9:58 なんけ鮮魚店です。このところの天候不順で水揚げが気になるところです。お客さんは12人ぐらいオープンを待たれています。ゾロゾロをお客さんが現れます。2kg弱のイシダイとスズキがあります。イシダイは水中銃で捕獲したもので大きな方はお腹が裂けています。小さい方は1.2kgぐらいだと思いますが、ハッキリと傷口は見えません。捌いてのお楽しみにします。模様はクチグロになっています。2kg超えのイシダイはシガテラを持っている可能性があるので、小ぶりな方が安全でしょう。
・ラインナップ
天候不順でしたがモノは揃っています。瀬戸内名物のセトダイやヨコスジフエダイがたくさん水揚げされています。
・イシダイ
程よい大きさのクチグロです。反対面に水中銃のキズがありました。見た感じはよさそうです。41cm 1340g 3475円 税込み3753円です。
・捌き
傷は腹身にあり、同じ面の腹鰭近くに銛が貫通していましたので、くねった状態で後ろから腸を傷つけて腹びれに抜けたようです。血は思ったより まわっていません。腸を傷つけていたのでお腹のにおいはキツかったです。肝、胃袋、腸は洗って塩水消毒すると臭みは取れました。身質はよく脂でてかっています。つまみ食いすると非常に美味しかったです。楽しみな固体です。
【イシダイのその後】土曜 夜
・イシダイの背身の炙り、腹身の刺身、肝 胃袋 腸 心臓
お腹は内臓脂肪の塊でしたので寝かせず刺身です。背身の皮は強めに炙って、腹身 トロは細くカットした刺身です。箸休めに肝 胃袋 腸 心臓のブランシールです。背身は皮の香ばしさとイシダイとサワラの間ぐらいの口ざわりで、腹身はトロッとして脂があり、トロ部分はコリッとして、噛んだらじわっと脂が出てきます。超ウマです。調理技術がなくても唸るぐらい美味しいのは刺身だけですね。肝も鮮度がよく強力なコクがあります。
【イシダイのその後】土曜 夜
・イシダイの兜 カマ 塩焼き
これは超ウマです。イシダイは、サザエやトコブシやウニなどを強力な歯でゴリゴリ食べるので、発達した頬肉が赤身です。もともとウマイもんを食べているので、ウマイはずです。牛タンなどは食感がありますが、イシダイの舌や顎まわりはコラーゲンでトゥルッとしています。もともと皮の美味しい魚ですが、クチグロになった黒い部分もコラーゲンです。焼いただけで美味しいのが凄いです。
【イシダイのその後】日曜 夜
・イシダイの湯引きカルパッチョ オニオンドレスソース 皮 肝 腸のブランシール
イシダイの背身を厚くカットして皮目を15秒ブランシールし、ドボンと湯に15秒落として氷水で冷やして半分にカットして盛り付けです。ながせの刺身盛りでマダイの湯引きされていますので、その真似です。マダイの皮目には美しさがありますが、イシダイの皮目には美しさはありません。味はイシダイの方が値が張るだけあり数段上です。
【イシダイのその後】日曜 夜
・イシダイのポワレ 蕪のソース ドライヴェルモット プチポワ
イシダイのポワレです。蕪のソースにドライベルモットを加えたものです。今回のイシダイの処理はパーフェクトに近く、脂質の酸化による生臭さは一切ありません。悪く言えば、魚種による独特の香りが少なすぎるので、何喰っているのかわかりにくいです。カラスミを使って香りの補強です。ガルニはプチポワです。美味しく仕上がりました。
【イシダイのその後】火曜 夜
・イシダイの御前セット
3日半寝かせました。刺身の背身の湯引きはしっとりして旨味も出ています。腹身のトロ部分もコロコリはなく脂がじわっと出てきます。背身の握りも熟成させるとしゃりと調和があります。甘酢あんは少量なので甘味を強くしました。少量なら正解です。お吸い口は血合いとガンバラです。血合いの皮目はぶりのような風味でガンバラの身は脂があって身離れがよく ほろっとしています。臭みはなく酸化は始まっておらず、細胞の酵素の働きが旨味を出しています。今回の固体は水中銃で捕獲した物なので内臓の傷から細菌による分解(腐敗)が起こる可能性があります。まぁ 様子見です。でも、非常に美味しかったです。
お品書き
・イシダイの甘酢あん
・イシダイの握り
・イシダイの刺身
・ガンバラのお吸い口
【イシダイのその後】水曜 夜
・イシダイの晩酌セット
4日半寝かせです。今回は身質を楽しみたかったので炭水化物は使いません。握りにしたら最高の状態だと思いますが、魚好きから言うと握りは邪道です。うまい魚は刺身が一番ウマイです。甘酢あんは昨日の残りです。甘酢に玉ねぎ、ピーマン、セミドライトマトを使っているので、青味や旨味があり いい出来です。他は、皮ポン酢と蛸ときゅうりの酢の物です。酒がうまいです。
【イシダイのその後】木曜 夜
・イシダイの晩酌セット
5日半寝かせました。刺身は細胞の酵素分解が起き、旨味に換わり、口の中でトロッとします。エンガワはまだ食感があり噛むと脂が出てきます。非常に美味しいです。アラ煮つけはお酒を多めに使い非常に美味しいのですが、更に美味しくするためには、好きな清酒、お醤油、みりん、お砂糖のバランスを探求していく必要がありますね。簡単な物ほど難しいです。焼きなすのお浸しと蛸ときゅうりの酢の物を添えています。今夜もお酒が美味しいです。
【イシダイのその後】土曜 朝
・イシダイの湯引き刺し 皮ポン酢
7日寝かせです。素人は3日で食べ切るのが鉄則と個人的には思っているのですが、破棄するのも勿体無いので自己責任です。尻尾の残りを湯引いて細菌の数を減らして いただきます。超ウマです。お腹が痛くならなければいいのですが。
【イシダイのその後】2024/07/06 夜
・イシダイのヒュメドポワソン
焼いて香ばしくしたイシダイの骨ダシです。どれだけ臭みを消して旨味を出せるかのテストです。ガーリック 玉ねぎ 玉ねぎの皮 セロリ 人参 パセリの茎 ローリエ タイム ホール黒胡椒 日本酒です。パイタンスープをイメージしましたが、玉ねぎの皮で赤みが出て強力な旨味が出ています。でも魚臭さがあります。広島で有名なミシュラン店や新進気鋭のゴエミヨ店も異常に魚臭くて同じような感じで幻滅しました。エキニシのCITANとfuusのフュメドポワソンが臭みがなく個人的には理想です。お店が近いので情報交換でもしているのかも。臭みはタイムを加えたときに和らいだので、アニスの香を使えばいいのか?難しいですね。イシダイ全ていただきました。完食です。