つい先日、10余年ぶりに知人と再会。
ちょっとしたことがきっかけの再会だった。
そんなに親しく付き合っていた人ではないけど、久しぶりに会うと、それなりに話題があるもの。
懐かしい話や近況報告など、積もる話に花が咲いた。
それにしても、10余年のときは人を・・・特に、外見を変える。
シワや白髪が増え、肌に張りツヤもなくなる。
私は、その人と話をしながら、「この人も随分と歳をとったなぁ・・・」「そう言う俺も、同じように思われてんだろうなぁ・・・」なんて思いながら苦笑い。
そして、「これからも、お互い、頑張りましょう!」と言葉を交わし、再会できたを嬉しく思いながら再び別れた。
人間関係は、出会いと別れの繰り返し。
友人・知人はもちろん、夫婦・恋人・親兄弟とでさえ、出会いがあり別れがある。
そして、会いたくない相手や嫌いな相手でないかぎり、再会には、独特の嬉しさがある。
今回、知人との再会を通して、別れは、寂しさや悲しさばかりではなく、嬉しさや喜びの源泉になり得るものであることも認識できたのだった。
「うちのマンションで、住人が孤独死しまして・・・」
中年の男性の声で、電話が入った。
男性は、特に慌てた様子も、何かを嫌悪する様子もなし。
“孤独死”と聞くと凄惨な現場を想像してしまう私だが、ここには、そういった類のことは感じなかった。
「詳しく話を聞かせて下さい」
いい意味でも悪い意味でも“死”に慣れてしまっている私。
良く言えば“感情を抑えて”、悪く言えば“冷淡に”、男性に質問をぶつけた。
「亡くなった方は、お若い方ですか?」
「いや、お婆さんです・・・」
「死因は聞いておられます?」
「病気らしいですけど、実際は老衰みたいなもんだと思いますよ」
依頼者が遺族の場合、死因をストレートに訊くことは少ない。
しかし、他人の場合は、心象を害されるリスクが低いので、ついつい率直な質問が多くなる。
必要のない好奇心が後を押し、私は、早い段階で死因を確認した。
「亡くなってから見つかるまで、どれくらい経ってたんでしょう」
「一日・・・正確に言うと、丸一日は経ってなかったようですよ」
「そうですか!早く気づかれてよかったですね!・・・でないと・・・」
「???・・・」
私の口からは、発見が遅れた場合の実例が出掛かった。
が、そんな話をしても、そんな話を聞いても誰も幸せな気分にはなれない。
私は、喉に急ブレーキをかけて、出掛かった言葉を飲み込んだ。
「遺体を発見したのは大家さんですか?」
「いえ・・・お姉さんです」
「お姉さん?・・・御遺族がいらっしゃるんですか?」
「えぇ・・・お姉さんが、○市におられるんですよ」
男性いわく、隣県某市に故人の実姉がいるとのこと。
独りでの暮らしを長く続けていた故人の経緯を聞いて、勝手に天涯孤独であると決め付けていた私は、少々驚いた。
「で、そのお姉さんは?」
「それが、お姉さんも高齢で、部屋の後始末なんて手に負えないわけなんです」
「なるほど・・・それで・・・」
「そう・・・(故人とは)長い付き合いですしいい人でしたから、私もできるかぎりのことをしてあげてるんです」
本来なら、家財の処分は男性が負う必要のないもの。
しかし、故人への義理と遺族への配慮から、男性や故人の友人達は、自ら雑用を買ってでているよう。
私は、そんな男性の人柄と汚染がなさそうな部屋に、ホッするものを感じた。
後日、私は、現地調査へ。
マンションは、築30年そのままに老朽気味。
男性(大家)とともに入った室内は、古い間取りの2DK。
古い家具に古い家電製品・・・全体的に整理整頓は行き届いているものの、間取りに対しての荷物は多く、高齢の女性が長く暮らしていた雰囲気が充分に漂っていた。
「かかる費用はお姉さんには払ってもらうことになってるんですけど、お姉さんも年金生活みたいなんで、なるべく安くしてあげて下さい」
「はい」
