今の本館はそのままで残せないのでしょうか?
ホテルオークラ、アートの塊 ハウエルも惜しむ、モダンと伝統の美
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6152208
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150306-00000003-withnews-cul
withnews 3月8日(日)10時0分配信
ホテルオークラ、アートの塊 ハウエルも惜しむ、モダンと伝統の美
「アートの塊」と言われるホテルオークラ東京の本館ロビー
日本モダニズム建築の代表格「ホテルオークラ東京」の本館が、建て替えのため8月末で閉館します。日本の伝統美がつめこまれ、「1万8千坪の芸術」のキャッチフレーズで1962年に開業しました。外国人客からも愛され、30年来定宿にしてきたマーガレット・ハウエルさんは建て替えを考え直してほしいと訴えているほどです。最近は、アートや建築に関心のある若者らがカメラ片手に次々と訪れるようになっています。
【画像】麻生太郎氏が首相時代に通った超高級バー「オーキッドバー」、棟方志功原作の照明、ジョンレノン席
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誰にでも開かれたロビー
ホテルオークラ東京は、帝国ホテル社長などを務め、大倉財閥当主だった大倉喜七郎氏が私財をなげうち、美を究めた建築物です。設計委員会は谷口吉郎氏ら5人が結集。当時第一線で活躍していた日本画家や華道家などによる意匠委員会も設けられました。
特徴的なのはロビー。公共の場と考え、誰にでも開かれたスペースです。あえて喫茶室にはなっておらず、梅の花の形に並べられたイスとテーブルでは、ビジネスマンが打ち合わせをする光景も見られます。
やわらかい落ち着いたムードで、居心地がよいと評判のロビーですが、静けさと間接照明のランタンがもたらす効果かもしれません。
ロビーに喫茶など商業スペースを設けなかったのは、食器の音やスタッフが動き回る音が出てしまうからです。フロントやエレベーターも奥まったところにあり、ざわつきが遮られるようになっています。
ランタンは「オークラ・ランターン」と呼ばれ、古墳時代のネックレスなどに使われた切子玉がモチーフです。内側に和紙がはられ、光を和らげています。窓からは麻の葉文様の木組スクリーンと障子越しに陽光が差し込みます。
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麻生太郎氏の御用達「オーキッドバー」
オバマ大統領はじめ歴代の米大統領やシラク仏大統領ら外国の要人らが宿泊しています。開業当初は9割近くが外国人客でした。ハリウッド・スターのユル・ブリンナー、ジョージ・チャキリス、チャールトン・ヘストンらが宿泊した記録が残っています。
また、高円宮憲仁さま・久子さまの披露宴や中村勘九郎さん(当時)の結婚式、江川卓投手の巨人入団会見なども行われました。さまざまな歴史を刻んできたのがわかります。麻生太郎氏が首相時代、連日の高級バー通いで話題になった一軒「オーキッドバー」もあります。
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withnews 3月8日(日)10時0分配信
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雨ざらしになった色も計算
外装を担当したのは小坂秀雄氏。なまこ壁は、特注の平瓦をコンクリートの壁に張りつめ、目地には白いタイルをつけています。三角形の鱗紋のタイルは、雨ざらしになったら変色するのも計算して、特注されました。
建物は東翼・南翼・北翼の3翼からなる三ツ矢式建築で、どの部屋からも窓の外の景色が眺められるようになっています。日本で初めて導入されました。
建築美としては、派手な桃山式ではなく、平安時代中後期の洗練された優美さを基調にしています。ホテル内を歩くと、壁や仕切りなど、さまざまな文様が目に入ります。当初20種類が使われましたが、改修などを重ね、今では把握できないそうです。代表的なのは菱とイチョウです。菱は大倉家の家紋(五階菱)、イチョウはホテル用地にもともとイチョウの木が多かったことにちなみます。
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客室は機能を追求し西洋式
公共スペースであるロビーなどには和にこだわりましたが、宿泊する客室は機能性を追求した西洋式です。お客様が心底くつろげる空間にするためです。最も工夫されたのはバスルームで、出入り口の敷居も段差もなくし、傾斜をつけることで湯水が流れ出ることを防ぐ設計になっています。また、日本で初めてバスルームに電話が取り付けられたそうです。
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別館にはジョン・レノンが通ったバーも
1973年に建てられた別館は営業を続けます。この別館にもオークラ・ランタンをはじめ、本館と同じ意匠がちりばめられています。
ジョン・レノンが通ったバー「ハイランダー」も別館にあり、いつも座っていた席は「ジョン・レノンシート」として残っています。ジョン・レノンはお酒は飲まず、アフタヌーンティーを楽しんでいたそうです。
