2021年のイギリス・アメリカ合作映画「モーリタニアン 黒塗りの記録」
を観に行った。
弁護士のナンシー・ホランダー(ジョディ・フォスター)と部下のテリー・ダ
ンカン(シャイリーン・ウッドリー)は、モーリタニア人青年モハメドゥ・ウ
ルド・スラヒ(タハール・ラヒム)の弁護を引き受ける。アメリカ同時多発テ
ロに関与した疑いで逮捕された彼は、裁判すら受けられないまま、拷問と虐
待が横行するキューバのグアンタナモ米軍基地で地獄の日々を送っていた。
真相を明らかにすべく調査に乗り出すナンシーたち。一方スチュアート・カ
ウチ中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)は「グアンタナモに収容中の敵戦
闘員を、9.11の戦争法廷で裁け」という大統領命令を受け、政府が死刑第1
号にと望むモハメドゥの起訴を担当することになった。スチュアートはハイ
ジャックされた機の副操縦士だった親友の無念を晴らそうと意気込んでいた。
だがナンシーとスチュアート双方が正義を追求していくうちに、恐るべき陰
謀によって隠された真実が浮かび上がる。
実在の人物モハメドゥ・ウルド・スラヒの手記に基づく実話映画。アメリカ
同時多発テロから2ヵ月後の2001年11月、モーリタニア人のモハメドゥは
ある晩現地警察に連行され、そのまま米国政府に捕らえられた。2005年2月、
ニューメキシコ州の人権派弁護士ナンシー・ホランダーは「不当な拘束だ」
として無償でモハメドゥの弁護を引き受ける。時を同じくして、海兵隊検事
のスチュアート・カウチ中佐は拘留中のモハメドゥを起訴することを要請さ
れる。スチュアートは、友人であった副操縦士が乗っていた飛行機をハイジ
ャックしたテロリストをリクルートしたのはモハメドゥだと聞かされ、決意
を燃やす。
映画はモハメドゥ、ナンシー、スチュアートの3者の視点から進行していく。
グアンタナモ収容所って名前は聞いたことはあるけど、あんなにひどい所だ
ったとは。モハメドゥは連日の拷問により疲弊していく。拷問のシーンを見
るのは耐え難く、モハメドゥの全身についた傷が痛ましい。モハメドゥは自
分は何もしていないと言い続けているのにも関わらず、何年も地獄のような
日々を送ってきたのだった。それぞれ捜査に着手したナンシーとスチュアー
トだが、政府にモハメドゥの供述調書の開示を要求するも、開示された記録
文書は大半が黒塗りで消されており捜査は難航する。
テロリストを擁護するつもりは全くないが、「アメリカの闇」というものを
見せられた気がした。収容所を本国から離れたキューバに作ったのも、アメ
リカ政府の思惑があってのことだった。ナンシーとテリーは何度もモハメド
ゥに接見するうち、次第にモハメドゥの人柄に触れていく。しかしテリーは
モハメドゥの供述調書の自供している部分を読み、彼はテロリストだと言い
出す。ナンシーは「それでも弁護を受ける権利はある」と言い、感情的にな
っているテリーをこの案件から外すのだった。2008年、ワシントン連邦地
方裁判所へ赴いたナンシーは、「9.11を忘れるな」と叫ぶ民衆に囲まれる。
そうなるのも仕方のないことだろうなー、と思う。
ナンシーとスチュアートはやがて真実に辿り着くが、スチュアートは「良心
に則り、そしてキリスト教徒として、モハメドゥを起訴することはできない
」と上司に告げると解任されてしまう。ジョディ・フォスターとベネディク
ト・カンバーバッチの演技が素晴らしい。2人とも実力派大スターなので安
定した素晴らしさなのだが。この2人の共演というだけでも観る価値はある
というもの。タハール・ラヒムの繊細な演技も良かった。親しくなった囚人
(顔を合わせたことはなく、話しただけだが)が自殺したと知ってショックを
受けるシーンは印象的だった。アメリカ同時多発テロが起きた時、普段はほ
とんどテレビを観ない私だがテレビの前から離れられなかった。あの時のこ
とは忘れられない。実話を基にした1級品の社会派サスペンスだった。
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を観に行った。
