第7話
『殺しの際には帽子をお忘れなく』
美紀の部屋を訪ねて来た早苗。
すると風呂場で死んでいる美紀を見つけ悲鳴を上げる。
朝起きて床に落ちていた警察手帳を取ろうとした時、
腰に激痛が走り動けない麗子。
そこへ影山が入って来た。
「お嬢様、どうされました?
くの字になっておりますが・・・」
「腰。 今、腰がグキって。」
「失礼致します。」
麗子の腰を触る影山。
「ああ・・・お嬢様、これは世に言うぎっくり腰でございます。」
「ぎっくり腰? まさか、こんなうら若き美女が、
ぎっくり腰なんかになるはずがないわ。」
「残念ながらお嬢様。 20代であろうとも、
ぎっくり腰は突如として襲って来るものでございます。
ましてや美女であろうがなかろうが、全く関係ございません。」
風祭に連絡し休むことになる麗子。
動けずソファーで横になっていた。
影山が食事を持って来る。
「はい、あ~んでございます。」
影山に食べさせてもらう麗子。
「大丈夫かしら、警部だけで。」
「そう心配なさらずとも平気でございますよ。
風祭警部は、時にミラクルを発揮されるお方ですから。」
「そうかしら?」
「野崎伸一議員が殺害された事件では、
警部のファインプレーが事件解決に大いに役立ちました。
漫画家、江崎建夫の事件では、
最初から犯人をズバリ当てておりました。」
「そう言われればそうねえ。」
「あのお方の直観力とドタ勘は侮れません。
ただ、少しだけ、残念な方、というだけでございます。」
だけどやっぱり心配だから、
影山に現場に行って来てと頼む麗子。
しかし影山は既に手配済み。
リモコンを押すと画面に捜査する風祭が。
「お嬢様に、捜査状況を御覧いただくため、
現場で密着取材を。」
風祭の広報課の密着取材は、
宝生グループによるものだった。
事件現場の部屋は廃工場を改装した住居。
被害者は神岡美紀28歳。
部屋の住人でアパレルメーカーに勤めるOL。
死亡推定時刻は昨夜の2時前後。
今朝、友人が発見した時には、
顔が水に浸かっている状態だった。
風呂に入る前にお酒を大分飲んでいたようだ。
盗まれた金目の物はなし。
これを聞き風祭は事故死と断定。
後は並木に任せると言いその場を去ろうとした時、
第一発見者の久保早苗が来た。
早苗を見た風祭は美人だったので俄然やる気に。
早苗は美紀に服を借りに来たと。
美紀のことを聞かれ、
会社の後輩をよくいびっていたと早苗。
それよりも色んな男がいて貢がせてたから、
原因は男なんじゃないかと。
その時、帽子がひとつなくなっていることに気づいた早苗。
風祭は犯人は帽子が大好きなのさと言い切る。
「はあ・・・事件解決は絶望的ね。」
「捜査の様子は、後程編集したものを送らせますので
風祭警部のミラクルを信じましょう。」
「でも、どうして帽子がなくなったのかしら・・・
あっ! 分かった。
犯人はきっとおしゃれ泥棒よ。」
「お嬢様・・・」
「も~う。 冗談に決まってるでしょ。
ちょっとは『ウ~ケ~ル~』とか言ったらどうなの?」
「いや、『ウ~ケ~ル~』はちょっと・・・」
こんな影山と1日中いることにうんざりする麗子は、
帽子屋の藤咲を呼んでと命令。
藤咲に連絡をし、すぐに来てもらうことに。
待ってる間、なんか変なニオイがすると麗子。
影山を見ると何やら調合中。
「何やってるのよ。」
「腰に効く特製の漢方薬でございます。」
出来上がった青色の液体を麗子に差し出す影山。
「うえ~、不味そう。」
「私、本場中国にて、
国家薬剤師の資格を取得しておりますゆえ、ご安心下さい。」
「そんな資格持ってたの?」
「お飲み下さいませ。 ラクになるはずです。
はい、あ~ん・・・・・
良薬、口に苦しでございます。」
帽子屋の藤咲が到着。
麗子は帽子にトキメキ、藤咲は帽子愛を熱く語る。
そこに現場の映像が届く。