「あとは、お姉さんと直接やってもらえますか?・・・第三者が間に入ると、ややこしくなるだけなので・・・」
「はい・・・」
男性は、お金のやりとりが発生する事柄の間には入りたくない様子。
その賢明な考えに同意した私は、それ以降は故人の姉と直接やりとりすることにし、その電話番号を男性から教わった。
「もしもし・・・はじめまして、大家さんから依頼を受けた、家財処分の業者です」
「はいはい、○○(故人の名前)の姉の○○(自分の名前)です・・・この度は、面倒なことをお願いして申し訳ありません」
「いえいえ・・・いつもやっていることですから、大丈夫ですよ」
「よろしくお願いします」
電話の向こうの女性は、礼儀正しくとても優しい口調。
まだ何もしていないうちから、私の労をねぎらってくれた。
私は、部屋を見分したうえでの状況を説明し、作業の内容とそれにかかる費用を提案。
すると、私を信用してくれたのか、最初から頼まざるを得ないと諦めていたのか、女性は作業を即決。
女性から、質問らしい質問も・注文らしい注文もなく、そのまま作業の日時が決まった。
「処分しないものはありますか?・・・貴重品とか、思い出深い品とか・・・」
「仏壇・・・部屋の隅のタンスの上に、小さい仏壇がありますでしょ?」
「え~と・・・あれかな・・・あぁ・・・ありますね」
「後で持ち帰りたいので、それだけは捨てないで部屋の隅にでも置いておいて下さい」
女性が言う通り、タンスの上には小さな仏壇が一基。
私は、作業時に間違って処分しないよう、携帯を片手に、もう片方の手の指で上面のホコリに“ステルナ!”と書いた。
「集金の時でよかったら、運んでいきますよ」
「そんなことまでお願いしては、申し訳ないですよ」
「大丈夫です・・・一人で持てる大きさですし、どちらにしろ集金には伺わないといけませんから」
「そうですか・・・それじゃお言葉に甘えさせていただきます」
小さな仏壇を運ぶなんて、私からすると何てことないこと。
しかし、女性は、その労力が、自分が老体に鞭打ちながらタクシーで運ぶことと同じくらいに考えたらしく、恐縮しきりだった。
作業を終えて数日後、私は、車に仏壇を積んで、女性宅へ。
「お待ちしてました」
訪問の日時は、予め、約束。
インターフォンを押すなり玄関が開き、中から老年の女性がでてきた。
「失礼しま~す」
老婆を相手に、玄関先で仏壇を手渡しできるはずはない。
私は、所定の位置に仏壇を置くため、促されるまま中に上がった。
「ここにお願いします」
女性が指したのは、テレビの横の小さな台。急場で作ったようなスペース。
私は、抱えていた仏壇をそこに置いて、中を整えた。
「お茶でも、どうぞ・・・」
私は、女性の“社交辞令度”を観察。
私が居ることを迷惑がるような素振りが少しでも見受けられたら、適当な理由を言ってさっさと退散するつもりだった。
「では、遠慮なく・・・」
しかし、女性は、目の前にお茶・お菓子を出してくれ、自然体を感じさせながらニコニコ。
もともと、年配者と話をするのが好きな私は、遠慮なく、座卓に座った。
「“歳の順に逝こうね”って言っていたのに、妹の方が先に逝っちゃって・・・」
「・・・」
「人が死ぬのは仕方がないことですけど、実際こうなってみると寂しいものですね・・・」
「・・・」
「でも、大家さんもお友達もいい人ばかりで、皆さんに助けていただきました・・・あなたにもね」
「恐縮です・・・でも、私の場合は、お金をいただかなきゃやらないですから・・・」
「でも、それだけじゃないでしょ?」
そうは言われても、本当にお金をもらわなきゃやらない私。
善意は、カケラくらいしか持ち合わせていない。
ただ、女性の心遣いを拒絶する無礼をはたらくだけでなく、その人柄(優しさ)をも否定することになると思ったので、それ以上の言葉は返さなかった。
女性も故人も80代。二人とも、未婚で子供もなし。
青春期を、過酷な戦中戦後に過ごし、同年代男性との出会いが少なく、結果として結婚せず。