弁護士のナンシー・ホランダー(ジョディ・フォスター)と部下のテリー・ダ
ンカン(シャイリーン・ウッドリー)は、モーリタニア人青年モハメドゥ・ウ
ルド・スラヒ(タハール・ラヒム)の弁護を引き受ける。アメリカ同時多発テ
ロに関与した疑いで逮捕された彼は、裁判すら受けられないまま、拷問と虐
待が横行するキューバのグアンタナモ米軍基地で地獄の日々を送っていた。
真相を明らかにすべく調査に乗り出すナンシーたち。一方スチュアート・カ
ウチ中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)は「グアンタナモに収容中の敵戦
闘員を、9.11の戦争法廷で裁け」という大統領命令を受け、政府が死刑第1
号にと望むモハメドゥの起訴を担当することになった。スチュアートはハイ
ジャックされた機の副操縦士だった親友の無念を晴らそうと意気込んでいた。
だがナンシーとスチュアート双方が正義を追求していくうちに、恐るべき陰
謀によって隠された真実が浮かび上がる。
実在の人物モハメドゥ・ウルド・スラヒの手記に基づく実話映画。アメリカ
同時多発テロから2ヵ月後の2001年11月、モーリタニア人のモハメドゥは
ある晩現地警察に連行され、そのまま米国政府に捕らえられた。2005年2月、
ニューメキシコ州の人権派弁護士ナンシー・ホランダーは「不当な拘束だ」
として無償でモハメドゥの弁護を引き受ける。時を同じくして、海兵隊検事
のスチュアート・カウチ中佐は拘留中のモハメドゥを起訴することを要請さ
れる。スチュアートは、友人であった副操縦士が乗っていた飛行機をハイジ
ャックしたテロリストをリクルートしたのはモハメドゥだと聞かされ、決意
を燃やす。
映画はモハメドゥ、ナンシー、スチュアートの3者の視点から進行していく。
グアンタナモ収容所って名前は聞いたことはあるけど、あんなにひどい所だ
ったとは。モハメドゥは連日の拷問により疲弊していく。拷問のシーンを見
るのは耐え難く、モハメドゥの全身についた傷が痛ましい。モハメドゥは自
分は何もしていないと言い続けているのにも関わらず、何年も地獄のような
日々を送ってきたのだった。それぞれ捜査に着手したナンシーとスチュアー
トだが、政府にモハメドゥの供述調書の開示を要求するも、開示された記録
文書は大半が黒塗りで消されており捜査は難航する。
テロリストを擁護するつもりは全くないが、「アメリカの闇」というものを
見せられた気がした。収容所を本国から離れたキューバに作ったのも、アメ
リカ政府の思惑があってのことだった。ナンシーとテリーは何度もモハメド
ゥに接見するうち、次第にモハメドゥの人柄に触れていく。しかしテリーは
モハメドゥの供述調書の自供している部分を読み、彼はテロリストだと言い
出す。ナンシーは「それでも弁護を受ける権利はある」と言い、感情的にな
っているテリーをこの案件から外すのだった。2008年、ワシントン連邦地
方裁判所へ赴いたナンシーは、「9.11を忘れるな」と叫ぶ民衆に囲まれる。
そうなるのも仕方のないことだろうなー、と思う。
ナンシーとスチュアートはやがて真実に辿り着くが、スチュアートは「良心
に則り、そしてキリスト教徒として、モハメドゥを起訴することはできない
」と上司に告げると解任されてしまう。ジョディ・フォスターとベネディク
ト・カンバーバッチの演技が素晴らしい。2人とも実力派大スターなので安
定した素晴らしさなのだが。この2人の共演というだけでも観る価値はある
というもの。タハール・ラヒムの繊細な演技も良かった。親しくなった囚人
(顔を合わせたことはなく、話しただけだが)が自殺したと知ってショックを
受けるシーンは印象的だった。アメリカ同時多発テロが起きた時、普段はほ
とんどテレビを観ない私だがテレビの前から離れられなかった。あの時のこ
とは忘れられない。実話を基にした1級品の社会派サスペンスだった。
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