帰ろうとする藤咲だが、一緒に見てもらったらと影山。
神岡美紀の勤め先で並木と聞き込みをする風祭。
音楽が流れていてショパンと思った風祭だが、
ショパンではなく社歌だった。
美紀は会社からも期待されていた。
プレッシャーが大きかったのでは?と。
以前、自殺したデザイナーもいるくらい。
会社の前に花が供えてあり、風祭が手を併せる。
影山がティータイムにしようと言い、ウサ耳をつける。
それを見た藤咲がピンと来た。
ウサギと帽子屋、そしてアリス。
「そうです。
アリスのティーパーティーでございます。
この場面を、一度やってみたかったのでございます。」
懐かしいと藤咲。
子供の頃、娘が読んでいたと。
藤咲の娘は麗子の年と同じくらいらしい。
写真を見せてもらう麗子と影山。
そこへ風祭から電話。
被害者の携帯を調べたら容疑者が3人浮かんだとのこと。
聞き込みの映像が届く。
米山自動車整備工場社長の米山昇一、43歳の独身。
美紀が住んでいた部屋の大家。
風祭は米山に好きな車を聞き、
風祭モータースだとの答えにご機嫌。
「やはり理由はデザインですか?」
「いえ、何しろうちの工場に持ち込まれる
故障車の中で風祭が断トツナンバーワンなんですよ。
あんなに壊れやすい車造ってくれて、
感謝状贈りたいぐらいですよ。」
次は安田孝彦、31歳現在無職。
美紀の元彼だったが、貢いでた1人にすぎない。
デートのために給料全部使い、
プレゼントのためにボーナスをつぎ込み、
デートのために使う車を買わされたと。
その車は風祭モータースの車。
「彼女はさぞかし喜んだことでしょう。」
「いいえ。 彼女は別れ際にこう言ったんです。
私、風祭の車に乗る男って嫌いなのって。
悔しくてね、車すぐに売りましたよ!」
最後は国立市立大学教授の増渕信二、57歳。
美紀は教え子で食事はしたけど、それ以上は何もなし。
貢がせるだけ貢がせたようだ。
「あなたがデートに使っていた車は?」
「ん? 風祭だが。」
「いい車に乗ってらっしゃいますね。」
「ん、でも一週間前に下取りに出したがね。
故障が多いんだよ! 風祭は!!」
映像が終了。
藤咲は遅くなったからと帰ろうとするが、
夕食に引き止める麗子。
腰を心配する藤咲に、それはもう大丈夫と影山。
漢方薬も充分効いた頃だと言い、
整体師の資格も持っている影山がグイっと治す。
食事をしながら、麗子は犯人は増渕だと。
事件の鍵は帽子で、その帽子がなくなったのは、
犯人が変装に使ったから。
それが出来るのは体の小さい増渕だと自信満々。
藤咲はさすがお嬢様と褒める。
「まあね。 どうかしら、影山。 私の推理は。
ほ~ら、何か言ってごらんなさい。
なんなら『秀逸でございます』な~んて、
褒めてくれちゃっても構わなくてよ。
どうしたの? さあ! 素直な気持ちをおっしゃいなさい。」
「よろしいのですか? 素直に申し上げても。」
「ええ、どうぞ。 遠慮はいらなくってよ。」
「ならば、遠慮なく。 失礼ながらお嬢様。
お嬢様は冗談をおっしゃっているのでございますか?
もし、そうであるならば、『ウ~ケ~ル~』でございます。」
「空耳でしょうか。
今、影山さんが妙な言葉を・・・」
「そうね。 確かに私はあなたに注意したわ。
私が冗談を言った時ぐらいは、
『ウ~ケ~ル~』ぐらい言いなさいってね。」
「はい。 そこで今、そのように。」
「でも、今 私は一言も冗談なんて言ってない。
真面目に考えて推理を語ったの。
それを『ウ~ケ~ル~』ですって!? この無礼者がっ!!」
影山に帽子を投げる麗子。
その帽子を見事に頭でキャッチする影山。
「いえ、バカにした訳では。」
「その帽子の取り方がバカにしてるっつーの!
大体 私の推理のどこがおかしいのよ。」
「お嬢様、犯行時刻は昨夜の2時前後でございますよ?
