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宮部みゆき『ぼんくら 上』あらすじと感想

2017-06-18 11:00:55 | 紙の書籍
講談社文庫 宮部みゆき『ぼんくら 上』を読了しました。

あらすじと感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます





【目次】
殺し屋
博打うち
通い番頭
ひさぐ女
拝む男
長い影(一~六)


【あらすじ】
「殺し屋が来て、兄さんを殺してしまったんです」――江戸・深川の鉄瓶長屋で八百屋の太助が殺された。その後、評判の良かった差配人が姿を消し、三つの家族も次々と失踪してしまった。
いったい、この長屋には何が起きているのか。ぼんくらな同心・平四郎が動き始めた。


【感想】
『ぼんくら』の上巻。続きは下巻で計二冊の長編時代もの。宮部みゆきお得意な人の業を描いた作品。
彼女の現代ものは重くて暗くて辛くなってしまうので、時代ものというある意味ファンタジーな設定だと、重さや暗さも和らぐ気がして読みやすい。

江戸時代のお江戸は鉄瓶長屋という貧乏長屋が舞台。この長屋で殺人や店子の家移り、差配人の交代というおかしなことばかりが続き、同心の井筒平四郎が探索に乗り出すのだが‥。
〈殺し屋〉八百富の太助が殺し屋に殺される。
〈博打打ち〉桶職人の権吉が博打にはまり借金をつくってしまい、娘のお律が売り飛ばされそうになる。
〈通い番頭〉成美屋の通い番頭善治郎と当然現れた息子の長助。
〈ひさぐ女〉女郎あがりのおくめが家移りしてくる。
〈拝む男〉八助一家が始めた壺信心が店子に広がる。
一見するとどの事件もそれぞれは無関係に見えるが、実は地主である湊屋総右衛門が巧妙に練った策なのだ。なぜ地主である湊屋がそんなことを画策したのか?その理由は下巻でようやく明らかになる。
全体をとおして、なんとも妙で嫌な雰囲気が漂っている。姿は見えずに、影だけが視界の端を横切るような感覚。得体の知れない怖さがある。


【余談】
この作品を読む前に、NHKで放送されたドラマを観ていたのであらすじは大体わかっていた。ドラマ版は原作に忠実で、登場人物のキャラクターもあてがきのようにそのまま、世界観も大切にしていたと思う。
以前に放送された『おそろし』のときも同じことを感じたし。
いいドラマを作っているのは、NHKと民放だとテレ東プライム枠と深夜枠、あとは有料チャンネルのWOWOWくらいな気がする。
スポンサー&大手広告代理店&大手芸能事務所のタッグには、やっぱり制作サイドは太刀打ちできないんだろうなぁ…。


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