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建物しのぶアーティストやデザイナー
本館の建て替えを巡っては、反対する声もあります。ボッテガ・ヴェネタのクリエイティブディレクター、トーマス・マイヤー氏もInstagramでオークラにちなんだ写真の投稿を呼びかけるプロジェクト「#MyMomentAtOkura」を始めました。「匠の技と魔法が詰まったこの建物への関心を広めたい」という呼びかけに、歌手の野宮真貴さんやモデルのKIKIさんやが写真をあげています。
歌手の矢野顕子さんは「本当に惜しい」とツイートしています。
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2019年春に再開業
本館は8月末で営業を終え、2019年春に再開業します。11階建ての本館を取り壊し、38階建てと13階建ての2棟を建てます。
開業時は港区の高さ制限があり、低層になったそうです。今回は都の緑化規制で敷地内に緑を増やす必要があるため、同じものには建て替えられないそうです。新たな本館にも意匠やコンセプトは引き継がれるため、同ホテル広報課では「伝統を引き継いだ新たなオークラを楽しみにしていて下さい」としています。従業員たちは再開業までの間、海外の系列ホテルを含め、各地で研鑽を積む予定です。
建て替えへの賛否はありますが、語り継がれる建築であることは間違いありません。ホテルオークラ東京は「公共性」を大切にしているため、用がなくてもふらりと訪れることができます。こだわりを味わいに一度、探訪してみてはいかがでしょう。
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http://casabrutus.com/special/japanese-modern-architecture/my-memory-of-okura
MY MEMORY OF OKURA
世界中から続々エールが! 「なくならないで、私のオークラ」
「東京で滞在するならオークラ」と、建築からファッション界まで幅広い支持を集めるホテルオークラ東京。愛してやまない人々が、その思いを綴ってくれました。
text_Megumi Yamashita (Margaret), Mika Yoshida & David G. Imber (R&W, Sean)
“ロビーに入った瞬間から感じる60’sのデザイン”
オークラは、ロビーに入った瞬間から1960年代のデザインを感じられる素晴らしい場所です。バルコニー付きの客室に泊っていましたが、徐々にモダン化されていくホテルを興味深く見ています。世界中のどのホテルも部屋は素敵ですが、テレビが大きくなったり、パソコン用のプラグの数が多くなったりして、部屋が小さくなったように感じます。そうした理由から、ホテルも建て直しを強いられるのでしょう。ロンドンは古い建物を残すことに成功していますが、それを美しいと感じる人もいれば、好まない人もいます。しかし、クリエイティブな仕事をしている人たちが宿泊したいと思うのは、オークラなのではないでしょうか。
from:
ポール・スミス
ファッションデザイナー。1970年〈ポール・スミス リミテッド〉を設立。2000年にはデザインの勲功により「サー」の称号を授与される。ファッションのみならずデザイン全般に広い見識を持つ。
“かけがいのない象徴として保存されるべき”
半世紀にわたり、ほぼ手つかずで保たれているオークラは、私たちにとって1960年代の日本へのタイムスリップそのもの。ここには、日本のもてなしの心と、洗練された国際的デザイン感覚との完璧な調和があります。極上の安らぎをもたらす、シンメトリーな内装や建築。泊まるたびに見入ってしまう「オークラ・ランターン」。〈オーキッドルーム〉でボトルキープした《響》を味わいながら、敬愛してやまないミッドセンチュリーの時代へと旅するひとときは、至福そのもの。20世紀デザインと豪奢さとが融合するオークラは、グローバルな美的体験およびデザインの、かけがえのない象徴として保存されるべきだと思います。
from:
ローマン&ウィリアムズ
LA出身スティーブン・アレッシュ(左)とNY出身ロビン・スタンデファーからなるインテリアデザイナー・デュオ。NYエースホテルの内装をはじめ、住宅や店舗、映画美術など幅広い分野で活躍。
photo: GION
“今もなおアバンギャルドなデザイン”
5、6歳のころに初めてオークラに行きました。ロビーにいる自分をとても小さく感じたのを覚えています。オークラのサイズ感と美しさに圧倒されたのでしょう。オークラの風情や、静かな雰囲気が好きなので、改築されると聞いたときは少し残念な気がしましたが、きっとよりスタイリッシュになるんだろうなと思います。オークラも、オープン当初は他のホテルに比べてかなりアバンギャルドなものだったに違いありません。今もなお斬新に見えます。壁紙の厚みから、ほんのり暗くて暖かみのある照明、回廊のスケール感などが醸し出す空気感は形容し難いものです。改築後も、特別な存在になるに違いないと思います。
from:
黒木理也
〈メゾン キツネ〉クリエイティブディレクター。1975年東京生まれ。12歳のときパリに移り住む。99年、建築の国家資格を取得。2002年、ジルダ・ロアエックとともに〈メゾン キツネ〉を設立。
photo: Alice Moitié Horiz
“モダニズムの秀作。未来に残すべき文化財では?”