ましてや昨夜は大雨。
人通りの少ない現場で変装する必要がございましょうか。
ですから私はてっきりご冗談かと。」
「だから冗談じゃなくて真面目に推理したの!」
「でしたら尚のこと『ウケル~』でございますが?」
「うるさい! もう二度と私の前で喋んないでちょうだい!!」
帽子を取り頭を下げ、無言で立っている影山。
「で? あなたには犯人が分かるって言うの?」
テーブルの下からスケッチブックを出す影山。
ペンを取り出し何やら書いて麗子に見せる。
『当然でございます
しかし、二度と喋るなと
言われましたので・・・・・』
「この、ドS執事がぁ!」
帰ろうとする藤咲を呼び止め、耳打ちする麗子。
「影山さん。 もう喋って構わないそうですから、
事件の真相を教えていただけないでしょうか。」
「かしこまりました、お嬢様。
ただし、まだお食事の途中でございます。
謎解きは、ディナーのあとに致しましょう。」
影山の謎解きが始まる。
事件の最大の謎はやはり防止がなぜなくなったか。
犯人が帽子を持ち帰ったとするならば、
それは犯人にとって必要な物だったと推測される。
そもそも帽子はどのような役割を果たすのかと影山。
藤咲がウエスタンハットを例に説明。
暑い日は扇ぎ、火をおこす時は風邪を送る。
ひっくり返せば物を入れられる。
「ウエスタンハットの別名はテンガロンハット。
ガロンとは液体容積の単位で、
1ガロンはおよそ3.8リットル。
テンガロンは10倍。
つまりテンガロンハットには、
それぐらい多くの水を汲むことが出来る帽子という意味が
込められているのです。」
それを聞いた麗子は犯人は帽子で
湯船のお湯をすくったんじゃないかと言う。
しかし影山は水を汲むためなら、
キッチンにあった片手鍋を使ったはずだと。
数ある帽子の中から、
あの空いていた棚の場所にあった帽子を選んだ理由は、
他の帽子にはない機能を備えた帽子だったのではないか。
それは麦わら帽子。
お湯を汲むのではなく、お湯を切る。
即ちザルの代わりだったと影山。
犯人は湯船に何かを落とし、それを拾いたかった。
コンタクトではないかと麗子。
影山もそう思うと。
犯人はコンタクト愛用者。
重要なのは犯人がコンタクトをしていたことではなく、
落としたコンタクトを拾わなければいけなかったのか。
警察に渡したくないからではと麗子。
けどそれなら湯船の栓を抜いてしまえば済むこと。
どうしてもコンタクトが必要な理由は、
片方の視力だけでは困るのではないかと。
犯人は現場に車で来ていて、
暗い夜道を片目で運転して帰れない。
犯人は車を持っている人物。
車の情報は風祭が容疑者3人に
根掘り葉掘り聞いていた。
「警部のどうでもいい車トークが
こんなところで役立つなんて。」
「はい。 やはりミラクルなお方でございます。」
安田と増渕は車をすでに売っていた。
残るは米山だが、米山は犯行時刻の直前まで、
社員達とへべれけになるまで飲んでいたので無理。
「つまり、真犯人は他にいるということでございます。
私が思いますに、真犯人は・・・・・
あなたではありませんか? 藤咲幸太郎さん。」
それを聞いた麗子は影山を怒る。
影山は推理を話し始める。
藤咲と美紀の接点。
藤咲は今朝、電話をしてた時、美紀の会社の前にいた。
電話から一瞬だけ会社で流れていた曲が
洩れ聞こえていた。
藤咲がその場にいた理由は冥福を祈っていたから。
会社前の花を供えてあった場所には、
藤咲が帽子を入れる箱と帽子が供えてあった。
藤咲の娘・幸代は亡くなっていた。
美紀と同じ会社に勤めていて、
自殺したデザイナーが幸代だった。
美紀がデザインした服は本当は幸代がデザインしたもの。
幸代の写真に写っていたデザイン画の服が、
会社に飾ってあった服と同じだった。
デザインを盗んだ美紀を責めた幸代だったが、
反対に美紀にデザインを盗用したと言われ、
社内で苛めに遭って自殺してしまった。
影山の推理を間違いだと麗子。
藤咲が犯人だという決め手はないと。
確かに全て想像だと言う影山。
しかしこの想像が全て正しいなら、
