雲の向こう

風任せシャッター任せ

春 平標山

2014-05-14 18:01:36 | OM-D
平標山はもう雪山では無かった。
登山口から既に泥濘、稜線も夏道があちこちに現れている。
下手に雪稜をトレースすると途中で藪の中に引き込まれたりするので登山道を忠実に辿った方が楽だった。


稜線は巨大な雪庇が今にも崩れそう



仙ノ倉へ続く道


春山で良く迷うのがレイヤリング。
冬支度だと好天で大汗、だけど一度荒れると厳冬期に耐える用意でないとリスクが高い。
ある程度融通が利く用意で最後まで迷うのが下着だ。

保温性の高い下着は暑くても汗を排出してくれるので稜線で吹かれてもそれ程ヤバくないがこれがフツーの下着だと体温維持には向かない。
使っているベースレイヤーはmont bellのジオラインの中厚手で冬はこれで十分だが好天が予想される今回は汗だくになりそうだった。さりとてウィックロンのTシャツをベースで寒くはないか?

それでこの冬通勤で重宝したユニクロのヒートテックを使えないか?と考えた。
webでは「山にヒートテックなど以ての外」とか「ヒートテックを山なんて素人判断!」などと厳しい意見が散見され理由として水分の排出が不十分なので一度大汗をかくと乾きづらく体が冷えやすいとのこと。
冷えやすいならコットンは当然のことウィックロンでもべとつかず乾きやすいだけで保温は期待出来ない。ならヒートテックのほうがいくぶん暖かいし使えるかも知れない。

で実際に使ってみたが無風好天で存外に大汗となり一度吸水の限界になると確かに乾かない。それと保水状態だと保温性も一気に落ちる。つまり暖かくないということだ。
これで稜線に出たら強風…だったら相当寒く感じることは間違いない。もっともヤッケを着れば多少マシだが。
確かにヒートテックは山に向かない…という結論になった。
今回は暑くて暑くて小屋の陰で脱いで直接山シャツ(ミドルレイヤー)になった。よほど心地いい。



「あ…暑い」







時間もあるの仙ノ倉まで行くか?と思うも頂上で軽く飲んだらどうでも良くなったので少し昼寝をする。
「平標山の家」への雪の斜面を駆け下りると後は林道までダラダラ下り春の香りに包まれながら歩くだけだ。




E-M1&12-40mmF2.8

唐松岳 春

2014-04-13 16:40:37 | 登山





1月の雪上訓練で体調が悪かったのか超バテバテで途中で両足が痙ったりと散々だった。
思うに日頃の運動不足と山行中の体調管理が原因だ。
前夜ほとんど眠れなかったこと出発の朝シッカリとエネルギー源を摂らなかったこと行動中ひどい汗をかきながら水分補給を怠ったこと等々。
考えてみれば登山のイロハを守らず「どうせ雪訓だろ、しかも唐松だし」みたいなナメ切った気持ちが原因だった。
特に両足のふくらはぎから太ももの表と裏が「全部」痙ったのはラッセルが厳しかったこともあるが大汗をかいて電解質が体外に排出されたのに必要な水分補給を怠ったことに尽きる。



















そんな反省から今回は前夜の仮眠にはアルコールの替わりに眠剤で爆睡。朝はおにぎりと極太バナナを2本、行動中はゲータレードを遠慮無く飲みながらとにかく汗をかかないペースで歩いた。

天気は上々、久しぶりにE-M5を持ちだしアチコチで撮りながら春の稜線を歩く。ザックが重くてもコイツ(E-M5)なら気にならない重さ大きさ。しかも防塵防滴。









唐松往復の後良さそうな斜面で滑落停止やスタンディングアックスビレイなど思う存分訓練する。
もう山は春の香りだ。


【遠く剣の望む】




山の友よ

2014-01-07 17:07:21 | 登山


五十代も後半になって体力低下も顕著になり瞬発力や柔軟性も失われてきた。
本来ならそれを補うべく山行を重ねるのが一番の対策なのだが悲しいかなこの年代はそれなりに忙しい立場にあって休みづらかったりで若いときほど山行日数は稼げない。
何より「イケナイ」のは山に対する想いというか「何としてもあのルートに行きたい!」と自分を駆り立てる情熱が冷めつつあるということ。
妙に諦めが良くなって来ている。



それと共に山の仲間も少しずつ世代交代で入れ替わり嘗てのザイルパートナーなど今ではけっこう偉い椅子に座っているようで「山」どころでは無いらしいく、かといってここ数年内に入ってきた若い連中の迸るような情熱には眩しすぎて凡そついて行けない自分の不甲斐なさもあり、仲間との山行は減りつつあった。

