日々茫然

猫・本・アート・日常生活などを、つれづれと思いつくままに記録

11月に読んだ本

2007-12-06 | 本と漫画の話
『容疑者Xの献身』 東野圭吾 ★★★★ (ミステリー)
『正しく時代に遅れるために』 有栖川有栖 ★★★☆ (エッセイ)
『はっちゃんち。』 八二一 ★★★★ (写真集?)
『はっちゃんて、』 八二一 ★★★★ (写真集?)
『妖怪の理 妖怪の檻』 京極夏彦 ★★★ (教養?)
『猫だましい』 河合隼雄 ★★★☆ (エッセイ・評論)
『150cmライフ。2』 たかぎなおこ ★★★★ (コミックエッセイ)
『150cmライフ。3』 たかぎなおこ ★★★★ (コミックエッセイ)
『じゃあ君が好き』 ヨシタケシンスケ ★★★ (イラスト集?)
『日々の非常口』 アーサー・ビナード ★★★★ (エッセイ)
『まこという名の不思議顔の猫』 ★★★★★ (写真集?)
有頂天家族』 森見登美彦 ★★★★ (一般文芸)
『首鳴き鬼の島』 石崎幸二 ★★★☆ (ミステリー)
『秋の牢獄』 恒川光太郎 ★★★★ (SFホラー?)

読書欲、月後半からすっかり回復です。
遅れてやってきた?読書の秋、といった感じです。


容疑者Xの献身 容疑者Xの献身
東野 圭吾

文藝春秋 2005-08-25
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 「探偵ガリレオ」シリーズで、初の長編にして直木賞受賞作です。
 直木賞で話題になってベストセラーになってた頃は、シリーズ物だって知らなかったんですが。
 この作品は、犯人は始めから分かっていて、探偵役は犯人のトリックをいかに見破り、追い詰めるかが見所という、「コロンボ」や「古畑任三郎」のパターンです。
 最後、容疑者Xがいかに献身的であったか、というところに私は息を飲みました。
 トリックとしては、殺害推定時刻にズレがあるらしい、と感じたことと、後半のあるさりげない?シーンから、「もしや?」と思ったのですが、何となくスルーしてしまいました。あそこでもうちょっとじっくり考えたら、見破れたかもしれないのに、惜しいっ
 でも、私はと謎解きに頭をひねったりするのは面倒だと思うところがあるし(ここでじっくり謎に取り組む方が、脳には良さそうですが)、気持ちよく騙されて「そうだったのか!」とスカッとするのが好きなので、自業自得・仕方ないですね。


はっちゃんち。 はっちゃんち。
八二 一

青心社 2004-04
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 『はっちゃんち。』と、続編『はっちゃんて、』
 白黒猫はっちゃんが、うちで飼っていたチビさんにそっくりなので、ファンです。
 (母は、「はっちゃんも可愛いけど、やっぱりチビさんの方が美人」と言い張る)
 『はっちゃん日記』シリーズは、先日出たばかりの最新作5巻まで、ぜーんぶ取り揃えておりますが、一回り大きい『はっちゃんち。』『はっちゃんて、』は未読でした。そこで、内容チェックのため図書館で借りてみたのです。
 『はっちゃんち。』『はっちゃんて、』は、写真集といった感じで、ちょっと真面目路線?(もちろん面白ポーズやはっちゃん自身の醸し出すユーモラスさはありますが)
 はっちゃんのセリフ付きのコント仕立てで、漫画を読んでいるような面白さのある『はっちゃん日記』の方が好きだな、と思いました。



猫だましい 猫だましい
河合 隼雄

新潮社 2000-05
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 『猫だましい』
 nabukoさんからのオススメです。図書館にあったのがハードカバー版だったので、そちらを借りましたが、大島弓子の感想マンガが付いているのは、文庫版だったらしく、残念。
 『100万回生きたねこ』や『長靴をはいた猫』、宮沢賢治の作品に登場する猫など、古今東西の猫に関する物語を取り上げ、物語における心理学的な猫の役割?を考察する内容。
 『牡猫ムル』など、初めて知る作品も多かったです。猫って作家さんにとって創作意欲をそそられる生き物なのかな。
 ただ、本のあらすじ紹介をする部分で、かいつまんでではあるものの、話のラストまで全部書いてしまっているのは残念でした。この本のテーマが本の紹介ではなく、物語の中で果たす猫の役割についての考察である以上、やむをえない部分もありますが、「へぇ~、面白そう」と思っても、ラストまで展開が分かってしまっては読む気がしなくなるのです。
 ご自身でも、「(これから読んでみたいと思っている人のために)このあたりの種明かしは秘して」と言ってる端から、「しかし、大体の粗筋は言わねばならない」と最後の最後までほとんど書いちゃうなんて、そりゃナイっすよ、と思ったのでした。



150cmライフ。〈2〉 150cmライフ。〈2〉
たかぎ なおこ

メディアファクトリー 2004-12
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 『150cmライフ。2』『150cmライフ。3』
 先月紹介した、『ひとりたび一年生』のたかぎなおこさんの別シリーズ。1巻は読んでましたが、じおさんから、3巻まで出てると聞き、2、3を借りてきました。
 身長150cmの小柄な著者が、日常で起きる150cmならではのエピソードを、ほのぼのしたイラストで紹介。
 2巻では、上記のほか、さらに洋服のお直しテク(これは使える!)や、ファッション・メイクのコツなどを専門家に訪ねて紹介しています。
 3巻では、逆に長身の人や大柄(ふとっちょさん)な人、胸の大きい人、肩幅だけが広い人などに話を聞き、彼・彼女達ならではのエピソードを紹介したり、世界一平均身長の高い国・オランダに行ったレポートも。実際に何もかもが大きく作ってある(当然ですが)オランダにはビックリでした。