決定的な証拠が残されてるはずだと。
犯人は帽子を持ち帰り、その帽子をどうしたか。
芸術作品だと捉えている人物だから、
帽子を始末することは出来なかった。
そこに麗子から電話があり困ったはず。
証拠の品の帽子は車に乗せたままだったから。
そこで違う帽子が入ってた箱に麦わらを隠した。
しかし、結局この屋敷に持ち込むことになってしまったのだ。
あの時、台車には箱に入っていない帽子が1つあった。
本来なら箱の数よりも帽子が1つ多いはずなのに、
今ここには箱の数だけしか帽子は出てない。
まだ箱に隠された帽子があるということ。
箱を開けると証拠の麦わらが・・・
「いつからですか? いつから私が怪しいと。」
「初めてお会いした時です。」
一流の帽子を扱っているのに、
1つだけ商品を箱に入れないのはおかしいと思ったと。
車にあった箱を出そうとした影山に、
それはいいと言った藤咲。
「残っていたあの箱に、興味を持ったのでございます。」
「じゃ、私は最初っから、あなたの手の平の上で
踊らされていただけだったんですね。」
娘が会社で苛められていたことに気づかなかった。
なぜ自殺したのか調べ、
美紀が嫌がらせしてることに知ったと。
それで昨夜、美紀が帰って来たところで話をした。
けど美紀が話すはずもなく・・・
部屋にあった写真に娘がデザインしたものだと気づいた。
藤咲は咄嗟に美紀の顔をバスタブに押しつけた。
美紀はデザインを盗んだだけではなく、
幸代の命、親子の夢までも奪ったのが許せなかったと。
麦わらでコンタクトをすくい、
事故に見せかけるためにお風呂に入れた。
朝までどこを走っていたか覚えてないと藤咲。
娘に報告しておこうと思って会社の前に。
そこで携帯が鳴ったと。
帽子を殺人事件の道具に使ってしまったと藤咲。
帽子を胸にやり、申し訳なかったと頭を下げる。
「藤咲さん、さっき国立署に出頭したって。」
「そうでございますか。」
「今でも信じられない。 なんで、あの藤咲さんが・・・」
「帽子と一緒でございましょう。
親が子供を思う気持ちに、理屈などございません。
無償の愛というものは、
それほど人を強く突き動かすものだということを、
お忘れなきよう。」
「でも、どんな事情があっても、
罪を見逃す訳にはいかないわよね。
私、逮捕しないで自首を勧めちゃったけれど、
刑事としては甘かったかしら。」
帽子を例子に被せる影山。
「名裁きでございましたよ、保安官殿。」
帽子で顔を隠し、影山の腕に手を添えて泣く麗子。
風祭モータースは大丈夫なんだろうか・・・
そんなに評判悪かったら会社潰れるんじゃ?
麗子がいない分、
並木さんが頑張って風祭のお守りしてたね。
野間口さんがいつもより見れて嬉かったよ。
影山はホントになんでも出来る執事なのね。
漢方やら整体やら・・・凄いですね~。
アリスのお茶会可愛かった♪
ウサ耳最高!!(゜∇^d)
風祭の「は~い」も真似しちゃったり、
「脱帽です」って小バカにしたような表情も、
可愛すぎてキュンキュンですよ。
で、次回は福さまがご出演です。
麗子の先輩で歌舞伎役者の役らしい。
予告でチラッと映りましたね。
今から楽しみだわ~♪
出来れば翔くんと一緒のショットを見たいもんです。
福さまゲスト出演の第8話予告は ☆ コチラ ☆
第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話
>巷じゃ文句言いながら
ご覧になっていらっしゃる方々も多いようですが
ストーリーがどうとか、
そんなのどうでもいいことですよね。
私たちの目的は別のところにありますから!!
>回を増すごとに執事の謎度も増して
ステキですよね
ホントですよ。
あの執事は殺人的な可愛さです。
これはあの執事の為にDVDを買ってしまいそうです(笑)
すっかり遅くなってしまって
申し訳ないことでございます
>アリスのお茶会可愛かった♪
ねえ巷じゃ文句言いながら
ご覧になっていらっしゃる方々も多いようですが
もうあの執事が無駄に可愛いから
どうでもいいです
回を増すごとに執事の謎度も増して
ステキですよね