アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

今日は『炎』の日

2024-08-17 | インド映画

今日は『炎』の日、というタイトルから、暑い、いや、熱い日だったものね~、と思われたなら、残念、ハズレです。私が取り上げたい『炎』は、1975年製作のインド映画で、原題を『Sholay(ショーレー)』という作品のことです。今日は福岡アジア美術館(愛称「あじび」or 「アジ美」)で「アジアン・ポップ☆イベントⅡ」という催しがあり、あじびホールで『炎』の上映があったのですが、その前説として、Asian Film Jointの三好剛平さんと共に30分ほどお話をさせていただいたのでした。暑い中、お運び下さった約100名の参加者の皆様、ありがとうございました。

なぜアジ美でインド映画『炎』の上映を? という疑問にお答えするには、上のチラシの真ん中にある絵が、アジ美の収蔵品の一つで、今回開館25周年記念コレクション展「アジアン・ポップ」出品作品となっているインド人画家アトゥル・ドディヤの「ガンボージ色のガッバル」というタイトルの絵であることを知っていただく必要があります。もっと大きくご覧になりたい方は、こちらにアクセスしてみて下さいね。拡大してご覧になれます。「ガンボージ色」について知りたい方はこちらもご参照下さい。「ガッバル」は『炎』に出てくる盗賊の首領ガッバル・シン(下写真左端)のことで、その存在の大きさを語る証左がこの芸術作品である、というわけです。今日映画を見にいらした方は、展示室でこの作品もご覧になったことと思います。

©National Film Archive of India(NFAI)

今回の『炎』の上映が可能になったのは、2年前にこの作品が配信サイト「JAIHO」で配信されたからで、その時字幕を担当させていただいたのが私でした。その時に書いたブログ記事がありますので、こちらもご参考までにどうぞ。そこにも書いていますし、今回もお話させていただいたのですが、日本での初上映は、1988年の「インド祭」(インド政府と日本政府が合同で開催したイベント)の一環として開催された「大インド映画祭1988」の場で、日本側の開催を担ったのは(株)ぴあでした。何せ政府間の事業なので、うんざりするほど長い準備期間がかかり、天文学的数字の交渉回数を経て、上映する映画の本数も当初100本から50本、25本と減っていき、結局25本で開催されたのですが、最後まで『炎』が残せてよかったです。この時のプリントがごく一部を除いて「インド祭」終了後、日本の国立映画アーカイブによって買い上げられ、その後もたまーに上映されたりしたのですが、この時の字幕がちょっと気になっていたので、「JAIHO」配信時に新たに翻訳させてもらったのでした。

©NFAI

今回の前説では、スタッフ&キャストも紹介したのですが、多分時間があまりないだろうとレジュメにして三好さんにお送りしたところ、カラーコピーの上きれいなパンフ状にして配って下さったようで、とてもありがたかったです。場面写真もJAIHOさんの提供で何枚か使えましたし、私が国立インド映画資料館(NFAI)で代価を払って手に入れたモノクロ画像もあったので、結構充実したレジュメになったのでは、と思います。さらに、昔インドで実際に会って撮ったスターの生写真も入れたりして、このレジュメを作りながら、将来「インド映画巡礼」という本を書くとしたら、『炎』の話だけで1章立ててもいいかもしれないな、などと思ったりもしました。ま、トラタヌ(=捕らぬ狸の皮算用)なんですが、そろそろ本も書かないといけない状況になってきています。それから、『炎』を引用した作品についても、シャー・ルク・カーン主演の『ラジュー出世する』(1992)とリティク・ローシャン主演の『スーパー30 アーナンド先生の教室』(2019)を上げておいたのですが、他にも、東京国際映画祭で上映されたゾーヤー・アクタル監督作、ファルハーン・アクタル主演の『チャンスをつかめ!』(2009)などがあります。『チャンスをつかめ!』は『炎』の脚本家の1人ジャーヴェード・アクタルの娘ゾーヤーが監督、その弟ファルハーンが主演した作品で、映画俳優志望の青年の話なのですが、彼が通う演技スクールの1日教官としてマック・モーハン(ガッバルの手下サンバ役で出演)がやってきて、「プーレー・パチャース・ハザール(きっかり5万ルピー、の意味。「ハザール」をなまって「ハジャール」と言うのが特徴的)」という劇中のセリフ(ガッバルが「おい、サンバ、警察が俺に懸けた賞金はいくらだったかな?」と聞いて答えさせるシーン)を言ってみせる、というシーンがあります。ほかにもいっぱいありそうな気がするのですが、ほんと、その場で書き留めておかないとすぐ忘れます。

『炎』のレコードEP盤ジャケット

最後に『スーパー30 アーナンド先生の教室』の「Basanti No Dance(バサンティ、踊るな)」のシーンを付けておきます。アーナンド先生(リティク・ローシャン)に命じられて、優秀な予備校の前で英語版『炎』の上のシーンをミュージカルにしてやってみせる生徒たちです。字幕がないのでわかりにくいかも知れませんが、お手元にこの作品のDVD/Blu-rayを持ってらっしゃる方はぜひ見てみて下さいね。来年は1975年8月15日の公開から50周年となる『炎』、インドでは何かイベントがあるかも知れません。

Basanti No Dance - Full Video | Super 30 | Hrithik Roshan & Mrunal Thakur | Ajay Atul

 


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