面白古文書『大きな物見立てくらべ』です。
36.2㎝x 49.3㎝。江戸時代後期。
相撲の番付表を模した比べ物です。瓦版のような刷りです。
江戸後期には、東西対抗の形式で、いろいろな番付表が、数多く出されました。その中で、風刺やパロディに満ちた一群の番付表があります。
以前のブログでは、『嘘くらべ見立て評判』を紹介しました。
今回の品は、先回よりも数段大きく、良質の紙に刷られています。
相撲番付を模した『大きな物見立てくらべ』です。東の方(上段)と西の方(下段)とに分けて書かれています。上段と下段を、2回にわけてブログアップします。
意味がわからないものがいくつかあります。赤色でマークしてありますので、ブログ読者諸氏の御教示をお願いします(^.^)
上段:
大きな物見立てくらべ
ひがしのかた
勧進元 学者の胸のうち
(学者の胸の内)
大関 ゑびすかうのうりかひ
(戎講の売り買い)
関脇 おいらんの箱でうちん
(花魁の箱提灯)
小結 ゆやでひやうばんの男
(湯屋で評判の男)
前頭 やどなし乃うち
(宿無しの家)
前頭 よくどうしいぬひあげ
(◯◯・・・・・・・◯◯)
前頭 にくまれものゝかほ
(憎まれ者の顔)
前頭 いなかものゝきものゝもん所
(田舎者の着物の紋所)
前頭 さいじやう寺のいんぎゃう
(西上寺の印形)
前頭 ぶしやうものゝしらミ
(無精者の虱)
前頭 はんにやめん乃くち
(般若面の口)
前頭 年男乃豆まきの聲
(年男の豆まきの声)
前頭 しばらく乃出は
(暫くの出端)
前頭 にわうのわらじ
(仁王の草鞋)
前頭 十五夜のおなら
← 秋に収穫したさつまいもなどを入れたごはんがよく食べられる。
前頭 ろう月てう乃まんじう
(露月町?の饅頭)
前頭 むすこをしかるおやじの目玉
(息子を叱る親爺の目玉)
前頭 としま乃うれしがる物
(年増の嬉しがる物)
前頭 ひつそくしたい人のしやつ金
(逼塞したい人の借金)
前頭 どうらくものゝたばこ入
(道楽者のたばこ入)
前頭 おうばどのゝねすがた
(お姥殿の寝姿)
前頭 こぶなてうの大こんしめ
(小船(鮒?)町の大根注連)
行司 わらひ本のおんこと
(笑い本の御事)
【暫(しばらく)】歌舞伎十八番の一つ。11月の顔見世興行には必ず上演。
【出端(では)】歌舞伎の主役が舞台に登場すること。
【湯屋(ゆや)】銭湯。ふろ屋。湯女が接客をすることもあった。
【逼塞(ひっそく)】落ちぶれて世間から隠れ住むこと。
【笑い本(わらいほん)】春本。
【大根注連(だいこんしめ)】神棚などに飾る太めのしめ縄。
【御事(おんこと)】男女の交わり。