1958年当時、レスポール・スタンダードというモデル名は未だ無く、ここは、ザ・バイブル『The Beauty of the Burst』に倣い、サンバースト・レスポール・サウンドと表記いたします。
では、世の漢を虜にしたサンバースト・レスポール・サウンドの音源を何回かに分け、ご紹介。
『John Mayall and Blues Breakers with Eric Clapton』
Les Paul + Marshall JTM1962
最初の遭遇は'80年代、阿呆烏は10代でパンクやHRを演ってた頃。 John Mayallのバタ臭さに拒否反応を示し(いまだ苦手ですが)、あっさりスルー。 本腰入れて聴けたのは、「ブルースとは何ぞや?」が分かり始めた'90年代になってから。 以来、再生した回数の一番多いCDだと思いますわ。
ほんとこの頃のClaptonは凄い! 独断ですが、当時の”ギタリスト”としての才は、その後バンドに加入することになるPeter Green、Mick Taylorを遥々と凌駕していると思うのです。
阿呆烏にとっての”根っこ”となるそのサウンドは'60 Gibson Les Paul +Marshall JTM1962 (+Rangemaster Treble Booster)の革命コラボから生まれます。 主にクランチ~オーバー・ドライブの様々サウンド&トーンが収められております。 サンバースト・レスポールの音、Claptonの奏法ともに、聴くたび新しい発見があり、全くフレッシュさを失わないという奇跡のようなアルバム。 おまけに、阿呆烏がアルバム通して”完コピ”できるという意味でも、世界文化遺産的アルバム!
『All Your Love』
やっぱこの曲は、ブレイク時の「てゅ、てゅる、てゅるてゅる、てゅる~~」の揺らめく倍音でしょー。 粒立ちよく歪み、粘るクランチ~ドライブ・サウンドもよい。
『Hideaway』
世間様では、この曲が『Beano』を代表するサウンド&トーンのようですな。 確かにギターのVol./Toneコントロールによるぶっといウーマン・トーンから尖がりサウンドまで、いろいろなサウンド&トーンを味わえます。 また、ブルース、ロックの定番フレーズが多く使われているので、練習曲、ウォーミング・アップの曲としても最適。
『Little Girl』
世間様では、ほとんど取り上げられることはない曲ですが、Marshall1974Xをドライブさせ奏でれば、ロケンロールなバッキングと伸びのあるソロが最高にゴキゲン。
『Double Crossin' Time』
重く、ダークな極太ウーマン・トーンによるバッキングと、荒めの粒が目立ち、中高音域に絞られたコシ・張りの強烈なソロ・パートが対象的。 フィンガー・ヴィブラートがこれまた強烈。
『Key to Love』
この曲も、Marshall1974Xフルドライブのうわずった歪みで「ビロンビロン」演るのにピッタリ。
『Have You Heard』
サンバースト・レスポールの音源として、最高の1曲だと思います。 小さな音量のクリーンなバッキングでスタート...Saxのフレーズを真似たような奏法のオブリから、音量、太さ、歪み、色気が増していき...JTM1962が咆哮する怒涛のソロ・パートでは、(Rangemaster Treble Boosterをかましているのか?)一段と歪み、レンジ、粘り、艶が増した鬼気迫る演奏、サウンドを聴かせてくれます。
是に勝る名演無!
っぱ、クラプトンはこの”リック”と”メロディー”や。
あああ、倍音豊かに音色を変え、膨らみ、揺れ、減衰していく一音一音が素晴らしい。
『Ramblin' on My Mind』
これもJTMなのかしらん? 阿呆烏はVOX Pathfinder10に繋いで楽しんでました。
『Steppin' Out』
『Have You Heard』と並び、”ギタリスト”クラプトンの才溢れる名演。 トーンを若干絞り、コモリ気味。 強靭なコシと粘りが際立つサウンドに仕上げてます。 その分、抑圧され行き場を失ったパワーがヒシヒシ迫ってきますわ。
『It Ain't Right』
今の阿呆烏の野望は、フェンダーの小出力オールド・ツイード・アンプに繋いでこの曲を演りたい~~!!
『They Call It Stormy Monday』、『Have You Ever Loved a Woman』(Disc2収録)
The Flamingo Clubでのライブ収録。 スタジオ録音モノよりも一層中高音域にレンジが絞られた一本調子で特異な音。 録音状態にも因るんでしょうが、「強烈な芯、コシ、張り」、「暗いトーン」「ダーティーな歪み」が際立ちます。 硬めのコシ、粘りが大好きな阿呆烏には、理想のサンバースト・レスポール・サウンド。
ざっくりまとめるとウーマン・トーン(WT)とオーバー・ドライブ(OD)に大別できそう。
♪サウンド : (WT)分厚く、輪郭はぼやけ、コモる
(OD)尖ったエッジに強烈な張り、コシと那粘り。
♪トーン : ダーク
♪音域 : 中~高音域寄りでやや上ずり気味。
♪太さ : 極太(WT)、 中太(OD)
♪歪み : 粒がよく目立ちダーティー
♪その他 : 6L6G & 7025真空管をフルドライブさせた、芯、コシ、張りが強烈な”咆哮”。
”泣く”にしても”慟哭”ですな。