『黄昏のオルガニート』 フロリンド・サッソーネ楽団 唄:アンドレス・ペイロ
”Organito De La Tarde” Florindo Sassone (Andrés Peyro) 【YOUTUBEより】
1923年にホセ・ゴンサレス・カスティージョが作詞、これに息子のカトゥロ・カスティージョが曲を付けました。
当時は”Organette Della Sera”というタイトルでイタリア語の歌詞がつけられていたそうです。
オルガニートとは手回しハンドルがついた小型オルガンのことで、1900年代の下町の風物でもありました。
ロマンチックな長調、そして一転しての悲哀を込めた短調に転調するなどなかなか凝らした曲調です。
Al paso tardo de un pobre viejo 哀れな老人ののろい歩みにつれて
puebla de notas el arrabal たそがれのオルガニートは
con un concierto de vidrios rotos 破れ硝子のコンチェルトで
el organito crepuscular 場末の音符を植えてゆく
今では唄われることもなくなりましたが、原詩では
固い木の義足を付けた足を引きずって
カタン、カタンとタンゴのコンパスに合わせるように
古びた手押し車のオルゴールを回しながら
哀れな老人が夕暮れの場末を流して歩く…
という歌詞で始まっています。
やくざ者とのいさかいで、恋人を奪われたうえ片足を失った哀れな義足の男が
手押し車のオルガニートをまわしながら黄昏の場末を流す老人と仇を探し求める…
といった内容で、美しいメロディーからこの歌詞は想像できませんね。