高度経済成長期には、経済的な余裕もできてきたが、遊ぶことよりも働くことを優先。
女一人で生きていくために、必死に働きつづけた。
そのお陰で、老後は、故人も女性も悠々自適な生活が送れるほどの年金を手に入れることができた。
しかし、寄る年並みには勝てず。
お金は自由に使えても、身体が自由に動かせなくなり・・・
近年は、入院や部屋での孤独死も危惧しながら生活するように。
そんな訳で、毎朝、電話でお互いの安否を確認するのが姉妹の習慣に。
そんな生活の中でのある日、とうとう妹(故人)が、電話にでない日が来たのであった。
「そろそろ失礼します・・・いいお話を聞かせていただき、ありがとうございました」
「こちらこそ・・・寂しさが紛れました」
「そう言っていただけると、幸いです」
「もう、お目にかかることはないでしょうね・・・これからも、頑張って下さいね」
「○○さん(女性の名前)も、どうか御身体を大切になさって下さい」
「はい・・・私も、もうじき妹のところに逝くことになるでしょうけど、それまでは大切に生きますよ」
「○○さんの後になるか先になるかわかりませんけど、私も必ず逝きますから、その時はまた・・・」
「そうですね・・・その時は、またお目にかかりましょう」
「はい・・・では、失礼します・・・」
「さようなら・・・」
女性は、幾多の出会いと別れを繰り返して、80余年の人生を歩いてきたことだろう。
そして、故人(妹)との別れが、深い悲哀をもたらしたであろうことは想像に難くなかった。
しかし、玄関で私も見送る女性は、満面の笑みを浮かべていた。
まるで、誰かとの再会を楽しみにしているかのように・・・
私は、“またお目にかかりましょう”という女性の言葉を噛み締めて、笑顔に涙が浮かぶような嬉しさと悲しさを持って女性宅を後にしたのであった。
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ちょっとしたことがきっかけの再会だった。
そんなに親しく付き合っていた人ではないけど、久しぶりに会うと、それなりに話題があるもの。
懐かしい話や近況報告など、積もる話に花が咲いた。
それにしても、10余年のときは人を・・・特に、外見を変える。
シワや白髪が増え、肌に張りツヤもなくなる。
私は、その人と話をしながら、「この人も随分と歳をとったなぁ・・・」「そう言う俺も、同じように思われてんだろうなぁ・・・」なんて思いながら苦笑い。
そして、「これからも、お互い、頑張りましょう!」と言葉を交わし、再会できたを嬉しく思いながら再び別れた。
人間関係は、出会いと別れの繰り返し。
友人・知人はもちろん、夫婦・恋人・親兄弟とでさえ、出会いがあり別れがある。
そして、会いたくない相手や嫌いな相手でないかぎり、再会には、独特の嬉しさがある。
今回、知人との再会を通して、別れは、寂しさや悲しさばかりではなく、嬉しさや喜びの源泉になり得るものであることも認識できたのだった。
「うちのマンションで、住人が孤独死しまして・・・」
中年の男性の声で、電話が入った。
男性は、特に慌てた様子も、何かを嫌悪する様子もなし。
“孤独死”と聞くと凄惨な現場を想像してしまう私だが、ここには、そういった類のことは感じなかった。
「詳しく話を聞かせて下さい」
いい意味でも悪い意味でも“死”に慣れてしまっている私。
良く言えば“感情を抑えて”、悪く言えば“冷淡に”、男性に質問をぶつけた。
「亡くなった方は、お若い方ですか?」
「いや、お婆さんです・・・」
「死因は聞いておられます?」
「病気らしいですけど、実際は老衰みたいなもんだと思いますよ」
依頼者が遺族の場合、死因をストレートに訊くことは少ない。
しかし、他人の場合は、心象を害されるリスクが低いので、ついつい率直な質問が多くなる。
必要のない好奇心が後を押し、私は、早い段階で死因を確認した。
