フランス映画「ミモザの島に消えた母」を観にいった。
「ミモザの島」と呼ばれる風光明媚な避暑地で、謎の溺死を遂げた母。10歳のアント
ワーヌは心に大きな傷を負い、妹のアガットは母の思い出を記憶の中から消し去った。
それから30年、家族の中で母の話はタブーとなり、再婚して新しい家庭を築いた父は
過去を完全に封印した。しかし、そんな生き方に疑問を抱いたアントワーヌ(ローラン・
ラフィット)は、母の死の真相を追い始めるが、辛い過去から目を背けて生きてきた
アガット(メラニー・ロラン)は兄に対して苛立った態度を取る。
ミステリー仕立ての人間ドラマである。原作者は「サラの鍵」の作者であると知って納
得した。アントワーヌは40歳になるが、30年前に不審な死に方をした母クラリスのこと
が気になり、大人になりきれていないような男性である。それに加えて離婚や失業など
の不幸に見舞われる。彼は30年前の真実と向き合わなければ前へ進めないと考え、
母の死の真相を探り始める。だが父と祖母は母の死について頑なに口を閉ざし、「父
と祖母は何かを隠している」と言うアントワーヌに、妹のアガットは考え過ぎだと言う。
家族にとってタブーになっている話を持ち出したことで、アントワーヌは父や祖母と対
立し、孤立していく。
アントワーヌは少しやり過ぎな面もあるが、私が彼の立場だったら、やはり同じことを
したと思う。10歳の時母は何故死んだのか?その真相を父と祖母は何故話さないの
か?父と祖母はずっと秘密を抱えて生きてきたのだ。それを知りたいと思うのは子供
の立場として当然である。妹のアガットは真実を知るのが怖いために、知ろうとしない
が、それでもアントワーヌの味方でいてくれる。離婚後にできた恋人も。やがてアガット
は、アントワーヌの長女の悩みを聞いたことがきっかけで、30年前のある光景が蘇って
くるのだった。
母クラリスはかわいそうな人である。彼女の人生は何だったのかと思うと、気の毒で
たまらない。ネタバレになるので書けないが、彼女を死に追い込んだ人物を、私だっ
たら責めて罵ってやりたい。だがそれは間に合わなかった。アントワーヌとアガットは、
その悔しさを昇華できるのだろうか。私なら一生憎み続けるし、責められなかったこと
を一生後悔し続ける。
主人公の母の死の秘密や妻子との問題など、重たい要素が詰まった、なんともやり
きれない物語だった。アガット役のメラニー・ロランは美人だが、「イングロリアス・バス
ターズ」でもかわいそうな役だったなあ。あんなかわいそうな展開にしなくてもいいのに、
と思ったものだ。
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http://blog.goo.ne.jp/mikawinny/e/39963da8d92318efca4d594d67de3967
「ミモザの島」と呼ばれる風光明媚な避暑地で、謎の溺死を遂げた母。10歳のアント
ワーヌは心に大きな傷を負い、妹のアガットは母の思い出を記憶の中から消し去った。
それから30年、家族の中で母の話はタブーとなり、再婚して新しい家庭を築いた父は
過去を完全に封印した。しかし、そんな生き方に疑問を抱いたアントワーヌ(ローラン・
ラフィット)は、母の死の真相を追い始めるが、辛い過去から目を背けて生きてきた
アガット(メラニー・ロラン)は兄に対して苛立った態度を取る。
ミステリー仕立ての人間ドラマである。原作者は「サラの鍵」の作者であると知って納
得した。アントワーヌは40歳になるが、30年前に不審な死に方をした母クラリスのこと
が気になり、大人になりきれていないような男性である。それに加えて離婚や失業など
の不幸に見舞われる。彼は30年前の真実と向き合わなければ前へ進めないと考え、
母の死の真相を探り始める。だが父と祖母は母の死について頑なに口を閉ざし、「父
と祖母は何かを隠している」と言うアントワーヌに、妹のアガットは考え過ぎだと言う。
家族にとってタブーになっている話を持ち出したことで、アントワーヌは父や祖母と対
立し、孤立していく。
アントワーヌは少しやり過ぎな面もあるが、私が彼の立場だったら、やはり同じことを
したと思う。10歳の時母は何故死んだのか?その真相を父と祖母は何故話さないの
か?父と祖母はずっと秘密を抱えて生きてきたのだ。それを知りたいと思うのは子供
の立場として当然である。妹のアガットは真実を知るのが怖いために、知ろうとしない
が、それでもアントワーヌの味方でいてくれる。離婚後にできた恋人も。やがてアガット
は、アントワーヌの長女の悩みを聞いたことがきっかけで、30年前のある光景が蘇って
くるのだった。
母クラリスはかわいそうな人である。彼女の人生は何だったのかと思うと、気の毒で
たまらない。ネタバレになるので書けないが、彼女を死に追い込んだ人物を、私だっ
たら責めて罵ってやりたい。だがそれは間に合わなかった。アントワーヌとアガットは、
その悔しさを昇華できるのだろうか。私なら一生憎み続けるし、責められなかったこと
を一生後悔し続ける。
主人公の母の死の秘密や妻子との問題など、重たい要素が詰まった、なんともやり
きれない物語だった。アガット役のメラニー・ロランは美人だが、「イングロリアス・バス
ターズ」でもかわいそうな役だったなあ。あんなかわいそうな展開にしなくてもいいのに、
と思ったものだ。
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