遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

煎茶用茶入れ(4種)

2023年02月25日 | はぐれ茶道具

茶則に続いて、煎茶用の茶入れ4種です。

左から、

陶胎七宝草花紋茶入、磁胎漆七宝花鳥紋茶入、木製筒形茶入、樺巻ブリキ茶入。

陶胎七宝草花紋茶入:

胴径 8.8㎝、口径 、5.8㎝、底径 5.6㎝、高 11.9㎝。明治初期。

陶器の表面に泥七宝を焼き付けた茶入れです。以前のブログで紹介していますので、そちらを参照していください。

磁胎漆七宝花鳥紋茶入:

胴径 8.4㎝、口径 、6.1㎝、底径 5.3㎝、高 13.3㎝。明治初期。磁器の表面に、七宝釉薬ではなく、漆処理をした茶入れです。陶磁胎七宝はまだブログアップしていない品が相当数あるので、この品の詳細はいずれそれらと一緒に報告します。

樺巻ブリキ茶入:

径 7.7㎝、高 8.1㎝。昭和。

樺皮が巻かれたブリキの茶入れです。お茶が入っていた贈答品だと思います。

木製筒形茶入:

径 6.0㎝、高 13.5㎝。明治-戦前。

木をくりぬいて作られた茶入れです。故玩館を大改修するとき、壊れかけた水屋箪笥の隅に転がっていた品です。使われた記憶がないので、戦前以前の品でしょう。埃にまみれていたのを綺麗にしました。

内蓋、外蓋とも、非常にきっちりと締まります。

両方の蓋の木目がほぼ一致します。

内蓋と合わせ部分、そして本体部の木目が一致します(厚さが違う部分なので少しずれている)。

蓋をすれば、これこの通り、木目が通る。

これは、一本の木材から削り出して作られた品ですね。

しかし、いくら頭をひねっても、これだけの細工をする方法が浮かびません。長さ13.5㎝の木をこのように切分けるにはマジックでも使わないと無理。

そこでヒラメキが🤔🧑‍🎓

最後の写真、木目はそろっているけど、厳しく見ると微妙にずれています。

そこで、蓋を少しずらしてみました。

おお、ほぼ一致するではありませんか。

まず、一本の木を、蓋受けを含めた本体部分、内蓋、外蓋になる部分の三つに切り、それぞれを削り出してこの茶入れを作ったのですね。

この木製茶入れについて長々と説明してきたのは、現在、私が使っているのはこの品だけだからです。

その理由は材質。

金属、陶磁器、木と試してみて、

どうも、木製の茶入れの具合が良いのです。

一般に、煎茶の茶入れは、錫製が最良だとされています。それは、気密性が良く、茶葉の変質を防ぐからだと思われます。

しかし、同じ茶葉をこの2種の茶入れにいれてしばらく試してみると、明らかに木製に軍配が上がるのです。内側が、木とブリキ(鋼に錫メッキ)の違いです。長期間の保存ではなく、普段、たびたび使用する場合、茶葉にとって、ただ密封度が高ければよいというものではなく、微妙な湿度の調整などある種の呼吸ができる環境が好ましいのではないかと考えています。

手に伝わる優しい感触は、茶葉にとっても同じなのですね😌

 

 

 

 

 

 


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 茶則(6種) | トップ | 久しぶりに金継ぎをしました(... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
たかさんへ (遅生)
2023-02-25 18:28:20
お茶の葉って、意外と急須に入れ難いです。その点、茶則を使えば、安心してゆっくりやれます。小さめの物は一杯、一人分の目安でうまい具合にいきます。
安価なこともいいです。
それに、人様からは、何となく丁寧にもてなされている感じがすると思います(^.^)
返信する
Unknown (たか)
2023-02-25 18:02:26
前回の茶則と茶筒を見せて頂いて
そう言えば我が家には無かったなぁと・・・
急須は気に入っては買い求めておりましたが
茶葉は買って来たそのままを急須に入れては飲んでおりました。
もっと風流を楽しまなければいけませんよね。
ちょっと恥ずかしい気分になりました。
返信する
Dr.kさんへ (遅生)
2023-02-25 17:10:55
あれこれ手をだすと、たまにはわかってくることもあります。そんな時は、非常に得をした気になります(^.^)
木製の茶入れは珍しいと思います。どこでこんな物を作っているのか知りません。何となく、こけしを思わせます。東北地方でしょうか。
陶磁胎七宝の類は、元々実用品ではないでしょうね。使うとしても、恐る恐るでしょう。そういえば、超珍品、陶胎七宝の急須があります。またいずれブログで。
返信する
遅生さんへ (Dr.K)
2023-02-25 16:03:29
なるほどね~、木製筒形茶入が最良ですか(^_^)
我が家で使っているものも樺巻ブリキ茶入です。多分これは、お茶が入った贈答品だったものだろうと思います。茶入を買った記憶がありませんので、、、。
でも、木製筒形茶入など、買うとなると高いのでしょうね。そもそも、現在は売っているかどうかもわかりませんけれど、、、。

陶胎七宝草花紋茶入や磁胎漆七宝花鳥紋茶入は高級品ですね。相当に通の人が使うのでしょうか。
もっとも、今では、実用ではなく鑑賞用でしょうか、、、。
返信する

コメントを投稿