モダニズム好きの私にとってオークラは本当に気持ちよく滞在できるホテル。80年代から年に2回ずつ、いつもここに泊まってきたので、建て替えとはショックです。いつも変わらずホッとできる独特の雰囲気は、建設当初のデザインを流行に左右されず大切に保持し、年月をかけて慈しんできたからこそ。窓が開けられない客室が多い昨今、ここでは窓を開け、東京にいることが肌で感じられます。オリンピックなんて短期間のイベントのためにそれを壊してしまうなんて残念でたまりません。幸い別館はそのまま営業とのことですが、この日本のモダニズムの秀作は未来に残すべき文化財。そのことをもっと認識してほしいものです。
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from:
マーガレット・ハウエル
ファッションデザイナー。1970年よりメンズ、ウィメンズ服を発表。83年に青山店をオープン以来、定期的に訪日する。手工芸的要素を尊重し、雑貨や家具を含むライフスタイルを発信する。
“自分の美的感覚に合う、居心地のよい場所。”
最初にオークラを訪れたのは、5年ほど前です。ファサードはじめ本館ロビー、〈オーキッドバー〉などのデザイン、ホテルで提供されるサービスが、自分の美的感覚に合い、居心地良く感じました。すべてがとてもシンプルで洗練されています。2013年東京にショップをオープンした際、〈オーキッドルーム〉でディナーを催しました。オークラに滞在する際はいつもここで朝食をとるのですが、インテリアや照明などすべてが気に入っているので、この場所をぜひ皆さんにも体験していただきたいと思ったからです。本館が取り壊されるのは非常に残念です。20世紀半ばに壊されたニューヨークのペンシルベニア駅を思い出しますね。
from:
トム・ブラウン
ファッションデザイナー。2001年、カスタムメイドの服を作り始め、04年メンズRTWコレクションを開始。13年に、アメリカ・ニューヨークに次ぐショップを東京に開いた。
photo: Todd Jordan
“モダニズムの「聖なる殿堂」だ。”
初めて泊まったのは10年前。とにかく惚れ込んだね。地球上で最も美しい宝石の一つと呼んで過言じゃない。魅力は2点に集約される。まず、見る見る失われつつあるモダニズムが、ここでは完璧に保たれていること。もう一つ、すべてがキメ細かく行き渡る国ニッポンにおいても、オークラの美意識の精緻さは、ひときわズバ抜けていること。いわば完璧に調律が施された楽器のようだ。ル・コルビュジエは居住空間を「マシン・フォー・リビング」と称したが、まさに「究極なまでに精巧なモダン・マシン」を僕は体験できた。オークラは「日本モダニズムの好例」ではない。モダニズムそのものの聖なる殿堂なんだよ。
from:
ショーン・マクファーソン
ホテリエ。バワリー・ホテル、マリタイム・ホテル、ラドロウ・ホテルなど、街の文化を塗り替える空間を次々と送り出してきた。デザインも自らが手がけている。カリフォルニア出身、NY在住。
photo: Naho Kubota
“オークラ本館が取り壊されるのは悲劇。”
1989年に初めてオークラに滞在しましたが、モダニズム建築の形を取りながら、日本的要素を随所に取り入れている空間に大変感銘を受けました。外の庭を望む低い窓、障子越しのほのかな光、漆のテーブル、低い椅子……。オークラのディテールは時を経ても美しさを保っています。20世紀の歓びと楽観主義的側面を反映しながらも、そこに浮ついた軽さはありません。オークラの本館が取り壊されるのは悲劇です。素晴らしい音楽のように、優れた建築はあらゆる世代に訴えかけます。他の方法を模索して、子供たちに受け継ぐべきです。建築は他の芸術と同様に、特別な価値をもつものです。次世代に伝えるべき宝物なのですよ。
from:
スティーブン・ホール
建築家。1947年アメリカ生まれ。76年NYに〈スティーブン・ホール・アーキテクツ〉を設立。日本では福岡ネクサスワールドで住宅棟を手がける。2014年度高松宮殿下記念世界文化賞受賞。
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海外から「ホテルオークラを救え」の声 プロジェクト始動〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150208-00000005-sasahi-life
dot. 2月8日(日)16時12分配信 .
