フィリピンで火山が噴火。「ホテルのバルコニーに石が…」避難者が語った
フィリピンのルソン島で1月12日午後、タール火山が噴火し、マニラを含む周辺地域に大きな影響を及ぼしている。
当局は周辺住民数千人に避難を指示した。タール火山の周辺地域やマニラ首都圏では幼稚園から大学まで私立・公立すべての学校が休校に。また、マニラ国際空港では、国内・国際線すべての離発着を見合わせている。【 BuzzFeed Japan / 冨田すみれ子 】
タール火山があるタール湖に面するバタンガス州タリサイ市で避難する住民
フィリピン火山地震研究所によると、タール火山の火口付近で水蒸気爆発とみられる噴火が起きた。
火山活動が活発化する可能性もあるとして、0~5の6段階で設定されている警戒レベルで、警戒レベル4(危険な噴火の切迫)を出し、周辺住民数千人に避難や警戒を呼びかけている。
また、12日午後からは、タール火山があるバタンガス州で、地震が頻発している。
タール火山は、カルデラ湖のタール湖の中にある火山。マニラ首都圏の南約60キロメートルの場所にある。タール湖は高原にあり、通常は観光地として人気だ。
タール湖を小舟で渡り、湖の中にある山を馬で登ったり、トレッキングしたりすることができ、マニラからも日帰りでいけるため外国人観光客も多く訪れる。
タリサイ市でゴミ袋をかぶって避難する住民。
「バルコニーに石が」
タール湖が見渡せるタガイタイを訪れていたフィリピン人女性は、BuzzFeed Newsに「ホテルのバルコニーに火山灰や石のようなものが降ってきました。危ないと思い、どう避難しようかと話し合いました」と話す。
ホテルの従業員らが宿泊客に避難を呼びかけてまわったが、マニラ方面へ向かう道の避難者による渋滞が酷く、火山灰で視界も悪かったので、夕方まで避難を待ったという。
女性らは午後5時半ごろにタガイタイを出発し、マニラ首都圏へと向かった。日が落ちてから自宅へ到着すると、すでに火山灰が到達していたという。
1911年1月29日に撮影された、タール火山噴火の様子。
1911年に大噴火、1千人以上の犠牲者
フィリピンの地震火山研究所によると、タール火山ではこれまでにも死者がでる噴火が何度も発生している。
1911年には大噴火が起き、報道によると1000人以上が死亡した。最後に噴火したのは1997年10月だった。
深刻な火山灰の被害
当局によると、13日未明時点では、犠牲者などは出ていない。しかし、火山灰がマニラ首都圏にまで到達するなど、被害は拡大している。
地震火山研究所は、火山灰が降っている地域の住民には、不用な外出を避け、外出時にはマスクやゴーグルなどを着用するよう呼びかけている。
学校の休校のほか、最高裁判所など、被災者支援などに関わらない政府機関も13日の業務を行わないと発表した。
2019年版の海外在留邦人数調査統計によると、フィリピンには日本人1万6894人が住んでおり、うち1万2098人がマニラ首都圏を中心とするルソン地方に住んでいる。