昔のように何にも気にせずバカを言い合いそれでいて阿吽の呼吸でザイルを捌いていたあの頃。
もうあの頃は戻って来ないのだ。






「山の友よ」は成蹊大学の虹芝寮々歌で山屋なら昔は誰でも一度は聴いた事があると思う。
僕は学生の頃から社会人山岳会に入会してたので「学生のノリ」とは違った角度でこの歌を聴いていた。
でも入会したときの同期は7人、みんな僕より年上だったが山岳会の同期として同じような経験だった。


【山の友よ】
薪割り 飯炊き 小屋掃除
みんなで みんなで やったっけ
雪解け水が冷たくて
苦労したことあったっけ
今では遠く みんな去り
友をしのんで 仰ぐ空

幕営 グリセード 岩登り
みんなで みんなで やったっけ
ルンゼで雨に叩かれて
苦労したことあったっけ
今では遠く みんな去り
友に便りの 筆をとる

前傾 外傾 全制動
みんなで みんなで やったっけ
雪が深くて ラッセルに
苦労したことあったっけ
今では遠く みんな去り
友の写真に 眺め入る

落葉松萌ゆる 春山に
みんなで みんなで 行ったっけ
思わぬ雪に ワカン履き
苦労したことあったっけ
今では遠く みんな去り
山よお前は わが心






















さてその山仲間も一人去り二人去り…
けして彼らは山靴を脱いだ訳では無いのだが、昔とは違う何か合理的というか組織にしても運営にしても山行そのものも法的責任の明確化とか、昔のような「想い」で登ることを忘れたかのように昔とは違う方向で山に向かうようになった。
目標もある者は8000メートル峰へ、ある者はセブンサミット(7大陸最高峰)へ、また静かな東北の山や沢への自分なりの山へと舵を切っている。

僕もそろそろ会の運営から離れ自分の山を大事に残り少ない岳人人生の充実を図る時が来ていると思う。





E-M1&12-40F2.8


パリの空の下

2014-01-02 15:14:44 | E-5
見慣れた東京の白く冷たい色とは違って翼の下に見える街並みは電球色の暖かい灯に包まれていた。
日本の照明はその大半がLEDに転換しつつあるのにここは白熱灯が主流なのだろう。

夜明けのパリは雨に濡れていた。
まだ半分覚醒していない頭を奮い立たせ明け方から働きに出る乗客に混じって始発の地下鉄に乗る。



パリはまだ夜




街灯は暖かい電球色










オルセー美術館の前。みな何時間も並ぶ。



ルーブルから川沿いにオルセー美術館まで歩く。それ程寒くは無い。
近くのカフェで早い朝食を摂るがまだ開館まで時間があるのに店の掃除だと追い出されてしまう。
美術館の前にはもう順番待ちの列が出来はじめていた。
ドイツから来たという老夫婦の後に並び開館までの長い時間を待つ。
気が付くと長蛇の列。いろんな国の人が来ている。総じてチャイナ系は喧しく思わず眉をひそめたくなるが昔の日本人旅行者も皆そうだったのかも知れない。












オルセーで十分堪能して次はオランジュリーへ向かう。
まさかモネの睡蓮を生で見られるとは思わなかったので超感激だったが美術館のハシゴは結構ハードだ。
でもまさかこの後さらなる強行軍に付き合わされる事になるとは思わなかった。





オランジュリーは公園の中の小さな美術館








折角だからと名だたるブランドの本店に向かう。美豚…じゃなかった「ルイ・ヴィトン」は店に入るのも順番待ちだ。東洋人が多く見えるがその大半はチャイナ系。着る物のセンスが日本人と違うのですぐ解る。
でもそれ以上に違うのがその「買いっぷり」だ。何しろ吟味しない。取っ替え引っ替え何度も迷いながらのショッピングじゃない。
「ここからここ迄、ぜ~んぶチョウダイ」とばかりに一気に買う。
恐らく中国の富裕層なのだろうが見ていてあまり気持ちの良いものでは無かった。





あ~そこは上がっちゃいけません、と書いてあります。




コンサート会場の教会




地元のひとばかり。けっこう寝てます。







いったんホテルに戻るとカウンターのオヤジが「ムッシュー(ご主人)は疲れてそうに見える。オレの飲んでるスタミナドリンクを飲め」と勧めてくれたのを丁重に断り、申し込んであった教会のコンサートに出掛ける。
パッヘルベルやアルビノーニなど誰でも聴いた事が有るような親しみやすい曲を生で聴けるのだがさすがに日本人はボク等位で殆どが地元の人で埋まっていた。
高い教会の天井に響く弦楽器の音に酔いしれているとニョーボ、子供は「ZZZ…」
おいおいここで居眠りとは、と周りを見ると結構寝ちゃってる人が居ます。まぁ無理も無いか。

