〜かたることばが歌になる風になる〜

バラ『ローザ・ムタービレ』

主人が体調を崩してしばらく合唱団の練習に出ることができなかった。
先週土曜日、9月の最後の練習以来ひと月ぶりに歌った。来年のコンサートに向けて曲目も決まり、それぞれの伴奏者も決まって、どんどん練習は進んでいた。
私が久々に出たので、指揮者はさっそく私の伴奏担当曲F.G.ロルカの「グラナダのみどりの小枝3部作」『バラの変容』『忘れるな』『明日ともなれば』の練習を始めた。
昨年と今年のコンサートの私の伴奏担当は、どちらも沢山の数の『ソング』群のステージで、しかも最後第4ステージで、かなりのプレッシャーだったことも考慮して下さったのだろう、また私の家庭事情も考えて、今までと比べるとかなり負担の少ない曲にして下さったのだと思う。
しかし譜面づらは簡単そうだがこの曲のイメージは、スペインのルネサンス古謡的な雰囲気が醸し出されていて、それなりに曲作りが難しい。

『バラの変容』の出だしはまさしくチェンバロのイメージの音なのだ。
<訂正>2014年5月の練習でこの出だしはギターの爪弾きだと確認したので訂正する。

チェンバロは正確なことはわからないが、14世紀ごろから作られて18世紀後半ごろからピアノが台頭するようになってすたれて行った古楽器だ。弦をひっかくように弾いて鳴らすチェンバロは、音量を変えることができない。ピアノは「ピアノフォルテあるいはフォルテピアノ」と呼ばれた楽器で、名前の通り、音量を自由に変えて表情をつけることができる。時代と共にフォルテの部分がなくなり『ピアノ』だけが名前として残ったのだ。
しかし19世紀ごろからまたチェンバロは復活して、独自の雰囲気を醸し出す楽器として現代でも人気があり、その音色にはフランスの宮廷サロンでの貴族的なきらびやかな雰囲気が漂う。

『バラの変容』はフェデリコ.ガルシア.ロルカの『老嬢ドニャ.ロシータ』という戯曲の中に、1日で一生を終えるというバラの話が出てくるそうだが、そのバラを描いた詩だ。
バラは「ローザ・ムタービレ」という品種(19世紀の植物図鑑に載っていたそうだ)で、朝には血のような真っ赤な色で、昼にはサンゴのような赤になり、夜には白色に色が抜けていき、夜の闇にハラハラと散ってしまうという。
この詩の内容はロルカの中心的思想が込められているらしい。彼は自分の死期を予想していたかのような詩が多いらしく、この『グラナダのみどりの小枝』の2曲目「忘れるな」は遺言のような詩。1936年に勃発したスペイン内乱で38歳の若さで銃弾に倒れている。

『バラの変容』(牛島信明の訳詩)
 朝 咲き始める時には 血のように赤く燃え
 露さえ 焼けつくことを恐れ それに触れようとはしない

 
 昼にはサンゴのように かたく見事に開き
 太陽さえ その光を見ようと 窓辺に覗く

 枝えだの淡いに 小鳥のさえずりが飛び交い始め
 やがて 午後が海のすみれ色にとけて色あせるころ
 それは しおのほおのような白に変わる

 そして夜が 金の角笛を吹き
 星が夜空をのぼり 風が流れ去る時
 暗闇のかたすみで その花弁を落とし始める






活動を終了した「女声合唱団風」のこと、「コーラス花座」のこと、韓国ドラマ、中国ドラマなど色々。

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