猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

あいつの声

2016-09-20 05:38:28 | 日記
2007年の韓国映画「あいつの声」。
有名なニュース・キャスターのハン・ギョンペ(ソル・ギョング)の9歳の息子、サンウが
誘拐された。犯人(カン・ドンウォン)は電話で1億の身代金を要求し、警察に通報すれ
ば子供の命はないと脅す。ギョンペの妻ジソンは夫に内緒で警察に通報し、犯人は
それに気づく。犯人が仕組んだ巧妙な取引が行われた。両親が遠くから見ている中で、
トランクに刑事が隠れた車に乗り、犯人は身代金を持ち去るが、刑事が手掛かりを
つかむことはなかった。犯人からの脅迫電話は、理知的で冷酷だった。更に犯人は、
ジソンに身代金を運ぶよう指示する。

1991年にソウルで起きた誘拐事件を基に作られたサスペンス映画である。子供を誘
拐された両親の苦悩や不安でたまらない様子が、とてもリアルに描かれている。主人
公の父親役の人、どこかで見た気がするなあ、と思っていたら、「オアシス」の刑務所
帰りの人だった。「あいつの声」ではスーツをパリッと着こなしたニュース・キャスター。
随分違うなあ。さすが俳優。この人はかなり演技派俳優であるらしい。
ストーリーとは関係ないのだが、誘拐される子供がデブなのが気になった。かわいく
ない。母親もこの子のダイエットのために、食事制限や運動をさせ、記録を取っている
という設定。この設定必要だったのだろうか。もっと普通体型でかわいい子供だったら
「かわいそうさ」が違ってきたのになあ、と思った。でも結末は痛ましいものだったので、
こんなことが気になる私の方が変なのかもしれない。
この事件では、犯人と両親の電話のやりとりを録音したテープが、テレビで何度も流さ
れたそうである。それでも犯人逮捕には至らなかった。知り合いとかが声を聞けばわ
かりそうなものだろうになあ、と思う。そのテープは映画の中でも流されている。この映
画はかなり事実に忠実に描かれているらしく、故に韓国の警察の無能さを強調する
結果になっている。「殺人の追憶」や「チェイサー」(どちらも実際の事件を基にした映
画)でもそう思ったし、「チェイサー」の事件では国民も本当に自国の警察を無能と思っ
たらしい。
犯人役のカン・ドンウォンはほとんど声だけで、姿を見せない。チラッと映るシーンも
あるが、顔はまずわからない。カン・ドンウォン目当てで観るとガッカリするかもしれな
いが、声だけはたっぷり聞ける。



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