お勤めの皆様は、やっと今日からお休みですね。あと3日で2017年が来てしまいますが、実は2017年になったとたんの1月7日(土)、アジア映画が立て続けに公開されます。かなり早い時期に試写を見せていただいた作品もあり、やっとゆっくりご紹介できる、と思っていたら、作品の画像をいただいていなかった! 個人的にトホホだった2016年、最後までトホホな私ですが、ぜひ見ておいていただきたい作品が2本あり、それをちょっと詳しくご紹介すると共に、他の公開作もずらずら~とご紹介してしまおうという企画「新年に見たいアジア映画」です。まずは、赤丸大推薦の香港・中国映画『疾風スプリンター』からどうぞ。
『疾風スプリンター』 公式サイト
2015年/香港・中国/125分/北京語・広東語・英語・韓国語/原題:破風/英語題:To The Fore
監督/脚本:ダンテ・ラム(林超賢)
主演:エディ・ポン(彭于晏)、チェ・シウォン、ショーン・ドゥ(竇驍)
配給:ギャガ、新日本映画社
配給・宣伝:エスパース・サロウ
※1月7日(土)より新宿武蔵野館ほか全国ロードショー公開
台湾を拠点に、自転車競技の世界を描く快作です。主人公は、炫光隊(チーム・レディエンド)という競技自転車チームに入ろうとする新人の仇銘(チウ・ミン/エディ・ポン)と、同じく新人の邱田(チウ・ティエン/ショーン・ドゥ)、そしてすでにチームのエースとして活躍している韓国人のチョン・ジウォン(チェ・シウォン)。ミンは調子のいい男で、一見軽薄に見えながら、競技への情熱は人一倍。地道に努力を重ねるティエンとは対称的ですが、二人は親友で、時には同じ女の子を好きになったりもします。それは、大けがをし、一度は自転車競技から離れていた女子選手詩瑶(シーヤオ/王珞丹ワン・ルオダン)でした。恋をする一方で、台湾や中国、ヨーロッパを舞台にした競技への出場、ライバル・チームとの火花の散るような闘い、そして他チームからの引き抜きなど、爽やかな自転車競技の陰では、様々な事件が起こっていたのでした...。
自転車競技というと競輪をすぐ思い浮かべてしまいますが、ああいった個人競技と違い、ここに描かれるのはものすごい駆け引きを伴った団体競技。1人1人の能力を極限まで高めていく訓練と共に、団体での駆け引きをどのように設計していくのかが、競技の重要な課題となってきます。本作はそんな競技の醍醐味を思う存分見せてくれると共に、青春ものには必ずついてくる恋のさや当てや挫折、裏切り、和解といったエモーショナルなドラマもたっぷりと描かれる、スポーツ・エンターテインメント作品です。特に、アクション映画のアクション・シーンに匹敵する競技シーンは、こちらの目の前を自転車が走り抜けていくような臨場感を味わわせてくれて、出色の出来です。
面白いのは、競技シーンには実況中継が必ず流れるのですが、その部分だけは広東語になっていること。あのスピード感、複雑な動きをするチームの流れを解説するには、やはりリズミカルな広東語がいい、との監督の判断でしょうか。そのダンテ・ラム監督が目下一番お気に入りの男優エディ・ポンは、以前にも『翻滾吧!阿信(ジャンプ!阿信)』(2011)で体操選手役を演じたことがありましたが、実にスポーツ選手がハマる役者です。その身体能力が買われて時代劇アクションにも引っ張りだこで、チャン・イーモウ(張芸謀)監督の『長城』(2016)にも出演中。一方、そのチャン・イーモウ監督作『サンザシの樹の下で』(2010)でデビューしたショーン・ドゥは、着実にキャリアを重ね、今、さらなるブレイクを模索中です。また、香港映画『ヘリオス 赤い諜報戦』(2015)等でお馴染みのSUPER JUNIORのチェ・シウォンは、今回は2人よりも先輩格の役で、落ち着いた演技を見せています。
自転車競技に関心のない人でも、これら3人の男優らが演じる迫力の競技シーンにはぐっと引き込まれてしまうでしょう。思わずママチャリで疾走してみたくなる『疾風スプリンター』、あなたの新しい年を熱くしてくれること間違いなしです!
香港発のプロ・ロードレース映画『疾風スプリンター』日本版予告編