今日は慰霊の日。いつものように追悼式典と午後の魂魄の塔前の市民集会に行くつもりだったが、すっかり風邪をこじらせてしまったので、断念。自宅でテレビを見ながら黙とうをした。74年前、人々が南部を逃げまどっていた時も、こんな雨が降り続いていたのかと思う。
本年1月15日、2月19日のブログで、現在進められている辺野古埋立土砂(岩ズリ)の単価の疑問点を指摘した。この問題は大きな反響を呼び、東京新聞(2019.1.18)が1面トップで、琉球新報や沖縄タイムスも1月19日に大きく報道した。東京新聞は2月19日にも後追い記事を1面で報じている。3月5日の参議院予算委員会でも、小池晃議員が防衛大臣に質問してくれた。
・辺野古の岩ズリ単価 従来と比べて3倍に!(2019.2.19のブログ)
(岩ズリ単価の見積書。13社に見積り依頼をしたが、12社が辞退している。)
この埋立土砂(岩ズリ)の単価の問題点について、さらに新しい事実が判明したので、再度、問題の全容をまとめよう。
1.防衛局が2014年度に発注した辺野古新基地関連の工事では、岩ズリの単価は、1,870円/㎥であった。しかし今回の埋立工事(「シュワブ(H29)埋立工事」(1~5工区)では5,370円/㎥と実に3倍になっている。岩ズリは採石に伴う小石混りの土砂だから、本来なら値もつかず、採石場に山積みになっているようなものであるから、こんな単価はあり得ない。
今回の埋立工事の土砂の量は129万㎥なので、以前の価格との差額の総額は45億円にもなる。(辺野古新基地建設では総量1644万㎥もの岩ズリが使われるので、差額は575億円というとんもない額になる。)
2.この土砂の価格決定に際して、防衛局は「資材価格等調査」の委託業務で、13社に見積依頼をしたが、回答があったのは1社だけだった。その1社の見積価格がそのまま採用されたのである。「原則として3社以上から見積りを徴収する」(防衛省「土木工事積算価格算定要領」)という定めは全く無視されている。
岩ズリは現在、琉球セメント安和鉱山から搬出されているから、この1社は同鉱山であろう。すなわち、従来の3倍というのは、琉球セメントの言うがままの価格なのだ。
3.私たちは、6月10日の辺野古土砂搬出反対全国連絡協の防衛省交渉でも、この問題について追及をした。防衛省の担当者は、この岩ズリの単価はあまりに高すぎるのではないかという質問に対して、「資材の単価は需給のバランス等から時期により変動する。H27年度から29年度の間に岩ズリを大量に用いる那覇空港滑走路増設事業が本格化し、岩ズリの需要が増加したため」と説明した。しかし、同時期の那覇空港埋立工事の岩ズリの単価ははるかに安いから、防衛省のこの説明は全く通用しない。
しかも、現在では那覇空港の埋立はほぼ終了しており、岩ズリの需要は減少している。しかし、今も価格は清算されておらず、当初の価格のままである。
今回、さらにとんでもない事実が明らかになった。
4.防衛局の「資材価格等調査」は2017年12月8日~2018年1月19日に実施され、その調査結果は2018年1月に出された。ところが、「シュワブ(H29)埋立工事」(1~5工区)の設計図書は、すでに2017年11月に作成されており、岩ズリの5,370円/㎥という単価もその設計図書に記載されている。すなわち、見積りが実施される以前に、単価はすでに決まっていたのである。こんなデタラメな話はない。
これこそ、まさに「官製談合」そのものではないか?