まこという名の不思議顔の猫 (マーブルブックス) まこという名の不思議顔の猫 (マーブルブックス)
前田 敬子 岡 優太郎

マーブルトロン 2007-06
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 『まこという名の不思議顔の猫』
 すでに一度紹介しましたが、もう1回。
 この子、ほんっっっとに、魅力的ですからっ


えーと、長くなってしまい、1度に掲載できなかったので(画像付きのリンクを付けすぎたせい?)、後半に続きまーす

コメント (6)
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11月に読んだ本(後編)

2007-12-06 | 本と漫画の話
後半です。長いので、興味のあるところだけ読んでくださいね


首鳴き鬼の島 (ミステリ・フロンティア 35) 首鳴き鬼の島 (ミステリ・フロンティア 35)
石崎 幸二

東京創元社 2007-08
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 『首鳴き鬼の島』
 まみみさんの書評ブログで紹介されていた本です。“首がない”という共通項のある伝説や、旧家の跡目争いが絡む横溝チックな内容が、ちょっと前(8月)に読んだ、『首無の如き祟るもの』とかなり重なるように感じたので、どっちが面白いんだろう?と興味を持って借りてみました。
 『首鳴き鬼の島』は現代が舞台なので、横溝っぽさなら、『首無の如き祟るもの』かな。どちらも世間での評価は結構高いようなのですが、個人的には「うーん?」と微妙な感想だったのも似てる。
 トリックについては、一度示された解答から、さらにもう一ひねりあるところが面白かったです。複線らしきものが分かりやすくて、犯人については見当が付いちゃってましたが、トリック自体には「なるほど、そう来たかー」という驚きが味わえました。
 でも、一番残念だったのは、主人公のキャラクターに全く魅力が感じられなかったこと。むしろ嫌いなタイプ。
 主人公の友人や脇役の社長さんの方が、魅力的でした。


秋の牢獄 秋の牢獄
恒川 光太郎

角川書店 2007-11
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 『秋の牢獄』
 恒川光太郎の最新作です。「秋の牢獄」「神家没落」「幻は夜に成長する」3編を収録。

「秋の牢獄」
 あるときから、11月7日を延々と繰り返す状態に陥ってしまった大学生の藍。朝、目が覚めると昨日の朝に逆戻り。家に帰らなければ、あるいは寝なければ、と試しても、いつの間にか意識を失い、気がつけば家で昨日と同じ朝を迎えている。友達も昨日と同じ話しかしない。どこに行っても、昨日と同じ人がいて、同じことを繰り返している。たくさんの人がいても、孤独と同じ―。
 全く同じ日をたった一人で無限に生きなければいけないかもしれない恐怖がリアルに伝わってきます。そこから抜け出す事が出来るのか…?
 表紙の情景といい、朱川湊人の「昨日公園」を彷彿としました。「昨日公園」は、感動で終わりましたが、さて、こちらは…?
 不気味な“北風伯爵”の存在など、どこか怖ろしく、でも不思議な魅力を感じてしまう世界です。

「神家没落」
 ある春の夜、ぼくはふと古い民家の敷地に迷い込んだ。そこには、“翁”の面をつけた老人がいた。引き止められ、怪しいと思いながらも、身の上話を聞かされる。25から“ここ”に入り、60になったら交代するのがしきたりだったが、何があったのか、代わりのものが現れなかったため、以来ずっと寿命を超えてもここにいる。だが、ようやく開放されそうだ―。語り終えた老人は、闇に溶けるように消えてしまった。怖ろしくなって逃げ出そうとしたが、敷地から出ることができなくなっていた!この家は一体何なのか、ぼくは出られるのか…?
 この家には、色々と不思議な事が起こります。出る方法も、次第に分かってきます。あとは、実行するだけ。
ところがここから、事態も、主人公の心情も、予想外の展開をするのです。

「幻は夜に成長する」
 監禁状態で、ある宗教の教祖として暮らしている女。洗脳を受け、人形のように生きていたが、少しずつ少女時代からの記憶を取り戻していた。そして、この生活から逃げ出すために、信者達から伝わる悪念などを餌に、想念の怪物を育てていた―。
 リオという少女の記憶が断片的に語られ、徐々に、現在の女性の状況へと話は繋がります。

 個人的に、恒川光太郎のキーワードは“異界”だと思っているのですが、ここでも描かれるは“11月7日の無限ループ”や“出られない神家”という異界。
 「幻は夜に成長する」は、異界ではないか…。あえて表現するなら、個人の内面に生まれる“異界”もしくは個人によって作り出される“異界”かな。ちょっと異色です。
 そのせいか、はっきりと“異界に迷い込む話”と言える「秋の牢獄」と「神家没落」の方が好みでした。
 それにしても、なんか“合う”んだなぁ、この方の描く作品世界。



というわけで、随分長くなってしまいました。こんなことなら、こまめに1冊ずつ書けばいいのに…
いざ1ヶ月分まとめてみると、色々感想書きたいことが出てくるんです
興味のない方は、ごめんなさいでした

コメント (4)
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