木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

竹中大工道具館へ

2023-07-23 08:45:38 | 木工
約一ヶ月ぶりに神戸市の竹中道具館へいって来ました。



今回の目的は、



「技と心」セミナー 「ピラミッドを支えた古代エジプトの木造技術」の受講。
お話しいただいたのは、東日本国際大学 エジプト考古学研究所客員教授の柏木裕之先生
「クフ王第2の太陽の船」の調査に、復元担当として長年携わって来られた先生です
大変興味のある内容で楽しみにしていました。

クフ王の墓の近くから発掘された2つの船の復元を通し明らかになった非常に発達した木造技術.
ほぞやダボ、相欠き、蟻掛け、留めなどのほか、建築で用いられる基本的な継手もすでに使われていました。
石だけで作られていると思っていたピラミッドですが、木材も構造材として使われていたのです。
それらの加工に使われた鋸、釿、斧、鑿などの道具は銅や青銅でつくられており、
その鋸がピラミッド本体の石の加工にも用いられたのです。
特に興味を引かれたのは、船の甲板の板には、鋸で製材したことを示す大鋸目がくっきりと残されていたことです。

私がエジプトの木の文化・木工技術に興味をもったのは約12年前。
東京で開かれていたツタンカーメン展で多くの木工品をみてから。
石の文化が中心だろうと思っていたのに、展示されている作品には、多くの木造品が含まれていたのです。

当時の図録から拾ってみると

脚付きチェスト


肘掛け椅子


カルトゥーシュ型の箱
等々、どれもこれも素晴らしい木工技術が使われ現代の木工家も真っ青?という作品でした。

その後、いろいろ調べて見つけたのは、

木を縦に切る製材用鋸の存在です。

日本では14世紀末から15世紀の前半に製材用の鋸が使われ出し、それまでは打割製材に釿・槍鉋と言うのが通説です。
しかし、正倉院の木工芸品をみるとおよそ内割製材では無理だろうと思われる板が使われているのです。

エジプトではすでに4500年前に使われていた鋸による製材技術が日本に伝わってこなかったのだろうか?
そんな思いを益々強くしたセミナーでした。

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