高秀氏が市長に就任して2年目に『市民グラフヨコハマ』第79号(1992年3月)が出た翌月、『横浜文化情報誌』という雑誌の創刊準備号が出版された。この冊子は中田市長時代の2007年より『ヨコハマ・アートナビ』に改称されて現在まで続いている。ただし、内容は初期のものとは大きく異なるが。 『横浜文化情報誌』が変質する直前の2006年11月に、新しく『ハマジン』という冊子も創刊準備号が出された。中田市長が好きだった「協働」という名のもとで、市の広報課とサンケイリビング新聞社が一緒に協働編集したものである。これがその号。 タイトルの前に《そろそろ還るか、横浜に》というサブタイトルがついている。これは横浜から外に出て行った元市民に語り掛けているのではなく、地元に居ながらあまり地域に関わっていない人たちや、横浜に関心を持ちたいという人たちに向かっての言葉だと思う。 戦後すぐに発行された『月刊よこはま』でも、飛鳥田市政時代に創刊された『市民グラフヨコハマ』や、その後に発行された『横浜文化情報誌』でも、紙面上に横浜市長が登場したのは「創刊号のことば」くらいだったのが、この『ハマジン』では毎号、中田市長が対談という形で顔出ししている。 目次。そそられる項目はあまりない。 特集は「ライブへ、もういちど」。紹介されているお店は「Bar Bar Bar」、「Motion Blue yokohama」、「KAMOME live matters」、「THUMBS UP」、「Hey-JOE」だけだ。どういう選考基準だったのか…。 そして2007年3月、いよいよ創刊号が発行された。特集は「おとなの春みつけた」。紹介しているのは「三溪園」の梅桜、市民の森に咲く花々、鶴見川や境川のツクシ、ヨモギなど。あとは大さん橋、ロイヤルウイングといった観光施設と金沢のアナゴだ。A4サイズで5ページだから、そんなに詳しくは紹介しきれていない。本文34ページの冊子で、残りはほとんど市からのお知らせと広告である。 「日本と中国を代表するビールを横浜中華街で」という目次に惹かれてページをめくってみたら、なんだ……「大珍褸」と「アサヒビール」の広告みたいな小さな記事だった。 巻頭を飾るのは、やはり市長の対談。まあ、無料の冊子だから仕方ないといえば仕方ないけどね……。 さて、この『ハマジン』、いつまで続いていたのかと思って横浜市図書館で検索してみたら、なんと7号分しか保存されていないことが判明した。閲覧できるのは… 第3号(2007年8月) 第25号(2011年11月) 第26号(2012年1月) 第27号(2012年4月) 第29号(2012年8月) 第31号(2012年12月) 第32号(2013年2月) だけなのである。 で、念のため国立国会図書館で蔵書検索してみたら、でてきた! これだぁ! 創刊号から2013年2月の32号まで揃っている♪ そしてこの32号が終刊であったことが判明。 中田市長が辞任したのが2009年夏だったから、それから3年半くらい続いていたことになる。 ところで、私のあやふやな記憶が正しければ、この『ハマジン』と同じ頃に『045』とかいう冊子も出ていたと思うのだが、現物もコピーも持っていないし、図書館には保存されていないようなので確認のしようがない。これも多分、市長辞任後に消えて行ったのではないかと思う。 さて、問題の季刊誌『横濱』であるが、創刊されたのが中田市長時代の2003年7月。すでに書いているが、前身の『市民グラフ・ヨコハマ』が終刊となったのが2003年2月であるから、間を置かずに創刊されたのだ。 それから約3年半後の2007年3月に『ハマジン』が創刊された。記録がないけど、おそらくその頃に『045』も出版されたと思われる。 1992年3月に創刊された『横濱文化情報誌』もまだ継続して発刊されていたが、しだいに内容・性格が変化してきて、2007年に『ヨコハマ・アートナビ』に改題されている。 以上をまとめると、2007年3月から2013年2月までは、季刊誌『横濱』、隔月刊の『ハマジン』、『横浜文化情報誌』を前身とする『ヨコハマ・アートナビ』、そしておそらく『045』も並行して出版されていたはず。 この中で毎回楽しみにして読み続けてきたのが季刊誌『横濱』だったのである。ただ、毎号、市長の対談が掲載されているのがいやだったけどね。あの『ハマジン』は無料の冊子だったから仕方ないとしても、『横濱』は有料の雑誌だからね。 そして、この『横濱』は2022年4月号をもって終刊となってしまった。 林市長に替わって山中氏が登場したのは2021年8月。市長が交代して8か月。最終号に「一定の役割を終えたから休刊にする」と書いていたが、そうなのかな……。 私には、まだまだ取り上げるテーマはたくさんあると思うのだが。 さて、横浜市が発行してきた広報雑誌がこうして終わってしまったのだが、その代わりと言ってはなんだけど、民間から新しい横浜の雑誌が登場してきた。これについては次回に。 (つづく) ←素晴らしき横浜中華街にクリックしてね |
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