ハングル;教え、そして学ぶ

日々ハングル(韓国、朝鮮語)を教えながら感じること、韓国ドラマでみる名言。

ネコ都市伝説

2020-03-14 12:32:15 | ペット(猫)
 ずいぶん久しぶりの投稿になりました。
去年、エッセイ教室の宿題で書いた文章ですが、読んでいただければと思います。
先日、猫好きの方に読んで頂いたところ、泣きそうになったとおっしゃっていました。

                ネコ都市伝説
 家で飼われている犬や猫のことを、韓国語では「伴侶動物」というらしい。長い間、愛玩動物という意味の単語が使われていたが、今は伴侶動物というようになったようだ。伴侶といえばすぐに配偶者を思い浮かべる私は、最初、違和感を感じた。そして、伴侶の意味を確認した。伴侶とは、「なかま、つれ、とも」とあった。まさにペットは家族であり、長い間をともにする「つれ」である。
 犬は伴侶犬、猫は伴侶猫というそうだ。我が家の伴侶猫は十六年もの長い間、私のそばにいてくれた。その猫が亡くなって早二年。その日は、十月十三日だった。
生後二ヶ月で我が家にやってきた真っ白な子猫に「チュノ」と名付けた。赤ちゃんのとき枕元に寝かせたところ、成猫になってもそこで毎晩一緒に寝た。甘えない猫だったが、夜は少しの間だけ私の腕を枕にした。
 外遊びが好きで、夜も帰りが遅かった。寒い冬に外に探しに行ったことも一度や二度ではない。大きなけがや病気にもめげなかった。十歳を過ぎた頃からは夏バテがひどく、この夏を越せるのだろうかと何度か心配もしたが、そのつど乗り越えた。
 しかし二年前の六月頃、めっきり食欲が衰えはじめた。いつものフードを食べなくなったので、大好物のタイを焼いて身をほぐして与えたり、刺身を与えたりした。七月二十五日の誕生日をどうにか迎えることが出来たが、八月からは、物置部屋になっている部屋でほとんど寝て過ごすようになり、私のそばには来なかった。何度も点滴を受けに病院に通ったのだが、獣医が、それは一人で頑張るからという意味だと教えてくれた。また、とっても強い猫だと感心していた。
 ある日、動けないはずのチュノがスタスタと台所に来て勝手口に座り、外に出たそうにしていた。またある日、大好きだった外に出してあげたとき、また数歩歩いた。その視線の先は、側溝。元気なとき遊んでいた、人目につかない場所。
 私はうんと後に、その行動と「猫伝説」が結びついた。猫は最後を悟ると飼い主の元を離れるという伝説。あれは本当だったのだと、やっと確信できた。
 チョノは十月に入るとリビングで私と過ごし、最後の日は自ら隣の部屋の隅に行った。そして最後に、名前を呼ぶとかすかな声で「ニャー」と応えた。笑顔のようなその顔、精いっぱい、ありがとうと言ってくれているようだった。
 八ヶ月後の十三日、子猫を迎え「チュニ」と名付けた。チュノが使っていたトイレを今もそのまま使っている。他の思い出の品は特にないけれど、彼との十六年の続きを、二世の伴侶と過ごしている


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