~尻との長いお別れ~
あの時。
おぃらはいつも通り、マリオカートで、世界の奴らと渡り合ってたのさ。
……おぃらにゃあ、どうしても勝ちてぇヤツがいた。
目の前を走っている「Philip」。
「Philip」はドンキー使い。そして、バイク乗り。それ以外判らない。
野郎はずっと1位。
おぃらはずっと2位。
そんなことを、もう一時間くらい、馬鹿みてぇに繰り返してた。
悔しい。けど、ムキになるこたぁねぇ。
世界は広い。
この戦いが終われば、もう会うこともない。
袖スリ合っただけの野郎だ。
そうも思う。
……熱くなるこたぁねぇ、ってな。
だがな。
逆に考えてみろ。
今、ココで野郎を負かさなければ……
永遠に、ヤツに勝つ機会は無くなっちまうってことでもあるんだぜ?
――1レース終わる。
チクショウ。また2位かよ。
――次のレースが始まる。
次こそは……、と思いつつスタートダッシュを試みるおぃら。
そして、……今回も、ご同様だ。
ヤツのケツを、発情したみてぇに追い続けるだけ。
そうこうしてるウチに、あっというまに、3周目。
いわゆる、最終ラウンド。って奴だ。
くそっ。
見下しやがって。
今度こそ、奴に泡ぁ、吹かしてやんぜ。
おぃらは、アクセルをガチガチに握り込んだ。
そんな、ケツに火がついてる状態でよぉ、
横でテレビの画面見てた姉がよぉ。……ぽつりと、言うんだ。
「なんかさぁ。……ドンキーのお尻って、めっちゃリアルに作ってない?」
聞 か な け れ ば 良 か っ た。
耳が達者なのを、この時ほど憎んだこたぁねぇ。
クソ姉貴は、口を閉じようとせず、続けた。
「遠目から見ると、ドンキーの臀部から直接火花が出ているみたいじゃない。悩ましくも不快だわ」
こっ……このアマ……。
……おぃらがもう少し腕っ節が強けりゃ、こんなアマ、すぐに黙らしてやるんだが……。
何言ってやがる……。そんな……
何言って……
……。
……マジだ……。
立ち乗りしたドンキーの生尻から、爆音とともに橙色の炎が放出されているように見える……。
そ う と し か 見 え な く な っ た。
おぃらの前を走り続ける尻。
カーブの度に大噴火。
おぃらの前を走り続ける尻。
ジャンプアクションの度に大噴火。
い、嫌だ……。
も、もう奴の後塵を拝するのは沢山だ……!!
これ以上は、おぃらの脳がいかれちまう……。
……。
バイク乗りの風上にも置けねぇ奴と、笑ってくれ。
おぃらは……奴の尻を拝みたくない一心で……。
アクセルを緩めたのさ。
嗚呼。
……瞬く間に遠くなるドンキーの背中、ってか、生尻。
おぃらを背後から追い抜く人、また、人。いや、あいつはカメだな。……あ、畜生。王冠被った白いバケモンまで、追い抜いていきやがる。
~~~~~~~~~~~~~
勝負には負けた。……(尻との)闘いにも負けたんだ。
だがな。
……楽に……なったぜ
もう……
もう……巨猿の生尻を追いかけなくても良いんだ……。
『Philip』。
おめぇが猿でなく、
そして、パンツだけでも履いててくれりゃあ……
おぃら達は、友達になれてたかも……しれねぇなぁ……?
あばよ。Philip。
さよならを言うってのは、少しだけ……死ぬってことさ。
後書きに変えて。
今度、マリオカートをプレイした時、前にバイク乗りのドンキーが居たら、是非彼のお尻を観察してみて下さい。
ぼくの気持ちが、判ると思います。
●参考記事●
(お尻フェチ繋がりで。)
Gizmode Japan
お尻にお尻を嵌める「Her Chair」
http://www.gizmodo.jp/2008/04/her_chair.html
……懐かしい……。
不味い! ちゃーらっちゃらー、ってCMでしたっけ?
ふふふ。
吹いちゃうくらい笑って下さって、ありがとう
ございます。
媒さんはチャットをしてて、語彙とか結構
あるな~、って思いますので……
ひょっとしたら、元ネタをご存じかも
知れないですね~。
だとしたら、嬉しいです。