「亡くなってから見つかるまで、どれくらい経ってたんでしょう」
「一日・・・正確に言うと、丸一日は経ってなかったようですよ」
「そうですか!早く気づかれてよかったですね!・・・でないと・・・」
「???・・・」
私の口からは、発見が遅れた場合の実例が出掛かった。
が、そんな話をしても、そんな話を聞いても誰も幸せな気分にはなれない。
私は、喉に急ブレーキをかけて、出掛かった言葉を飲み込んだ。
「遺体を発見したのは大家さんですか?」
「いえ・・・お姉さんです」
「お姉さん?・・・御遺族がいらっしゃるんですか?」
「えぇ・・・お姉さんが、○市におられるんですよ」
男性いわく、隣県某市に故人の実姉がいるとのこと。
独りでの暮らしを長く続けていた故人の経緯を聞いて、勝手に天涯孤独であると決め付けていた私は、少々驚いた。
「で、そのお姉さんは?」
「それが、お姉さんも高齢で、部屋の後始末なんて手に負えないわけなんです」
「なるほど・・・それで・・・」
「そう・・・(故人とは)長い付き合いですしいい人でしたから、私もできるかぎりのことをしてあげてるんです」
本来なら、家財の処分は男性が負う必要のないもの。
しかし、故人への義理と遺族への配慮から、男性や故人の友人達は、自ら雑用を買ってでているよう。
私は、そんな男性の人柄と汚染がなさそうな部屋に、ホッするものを感じた。
後日、私は、現地調査へ。
マンションは、築30年そのままに老朽気味。
男性(大家)とともに入った室内は、古い間取りの2DK。
古い家具に古い家電製品・・・全体的に整理整頓は行き届いているものの、間取りに対しての荷物は多く、高齢の女性が長く暮らしていた雰囲気が充分に漂っていた。
「かかる費用はお姉さんには払ってもらうことになってるんですけど、お姉さんも年金生活みたいなんで、なるべく安くしてあげて下さい」
「はい」
「あとは、お姉さんと直接やってもらえますか?・・・第三者が間に入ると、ややこしくなるだけなので・・・」
「はい・・・」
男性は、お金のやりとりが発生する事柄の間には入りたくない様子。
その賢明な考えに同意した私は、それ以降は故人の姉と直接やりとりすることにし、その電話番号を男性から教わった。
「もしもし・・・はじめまして、大家さんから依頼を受けた、家財処分の業者です」
「はいはい、○○(故人の名前)の姉の○○(自分の名前)です・・・この度は、面倒なことをお願いして申し訳ありません」
「いえいえ・・・いつもやっていることですから、大丈夫ですよ」
「よろしくお願いします」
電話の向こうの女性は、礼儀正しくとても優しい口調。
まだ何もしていないうちから、私の労をねぎらってくれた。
私は、部屋を見分したうえでの状況を説明し、作業の内容とそれにかかる費用を提案。
すると、私を信用してくれたのか、最初から頼まざるを得ないと諦めていたのか、女性は作業を即決。
女性から、質問らしい質問も・注文らしい注文もなく、そのまま作業の日時が決まった。
「処分しないものはありますか?・・・貴重品とか、思い出深い品とか・・・」
「仏壇・・・部屋の隅のタンスの上に、小さい仏壇がありますでしょ?」
「え~と・・・あれかな・・・あぁ・・・ありますね」
「後で持ち帰りたいので、それだけは捨てないで部屋の隅にでも置いておいて下さい」
女性が言う通り、タンスの上には小さな仏壇が一基。
私は、作業時に間違って処分しないよう、携帯を片手に、もう片方の手の指で上面のホコリに“ステルナ!”と書いた。
「集金の時でよかったら、運んでいきますよ」
「そんなことまでお願いしては、申し訳ないですよ」
「大丈夫です・・・一人で持てる大きさですし、どちらにしろ集金には伺わないといけませんから」
「そうですか・・・それじゃお言葉に甘えさせていただきます」
小さな仏壇を運ぶなんて、私からすると何てことないこと。
