テレビから消えた「ふなっしー」が地道に営業をこなして荒稼ぎ
一部メディア「終焉説」の真偽
ふなっしーは消えた。ふなっしーは終わった。もう誰も、ふなっしーのことなど興味がない……。こんな記事が、ネット上で散見される。リアリティを感じる人も、少なくないのだろう。
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例えばニフティニュースには「『ゆるキャラグランプリ』終了予定と判明 ふなっしーは凋落、勝ち組はくまモンだけ?」(2017年11月30日)という記事を掲載している。配信元は「アサ芸プラス」だ。
記事では「非公認とはいえ、年収7億円ともいわれた“ふなっしー”の凋落が象徴するように、ゆるキャラは完全に飽きられました」と断言。「国民も『ゆるキャラは“くまモン”だけでいいのでは?』という気持ちになったことは否めません」という“エンタメ誌ライター”の指摘も紹介している。
他にも「ブーム終焉!? ふなっしー、芸能界で逆風? 不義理なフジテレビに梨友激怒」(ミステリーニュースステーションATLAS:2017年8月3日)という記事も、検索上位に表示される。
こちらも「ギャラが獲れるタレントまで昇華したゆるキャラもいた。それが、『ふなっしー』や『ちいさいおっさん』であった。/彼らはトーク力に長けており、一躍スターダムにのし上がったが、最近ではその露出は激減している。もはや旬は過ぎたということであろうか・・・?」と、やはり“ふなっしー終焉説”を展開している。
仕事を選ぶようになったふなっしー
実は共に、根拠に乏しい記事なのだが、それでも読まれているのは、読者が「そういえば最近、ふなっしーをテレビで見てないよなあ」と、心の中で補足してくれるからだろう。
だが、これに真っ向から反論するのがテレビ局の関係者だ。「ふなっしーは営業で死ぬほど稼いでます。めちゃくちゃ売れっ子ですよ」と解説する。
「確かにテレビの出演は少なくなりました。これには複合的な理由があります。何しろ、CM、アニメ、テレビドラマ、映画、舞台、ゲーム、コミック、小説、絵本と、1人メディアミックスといった具合の人気者ですから、どんどんギャラが跳ね上がっていったんです。テレビ局側としては『高額の出演費を出すのだから、元が取れるほどのインパクトがある映像を撮りたい』と考えます。その代表例が、日本テレビ系列の『うわっ!ダマされた大賞』でしょう。13年の10月に放送された番組では、ふなっしーに対して爆破ドッキリが仕掛けられました」
違法にアップロードされた動画も閲覧できるが、確かに馬鹿馬鹿しい内容だ。次第に、ふなっしーは「仕事を選ぶ」ようになっていく。本人は否定したとはいえ、何しろ年収7億円とも噂される売れっ子だ。さらに「中の人」は“本業”でも依然として稼いでいるという観測も根強い。「別に土下座してでもテレビに出たいわけではない」と考えたとしても不思議はないだろう。
GWは大稼働で荒稼ぎ
「ふなっしー側から様々な要求が出されると、率直に言って『面倒だな』と思うスタッフが増えていきます。おまけに芸人とは違って、ふなっしーはテレビ出演に執着がありません。話し合いは平行線となり、互いに疎遠となっていきます。そのため、ふなっしーは、営業に本腰を入れて大成功を収めます。キャラクタービジネスも好調です。一方の我々テレビ側は、茨城県名産の納豆をモチーフにした県非公認キャラクターの“ねば〜る君”をスターにしようとしましたが、ふなっしーほどの人気は獲得できませんでした」(同・テレビ局関係者)
テレビ側の完敗だったわけだが、それでは、ふなっしーの近況を見てみよう。例えば5月1日は「ふなのミ 2018 in 東京」という、会員限定のファンイベントを開いている。参加者のブログなどによると、会場は東京メルパルクホール(東京都港区芝)で、チケットは完売したようだ。
4日は、楽天生命パーク宮城(宮城県仙台市)で、プロ野球・楽天対西武戦の始球式。こちらは多くのメディアに取り上げられた。ちなみに楽天とふなっしーの縁は深く、今回で3年連続の始球式となった。
6日は大阪、12日には福岡で「ふなのミ」を開催。その合間には動画の撮影などをこなしている。過密スケジュールと形容しても全くおかしくない。さらに関連ショップを販売する「ふなっしーLAND」は、船橋本店(千葉市)、大阪梅田店、名古屋店、さらに「ふなっしーLAND Select HARAJUKU」(東京都渋谷区神宮前)の4店舗が現在も稼働。ふなっしーがテコ入れに来店することもある。
一発屋としての王道
17年11月、ふなっしーは日本テレビ系の深夜番組「暇人ラヂオ〜hi-IMAGINE RADIO〜」に出演した。司会の塚地武雅(46)とのトークで、テレビについて「ご当地キャラとして誕生したのに、海に沈められたり爆破されたりといったぞんざいな扱いに疑問を感じていた」と激白。イベントのギャラは「テレビの5倍」とも明かした。
「ネットの活用などが上手く、いかにも現代的な戦略のようにも見えますが、基本は“一発屋の王道”を歩んでいると思います。歌手であれ、お笑い芸人であれ、一発屋は地道に営業をすれば、かなりの収入を得ることができます」(同・テレビ局関係者)
現在、ゆるキャラにも明暗が生じている。凡百のキャラは消滅してしまったが、人気のベスト3は、(1)くまモン、(2)ふなっしー、(3)せんとくん、という不動の順位だ。
しかしながら、普通なら勝ち組に位置づけられる3位のせんとくんでさえ、人気が低迷していると報じられている(「人気低迷 せんとくんの『年収』、全盛期の3%まで激減」毎日新聞電子版18年5月12日)
ゆるキャラ界の地盤沈下をものともせず、ふなっしーは手堅い支持を確保している。テレビで活躍する必要など全くない。地道に営業で汗を流せば、大きなリターンが得られる。人生、真面目が一番――。
字にすると身も蓋もないが、そんな教訓が頭に浮か
まだ活躍してたんですね