猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ウィッチ

2021-06-08 22:42:38 | 日記
2015年のアメリカ映画「ウィッチ」。

1630年、ニューイングランド。父ウィリアム(ラルフ・アイネソン)と母キャサリン
(ケイト・ディッキー)は、5人の子供たちと共に敬虔なキリスト教生活を送るため、
森の近くの荒れ地にやってきた。しかし、赤ん坊のサムが何者かに連れ去られ、行
方不明になってしまう。連れ去ったのは森の魔女か、それとも狼か。悲しみに沈む
家族だったが、ウィリアムは美しく成長した長女トマシン(アニャ・テイラー=ジ
ョイ)が魔女ではないかと疑い始める。疑心暗鬼になった家族は、やがて狂気の淵
へと陥っていく。

第31回サンダンス映画祭で監督賞(ロバート・エガース)を受賞したホラー映画。か
なり宗教色の濃い映画だった。信仰に熱心なあまり教会に異議を唱えた一家は追放
され、森の近くの荒れ地に住まいを移す。そしてここで家族力を合わせてやってい
こうと祈りを捧げる。ある日長女のトマシンが末っ子の赤ん坊サムを森の入り口に
連れて行って、いないないばあをしてあやしていると、サムが忽然と姿を消す。驚
いたトマシンは必死にサムを捜すが見つからない。この赤ん坊のいなくなり方が気
持ち悪い。トマシンが目を隠している一瞬のうちに消えてしまうのだ。
母のキャサリンは悲しみに暮れながら祈り続けるが、父のウィリアムは早々に捜索
をやめてしまう。「もう生きてはいないだろう」と。この事件をきっかけに家族の
均衡は崩れ始める。キャサリンは常にイライラしており、双子の男女はうるさくて
いたずら好きで落ち着きがない。トマシンは母親に「どうして双子から目を離した
の」と怒られるが、自分が親なのだから自分が見ればいいのにと思う。母親は何故
かトマシンに対して冷たく、大切にしている銀のコップがなくなったのもトマシン
のせいにして責める。
キャサリンのヒステリックな性格のせいもあるのか、物語にはずっと不穏な空気が
漂う。長男(トマシンの弟)ケレイブ(ハーヴェイ・スクリムショウ)は大人っぽく成
長したトマシンを意識するようになる。そして今度はケレイブまでもが行方不明に
なってしまう。やがてウィリアムとキャサリンはトマシンが魔女なのではないかと
思い始める。トマシンが双子のいたずらをやめさせるために「私は魔女よ。誰にも
言ってはいけないわよ」と嘘をついていたのを、双子が言いつけたのだった。それ
にしても娘を魔女だと疑うなんて、この両親はどうかしているのではないか。そう
いう時代だったのか。
作物も育たず、一家は困窮していき、皆の心はバラバラになっていく。父親は神に
祈るだけでトマシンから非難される。この父親、信仰心は篤いが甲斐性なしなのだ。
母親はトマシンに嫉妬心というか対抗心を抱き、トマシンがケレイブを誘惑したの
だと言う。本当にこの母親にはイライラさせられる。一家が飼っている黒ヤギや白
ヤギや犬の存在が効果的に使われており、物語はとても不気味。ラストもこうなる
しかないよねという感じ。トマシンは救われたのだろうか。怖くておもしろかった。




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