ピンク ――

 

 

 著者はヘイリー・エドワーズ=デュジャルダンさん、

 原著は2021年に、日本語版は2024年3月に発行されました。

 仏語原題は『ROSE DE BOTTCELLI À CHRISTO』、

 『ボッティチェリからクリストまで』と日本語副題が付されています。

 

 先日は『色の物語 赤 ROUGE』をご紹介しましたが、

 こちらは『ピンク』……というよりも、

 仏語原題の『ローズ』、

 つまり『薔薇色』と呼ぶ方が感覚的に近い、かもしれません。

 

「はなのォ、おうさまッ!」

「ぐるるがる!」(←訳:それが薔薇!)

 

 姿よし、香りよし、

 ローズウォーターや精油など

 美容にも効果が高く、

 実は乾燥させてお茶に、と

 『薔薇』は古代から人類にとって

 最高の有用植物でした。

 

 であれば、

 麗しいあの『薔薇色』を、

 身近に置きたい、身に纏(まと)いたいと思うのも

 無理からぬところです。

 

 この御本に収録されている古今の名画には、

 女神ヴィーナスの衣、

 聖ヨハネのマント、

 貴族の礼装、

 貴婦人のドレス等々、

 『薔薇色』が効果的に使われています。

 

「めだつゥ~!」

「がるぐるがるぅる!」(←訳:つい注目しちゃう!)

 

 画家さんの側からすれば、

 『薔薇色』の衣服を描くのは不可能ではありません。

 基本は、白と赤、それに少々の青の絵の具。

 それだけあったら、『薔薇色』は作れる。

 

 むしろ問題なのは、『薔薇色』の布地です。

 

 帝政時代のローマや、平安時代の日本――

 古代でも、布地を『薔薇色』に染め上げることは出来ました。

 ただし、

 染め上げた『薔薇色』を

 美しい発色のまま維持できるか、となると、

 容易なことではなくて。

 

「いろあせェ、しちゃうゥのでス!」

「ぐるがるるるるるる……」(←訳:褪色するんだよねえ……)

 

 日光を浴びても、洗濯しても、

 時間が経っても色褪せしない、

 鮮やかな『薔薇色』。

 

 この御本には載っていませんが、

 劣化しない『薔薇色/ピンク』を作ろう!と奮闘した

 或る学者さんがいました。

 

 その人の名は、ジャン=アンリ・ファーブルさん。

 

「ふんころがしィのッ?」

「ぐるがるるるる?」(←訳:昆虫学者さんの?)

 

 ええ、『昆虫記』で知られる、

 あのファーブルさんです。

 

 昆虫学者であるファーブルさん、

 実は化学の教師であり、

 植物学の研究もしていて、

 アカネの根から粉末染料を作成する実験に

 成功していたんです。

 

 現在『マゼンダピンク』と呼ばれている

 紫がかった濃いピンク色は、

 19世紀の当時、

 それまで存在しなかった全く新しい色、でした。

 

 もしも新色の染料を完成させたら、

 大ヒット間違いなし!

 我が家の経済状態もきっと好転する!

 ファーブルさんはそう信じ、

 研究に邁進したのですけれど。

 

 ドイツの会社が開発した化学染料の前に、

 ファーブルさんの天然染料は、敗退。

 

「あうゥ………」

「がるる~…!」(←訳:悔しい~…!)

 

 ファーブルさんが夢見た『薔薇色』の幻。

 

 本国フランスでは

 忘れ去られてしまったというファーブルさん。

 この御本でも

 ファーブルさんの挑戦に関する記述はありませんが、

 せめて私たちは、少しでも、

 功績の一端でも憶えていられたら。

 

 ああ、お喋りが長くなってしまいました。

 歴史好き方々、

 アート好きな活字マニアさんは、

 (ひそかなファーブルさんの思い出とともに)

 どうか、ぜひ、一読を♪

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