テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 宝玉と、異界のまぼろし ~

2016-08-01 22:00:51 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 もはやァ、なつのォ、ますとあいてむゥでスよゥ!」
「がるる!ぐるるがるーるぅ!」(←訳:虎です!アイスクリームぅ!)

 こんにちは、ネーさです。
 いまや贅沢品ではなく、盛夏の必需品といえるのは
 アイスクリーム&かき氷!
 ふぅ~…ようやくクールダウンしたところで、
 さあ、読書タイムです。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



           ―― 玉妖綺譚 ――



 著者は真園めぐみさん、2016年5月に発行されました。
 創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作品であり、
 著者・真園さんのデビュー作でもあるこの御本は、
 ちょっと“パラレル”な日本を舞台にした
 ファンタジー作品です。

「ここであッてェ、ここでないィ?」
「ぐるるがるぐるー!」(←訳:似てるけど違うー!)

 イメージしていただきたいのは、
 明治か大正時代の日本、でしょうか。

 私たちがよく知る、この日本とそっくりのようですけれど、
 ここには……
 魔法の気配がある?

「まほうゥ!」
「がるるぐるる?」(←訳:どんなどんな?)

 いえ、そのね、
 ホウキやデッキブラシに魔女さんが乗って
 空を飛んでいるわけじゃありませんよ。

 この世界に存在する不思議なもの、というのは、
 竜卵石(りゅうらんせき)と呼ばれる石と、
 その石に宿る
 玉妖(ぎょくよう)という精霊です。

「ほうせきィみたいなァものォ、でスかッ?」
「ぐるるがるる!」(←訳:きれいだねえ!)

 異界と現実の世界の間に産出する竜卵石。

 でも、世にも稀なる石を手に入れたら、
 自動的にパワフルな精霊=玉妖がくっついてくる、
 ってことはなくて。

 竜卵石の持ち主は、
 精霊を自分で育てなくてはなりません。

 美しい音楽を聴かせ、
 美しい絵画を見せ、
 と、一流の芸術に触れさせて、
 そうしてやっと、
 石に宿る精霊=玉妖も
 美しい姿かたちを得てゆくんです。

「そうなるとォ、いしはァ~…」
「がるるぐるる!」(←訳:引く手あまた!)

 ええ、そうです。
 需要あれば、供給あり。

 しかし、世の中には“売り物”でないものもある、んですね。

「ひばいひんッ!」
「ぐるるるがるるるるる!」(←訳:お金には代えられない!)

 高崎綾音(たかさき・あやね)さんは
 或る事情から
 《くろがね》という竜卵石を所有することになりました。

 名前の通り、
 中心部は漆黒で、しずく形の石でした。

 そして綾音さんの姉・百合乃(ゆりの)さんは
 《ほむら》という竜卵石の所有者となります。

「わひゃッ! きらきらァでスゥ!」
「がるぐるる!」(←訳:石も玉妖も!)

 《ほむら》は、
 それはそれは美々しい真紅の石であり、
 見目麗しい玉妖を宿していたのですが。

 美し過ぎるがために、
 思わぬトラブルが?

「こまッちゃッてまスねェ、あやねちゃんッ!」
「ぐるがる!」(←訳:解決困難!)

 玉妖の美しさに、
 すっかり魅入られてしまった百合乃さん。

 玉妖恋しさに異界へ踏み入り、
 現実世界に帰ってこようとしない姉を
 綾音さんは必死に連れ戻そうとします。

 けれど、異界では現実世界の常識が通じない……?

 どうしたら、姉の目を覚まさせることが出来るのか?

「まほうゥみたいなァ、ちからにはァ~」
「がるるぐるるる!」(←訳:魔法で当たろう!)

 魔法には魔法で。
 玉妖には玉妖で。
 綾音さんが求める解決策とは――

 宝玉に宿る魔性の、或いは聖なるちから。
 古来から様々な物語に描かれてきたテーマを
 著者・真園さんは新鮮な異界譚に織りあげています。
 ファンタジー作品好きな方々に、
 SF好きさんに、
 そしてもちろん宝石好きな活字マニアさんにも
 おすすめですよ♪
 夏休みの読書はフィクションで行くぞ!という御方も、
 ぜひ一読を~! 


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