今回は、蒔絵の吸物椀です。
大きめの古い桐箱に入っています。
何やら煌びやかな品です。
大振りの吸物椀が10客です。蓋が一枚どこかへ紛れ込んで行方不明(^^;
径 10.2㎝、底径 4.8㎝、高 9.8㎝。重 81g。大正―戦前。
全体に薄造りです。端は1.3mmほどの厚さ、底や蓋の中央も3mm以下です。これまで紹介した轆轤引きの木製漆器よりも、はるかにプラスチック容器に近いです(^^;
内も外も金地です。
外側には、鳳凰の羽根が描かれています。
羽根の先のハート型の部分には螺鈿が入っています。
椀の内側には、すべて、擦り疵があります。実際に使われていたのですね。
蓋の方はほとんど無疵なのですが、一枚だけ、大きな剥げがありました。そこで、私が金粉を蒔いて補修をしました。下の写真で白っぽく見える所です。金粉も、グレードや粒度によって、色合いが異なります。金は色合わせが難しいです。
この補修は、昔、金継ぎ教室に通っている時に行いました。その教室では、陶磁器だけでなく、漆器の補修も教えてもらえました。
何年か通ったのですが、まもなく止めました。理由はいろいろありますが、一つはお局です。こういう文化教室は女性が多く、いきおい番頭気取りのボスができます。件のお局様は、いつも、教室の一番前にデーンと構えて、睨みをきかせていました。気の弱そうな新人女性が入ると、ネチネチとからむ。その一方で、それらしい男性が入ってくると、やたら、世話をやくのですね。幸いにも、私は難を逃れました。それらしい要素が何もなかったからです(^^;
で、この金地椀を修理しようと取り出しました。すると・・・「あら、いいお椀ね。でも、これプラスチックね、ホホホ」
こういうヤカラは相手にしないのが賢明です。「アンタに言われとーないわ」と胸の中でつぶやきつつ、黙々と作業をすすめました(^.^)
全体の薄造りはプラスチックを思わせますが・・・・・底には、木目がバッチリと出ています。木製でこれだけの薄造り、さすがに金沢漆器ですね。
お局様に、一本勝ち!(^.^)
ところが、この絢爛豪華な吸物椀は、ウチでは不人気です。
曰く、「品がない」
ま、確かに😅
「お前は、秀吉かー」
ですね😇