遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

面白古文書 『大きな物見立てくらべ』(上)

2021年11月27日 | おもしろ古文書

面白古文書『大きな物見立てくらべ』です。

36.2㎝x 49.3㎝。江戸時代後期。

相撲の番付表を模した比べ物です。瓦版のような刷りです。

江戸後期には、東西対抗の形式で、いろいろな番付表が、数多く出されました。その中で、風刺やパロディに満ちた一群の番付表があります。

以前のブログでは、『嘘くらべ見立て評判』を紹介しました。

今回の品は、先回よりも数段大きく、良質の紙に刷られています。

相撲番付を模した『大きな物見立てくらべ』です。東の方(上段)と西の方(下段)とに分けて書かれています。上段と下段を、2回にわけてブログアップします。

意味がわからないものがいくつかあります。赤色でマークしてありますので、ブログ読者諸氏の御教示をお願いします(^.^)

上段:

 

  大きな物見立てくらべ

ひがしのかた
勧進元 学者の胸のうち
        (学者の胸の内)
大関 ゑびすかうのうりかひ
      (戎講の売り買い)
関脇 おいらんの箱でうちん
  (花魁の箱提灯)
小結 ゆやでひやうばんの男
    (湯屋で評判の男)
前頭 やどなし乃うち
    (宿無しの家)
前頭 よくどうしいぬひあげ
    (◯◯・・・・・・・◯◯)
前頭  にくまれものゝかほ
    (憎まれ者の顔)
前頭  いなかものゝきものゝもん所
    (田舎者の着物の紋所)
前頭  さいじやう寺のいんぎゃう
    (西上寺の印形)
前頭  ぶしやうものゝしらミ
    (無精者の虱)

 

 

前頭  はんにやめん乃くち
    (般若面の口)
前頭  年男乃豆まきの聲
    (年男の豆まきの声)
前頭  しばらく乃出は
  (暫くの出端)  
前頭  にわうのわらじ
      (仁王の草鞋)
前頭  十五夜のおなら  
  ← 秋に収穫したさつまいもなどを入れたごはんがよく食べられる。
前頭  ろう月てう乃まんじう
      (露月町?の饅頭)
前頭  むすこをしかるおやじの目玉
    (息子を叱る親爺の目玉)
前頭 としま乃うれしがる物
    (年増の嬉しがる物)
前頭  ひつそくしたい人のしやつ金
     (逼塞したい人の借金)
前頭  どうらくものゝたばこ入
      (道楽者のたばこ入)
前頭  おうばどのゝねすがた
      (お姥殿の寝姿)
前頭  こぶなてうの大こんしめ
      (小船(鮒?)町の大根注連)
行司 わらひ本のおんこと
      (笑い本の御事)

【暫(しばらく)】歌舞伎十八番の一つ。11月の顔見世興行には必ず上演。
【出端(では)】歌舞伎の主役が舞台に登場すること。
【湯屋(ゆや)】銭湯。ふろ屋。湯女が接客をすることもあった。
【逼塞(ひっそく)】落ちぶれて世間から隠れ住むこと。
【笑い本(わらいほん)】春本。
【大根注連(だいこんしめ)】神棚などに飾る太めのしめ縄。
【御事(おんこと)】男女の交わり。

コメント (2)
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