ボッテガ・ヴェネタのトーマス・マイヤー氏が、あるプロジェクトを始めた。ホテルオークラ東京本館の建て替えを止められないか、というのだ。
トーマス・マイヤー氏は、ファッション界を代表するクリエイティブディレクター。1980年代に初めて日本を訪れて以来30年以上、「ホテルオークラ東京」を利用してきた。特に本館の建築物としての美しさが、彼を惹きつけている。
「車寄せには低い屋根がせり出していて、玄関を入りロビーに進むと高い天井から照明が垂れ込め、急に明るく視界が広がる。そこには極端に低い家具が配置されていて、ここにしかない世界が目の前に現れる。これほど特別な空間は世界を探してもそうはない」
そのオークラ本館が取り壊される。今年8月で閉館し、38階建てと13階建ての2棟に建て替えられるという。2014年5月に計画が発表されると、国内からの惜しむ声以上に、海外のファッション、アート界から、メディアやSNSを通じて「セーブ・オークラ(オークラを救え)」の声があがった
オークラ本館は、日本モダニズム建築の代表格。マイヤー氏はオークラ本館に、建築物としての歴史的な価値に加えて「日本人の戦後の歴史と文化」を見ているという。オークラ本館の建て替え計画を新聞で知り、悲痛な気持ちになったというマイヤー氏。
「自分の思いを日本を訪れたことのあるクリエーターや建築家とシェアし、多くの人が同じ気持ちだとわかった。自分たちにも何かできるはずだと思いました」
そこで、日本のモダニズム建築への関心を高め、未来に継承していくためのプロジェクトを始めた。金沢21世紀美術館でのシンポジウム後援や、SNSを使ったキャンペーン「#MyMomentAtOkura」だ。
静かに始まったプロジェクトはじわじわと浸透。「#MyMomentAtOkura」とハッシュタグを付けてツイッターやインスタグラムにオークラ本館の写真を投稿すれば、誰でも参加できる。
※AERA 2015年2月2日号より抜粋
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光と影が織りなす美 ホテルオークラ東京本館
半世紀の歴史に幕 2015/2/14
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO82983430Z00C15A2000000/
ホテルオークラ東京は1962年に開業した。国内外の多くのVIPが定宿にする。宿泊客をとりこにするのが、本館ロビーに象徴される落ち着いた空間だ。その演出をしているひとつが、日本の伝統美を凝縮した本館内外の様々な意匠。「オークラ建築」を見るために宿泊する客も少なくないという。
建築家・谷口吉郎設計のメーンロビーはとりわけ秀逸な空間だ。居心地のよい柔らかな光を演出する照明は「オークラランタン」の愛称で親しまれ、ホテルオークラを象徴するインテリアとなっている。古墳時代の飾り玉に見られる切子型を模した5つのランプを連ねている。
建て替えのため8月末に閉館するホテルオークラ東京本館(東京都港区)
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建て替えのため8月末に閉館するホテルオークラ東京本館(東京都港区)
フロアに並ぶテーブルと椅子は中二階から見ると梅の花のように配され、和洋が調和した世界を生み出している。今も開業当時と変わらない。違いといえば、灰皿がなくなったことぐらいという。
ロビーの東側は一面窓ガラスで、朝はフロアに陽光が差し込む。時間と共に刻々と日差しが変化し、光と影のハーモニーを奏でる。障子越しに現れる竹のシルエットは、建築の中に自然の要素を取り入れた日本らしい美しさとなっている。
建て替えで2019年春に開業予定の新本館は地上38階、客室数約550室のタワーホテルになる。ホテルオークラは「現在のメーンロビーの雰囲気を継承したものにする」という。
館内の様々な意匠を動画と写真に収めながら、生まれ変わる本館がオークラの伝統美をどのように再現するのだろうかと想像した。現代のデザインと建築技術の力が試される。
(映像報道部 斎藤一美)
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日本の紋様とホテルオークラ
http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/special/50th_anniversary/japanese_patterns.html
ホテルオークラ東京ホテル コンシェルジュ
http://www.concierge.ne.jp/600selection/hotelokura-tokyo.html
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オークラはなぜ今、建て替えを決めたのか
背中を押したのは東京五輪だけではなかった
http://toyokeizai.net/articles/-/38554
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ホテルオークラ東京 本館 建替のお知らせ(PDF)ホテルオークラ東京(2014年5月23日)
http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/images/notice_2014_0523.pdf
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さようなら、ホテル西洋 銀座 26年の歴史に幕 http://dot.asahi.com/wa/2013041900022.html