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最後の夜

2007-08-31 23:41:26 | インド旅行記
「・・・・・・わかった。」

彼は頷いた。今までにない、重い表情だった。
疲れた青いシャツは、ホテルの明かりに照らされて少し泣いているように見えた。


明日の約束も、自分たちで行きます、と断った。

また、無言で、彼は頷いた。


引き止めることはなかった。
わたしはきっと、彼を・・・傷つけてしまったんだ。



インドのどこよりも印象的で、大好きだった街、バラナスィー。

そんな街での最後の夜は、離れ離れになる恋人同士の甘い夜とはかけ離れた、暗示された別れを待つ二人のような、ココロ不安定な夜だった。

また逢いたい。そんな想いを、抱くことができるのだろうか・・・。
頭の中では、無意味な思考がとどまることなく駆け巡っていた。



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