しかし、女性は、その労力が、自分が老体に鞭打ちながらタクシーで運ぶことと同じくらいに考えたらしく、恐縮しきりだった。
作業を終えて数日後、私は、車に仏壇を積んで、女性宅へ。
「お待ちしてました」
訪問の日時は、予め、約束。
インターフォンを押すなり玄関が開き、中から老年の女性がでてきた。
「失礼しま~す」
老婆を相手に、玄関先で仏壇を手渡しできるはずはない。
私は、所定の位置に仏壇を置くため、促されるまま中に上がった。
「ここにお願いします」
女性が指したのは、テレビの横の小さな台。急場で作ったようなスペース。
私は、抱えていた仏壇をそこに置いて、中を整えた。
「お茶でも、どうぞ・・・」
私は、女性の“社交辞令度”を観察。
私が居ることを迷惑がるような素振りが少しでも見受けられたら、適当な理由を言ってさっさと退散するつもりだった。
「では、遠慮なく・・・」
しかし、女性は、目の前にお茶・お菓子を出してくれ、自然体を感じさせながらニコニコ。
もともと、年配者と話をするのが好きな私は、遠慮なく、座卓に座った。
「“歳の順に逝こうね”って言っていたのに、妹の方が先に逝っちゃって・・・」
「・・・」
「人が死ぬのは仕方がないことですけど、実際こうなってみると寂しいものですね・・・」
「・・・」
「でも、大家さんもお友達もいい人ばかりで、皆さんに助けていただきました・・・あなたにもね」
「恐縮です・・・でも、私の場合は、お金をいただかなきゃやらないですから・・・」
「でも、それだけじゃないでしょ?」
そうは言われても、本当にお金をもらわなきゃやらない私。
善意は、カケラくらいしか持ち合わせていない。
ただ、女性の心遣いを拒絶する無礼をはたらくだけでなく、その人柄(優しさ)をも否定することになると思ったので、それ以上の言葉は返さなかった。
女性も故人も80代。二人とも、未婚で子供もなし。
青春期を、過酷な戦中戦後に過ごし、同年代男性との出会いが少なく、結果として結婚せず。
高度経済成長期には、経済的な余裕もできてきたが、遊ぶことよりも働くことを優先。
女一人で生きていくために、必死に働きつづけた。
そのお陰で、老後は、故人も女性も悠々自適な生活が送れるほどの年金を手に入れることができた。
しかし、寄る年並みには勝てず。
お金は自由に使えても、身体が自由に動かせなくなり・・・
近年は、入院や部屋での孤独死も危惧しながら生活するように。
そんな訳で、毎朝、電話でお互いの安否を確認するのが姉妹の習慣に。
そんな生活の中でのある日、とうとう妹(故人)が、電話にでない日が来たのであった。
「そろそろ失礼します・・・いいお話を聞かせていただき、ありがとうございました」
「こちらこそ・・・寂しさが紛れました」
「そう言っていただけると、幸いです」
「もう、お目にかかることはないでしょうね・・・これからも、頑張って下さいね」
「○○さん(女性の名前)も、どうか御身体を大切になさって下さい」
「はい・・・私も、もうじき妹のところに逝くことになるでしょうけど、それまでは大切に生きますよ」
「○○さんの後になるか先になるかわかりませんけど、私も必ず逝きますから、その時はまた・・・」
「そうですね・・・その時は、またお目にかかりましょう」
「はい・・・では、失礼します・・・」
「さようなら・・・」
女性は、幾多の出会いと別れを繰り返して、80余年の人生を歩いてきたことだろう。
そして、故人(妹)との別れが、深い悲哀をもたらしたであろうことは想像に難くなかった。
しかし、玄関で私も見送る女性は、満面の笑みを浮かべていた。
まるで、誰かとの再会を楽しみにしているかのように・・・
私は、“またお目にかかりましょう”という女性の言葉を噛み締めて、笑顔に涙が浮かぶような嬉しさと悲しさを持って女性宅を後にしたのであった。
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