JR北海道は『当社単独では維持することが困難な線区』(13線区1,237㎞)への考えを発表した。
①輸送密度200人未満
●札沼線:北海道医療大学前~新十津川
●根室線:富良野~新得
●留萌線:深川~留萌
これらの線区では営業係数1000を大幅に超えており、1列車の平均乗車人員は10人程度となっている。通常赤字の他に、土木構造物の維持費がかかるため、バス等の転換を地域住民と相談することになる。
②輸送密度が200人以上2000人未満
●宗谷線:名寄~稚内 ●根室線:釧路~根室 ●根室線:滝川~富良野
●室蘭線:沼ノ端~岩見沢 ●釧網線:東釧路~網走 ●日高線:苫小牧~鵡川
●石北線:新旭川~網走 ●富良野線:富良野~旭川
これらの線区では営業係数300から1000程度になっており、国鉄時代ならば廃止対象、安全な鉄道サービスを維持するための費用は単独では確保できない。そのため、駅廃止や列車見直しによる経費節減、運賃値上げ、上下分離方式、利用促進策を地域住民に相談したうえで、鉄道か代替の交通機関のどちらが便利か検討する。
③既に『持続可能な交通体系のあり方』等について話し合いを始めている線区
●石勝線:新夕張~夕張 ●日高線:鵡川~様似
夕張支線は輸送密度118、日高線は輸送密度186。引き続き地域住民と『持続可能な交通体系のあり方』等について、話し合いを継続する。
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民営化直後よりさらに利用者が減少したJR北海道、在来線総延長2,315キロのうち半分以上の距離の輸送密度が1500を下回る深刻な状況になった。
特に民営化直後より減少が激しいのは夕張支線で、輸送密度は1,129から118に下がっている。人口が半減したのに対し、利用者がここまで減ったのは、マイカーやバスに移行したのではないかと。その結果、夕張市の方から廃止を申し出ることになった。日高線の鵡川から先は、86億円かけて復旧しても、維持費用が53億もかかる路線、輸送密度186の路線に対する費用と考えると負担はかなり大きい。そう考えると、復旧せずに廃止の可能性が高いのではないかと。現に10月に沿線町長が協議して、廃止を容認しているし。2019年度になると思われる夕張線より先に廃止されそうだ。
①の輸送密度200人未満については、札沼線は1往復にした時点で鉄道としての存続を半ば諦めている状態、鉄道がない状況になった時の試行を行っているという感じである。根室線の富良野~滝川間は他路線に比べてあまり廃止候補には挙がってなかったけど、石勝線開業時点で輸送密度が654まで下がっていたのか。バス4往復ということを考えると、十勝地方~旭川間の都市間需要も大したことないからな。一時期は快速『ホリデー旭川』が運転されていたけど。JR北海道は、東鹿越~新得の復旧を来春以降と言いつつ、費用を見積もってないから、そのまま廃止する可能性の方が大きいのでは。
留萌線の残り区間は、民営化時点で418、さらに10年前に深川留萌自動車道が糠幌まで開業したり、留萌市の人口が3分の2まで減少したりで、半分以下の183まで減った。3年後には自動車道が留萌高校の辺りまで延びるから、そのタイミングで廃止にするのではないかと。
②については、石北線、富良野線については輸送密度1000を超えるが、それ以外は600を下回る。
宗谷線は約400と、特急運転区間では山口線の津和野以北並みに厳しい状況、来春改正では一部の駅を削減する予定だが、特急と普通の統合の可能性もありえる。だが、沿線住民の反発が強く、せいぜい上下分離止まりになると思う。次いで輸送密度が低いのは根室線の花咲線部分、民営化直後と比較すると、根室市の人口は3割の減少だが、花咲線の輸送密度は半減している。列車で2時間半前後かかるところが、バス代替となると3時間近くかかるようになるけど、駅から離れれば時間差は減っていく。そう考えると、宗谷線より廃止の可能性は高い。根室市の人口は27000と、稚内市の35000を下回っているし。
根室線の滝川口も500を切る輸送密度、富良野以南の3倍以上とはいえ深刻、高速バスが毎時1本並走するとはいえ昼間だけなので、通学客需要はそこそこある。臨時の貨物列車が滝川~富良野間に設定されているので、もし廃止とならば貨物を富良野線経由にさせなければならない。
室蘭線の岩見沢口は、定期貨物がショートカットしていることから廃止の可能性が一番薄く、せいぜい3セク化かなと思う。JR側としても、飽和状態の千歳線に貨物を通したくないだろうし。でも、沼ノ端~追分の複線を単線にして、線路保守料を浮かす可能性はありえそうだ。
釧網線は観光需要をうまく活かせばどうにでもなると思う。流氷ノロッコの置き換え列車も走り出したし。日高線は、むかわ町次第なのかなと思う。駅間距離が長く、速度制限もないから、新しい気動車で最高速度を引き上げれば、大湊線のように時間短縮すると思うのだけど。
以上6路線は700を下回っているが、石北線、富良野線は1000を超えている。石北線は、都市間輸送もあるので、上川から先の輸送密度も1000をぎりぎり超えている。高規格道路が並走するようになったもののの、それは遠軽までの話。北見、網走には鉄道による特急が必要である。来春改正でオホーツクに新車が入るか気になるところだ。富良野線は観光需要以外に緑ヶ丘近辺への通学需要があるから、せいぜい早朝深夜の芦別以南の見直しではないかと。
宗谷線の名寄以南は1500人と富良野線に次いで低いが、北海道高速鉄道開発の兼ね合いで改良工事もした区間なので、当面はJRで維持、帯広~釧路間も2200人ほどだが同様の扱いだ。
困難な線区以外は、札幌都市圏及び、特急が設定されている函館線、室蘭線、石勝線が該当、輸送密度675の函館線山線は14年後の新幹線開業時に切り離すから困難な線区から含まれなかった。
5年後というスパンで考えた時、廃止となるのは①と③ぐらいで、②は宗谷線、根室線が3セク化するくらいだと予測する。でも、キハ40の置き換えとなる車両を3年後から導入することを考えると、そう遠くない時期に、残す路線と廃止する路線を決めるかもしれない。地元住民の反発は出てきたけど、三江線の例もあるからな。
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