さてこれから2014年へのカウントダウンなので賑やかなコンコルド広場かエッフェル塔の近くで新年を迎えようと地下鉄に乗る。
年末年始のメトロは乗車賃が無料なのでごった返す改札からホームまで迷子にならないように歩く。

それにしても酔っ払いが多い。アチコチに割れたワインボトルが散乱し奇声を上げている若者が沢山いる。
街角には「軍人」か?と思うような重装備の警察官が配備され不測の事態に備えている。カウントダウンも近づき広場はますますごった返してきたのとメトロで階段規制が始まった。カフェは何処も満杯で座るところも無い。
さすがにヤバめな雰囲気を感じてホテルまで引き上げることにする。
輝くエッフェル塔がキレイだ。




年末年始のカウントダウンは何処でも賑やかだ。





だんだんヤバめになってきたので退散することに






夜明けのルーブルはもうこんな状態




世界中から来てます

なぜ朝早くからこんなに並ぶのか。
まだ夜明け前なのに何処までも続く長~い列。
まぁそれだけのモノがある訳だし規模も大きい。ボクも次来られるのは何時になるか判らないのだ。並んでもシッカリ見たい。
いともアッサリとモナリザやミロのヴィーナスが目の前にある。なんか不思議な気分だ。
とても見きれない。足を棒にして歩いても次から次への名画、彫刻の類。残念だったのはニケが修復のため見られなかった事くらいか。









ルーブルの中は撮影フリー 心が広いね。









これはデカかった。有名な「ナポレオンの戴冠式」


「オペラ座の怪人」で有名なパリオペラ座のはす向かいで食事を取る。ここも観光客だらけ。
フランスを訪れる観光客は年間8千万人、日本の薬10倍だそうな。それだけ見るモノ買うモノ楽しむモノが多いということだろう。




御存じ「オペラ座の怪人」オープニングで出てくるやつ











買い物に付き合わされたシャンゼリゼは夕方。
シャルルドゴール空港までのバスは夕闇のパリを抜けて走る。これから12時間のフライト。気が遠くなる。






ノートルダム大聖堂




高感度が強くなったE-M1は頼もしい。






E-M1&12-40F2.8






ダイナアクションパーカ

2013-10-03 22:22:53 | 日記
最近のヤッケはオシャレというかファッショナブルと言うか。
しかもヤッケなんかではなく「ハードシェル」とか言ってます。
昔はICI石井の頭から被るオバQみたいやつで色は赤と青の二種類だけ。ナイロン二重でダブルヤッケと呼んでました。二枚の布の間に空気の層が出来て結構暖かかったんですが春山など天気の読みにくい時期だと雨具も別に持参しなくてはならなくて、Gore-Texが出てからオールウェザ、で一枚で済むようになりました。
ここ数年の登山ブームでオシャレさにも拍車が掛かったようで色使いも、よりハイセンスになってお値段もかなりヨロシクなってきました。

特に人気のMAMMUTやHAGLOFS、ARC'TERYXなどは面玉がびよ~んとしそうなプライスで貧乏性の山ヤには超高値の華。5万とか7万?…ってほんとかよ…
それに較べてmont-bellのなんと財布に優しいことか。
でも最新型のハードシェルは2万から3万は優に超えます。半年ごとに送られてくるカタログを眺めて溜息の日々。あー欲しい。
mont-bellって値段は手頃なんだけど色使いが爺臭いんだよね。購入者が高年齢に偏ってるんだろうか。



そんな中でもストリームジャケット(2013版)の赤はなかなかカッコイイ。
でショップで袖を通してみたんだけどSサイズでもどうもブカブカなのです。これホントSサイズ?って欧米人のSは日本人にはMサイズ以上なんだそうで。
で生地は薄いのですがダイナアクションパーカはユニセックス(男女兼用)でXSがあってこれが細身のボクにはピッタリ。
だいたい冬場でもアンダーウェアに中間着、その上にヤッケ…じゃないハードシェルを着るボクにはこの程度のピッタリ感が合っているのです。

でも欲しかったオレンジ+ブラックのやや派手目のが無くて購入を控えていたのですが気が付いたらカタログ落ちになってました。
あ~残念と思ってたら何とアウトレットで手に入るらしい。しかも割安で。

早速、入間のアウトレットに電話を入れ在庫確認。すると大阪のショップにあるので取り寄せてくれるとか。

33,200円の定価が26,560円で買えました。
後はヨレヨレになったオーバーズボンも買い替えたら今年の冬は快適な登攀が出来そうです(^^)