アトリエ ここるぴあ

和紙作家 佐治直子のブログです。キンカチョウのことりたちと、工房『アトリエここるぴあ』での出来事を綴ります。

昔の日本は良かったって

2014年11月25日 | 映画と本とドラマ
そう言われてもなあ。。。

でも、そうなのかもしれないと少し思えたのがこの本。

『逝きし世の面影』渡辺京二著 平凡社

大学院時代のNPO起業研究の先生から「みんな読んでるよ」と勧めていただき、
(その講義のなかでNPOについて触れたのはほんの数時間もなかった気がする
大学生協の本屋さんで手に取った時、まずその厚さにびっくりした!
どおりで文庫本なのに、税別1,900円は高いと思った。字も小さくてびっしり


文庫本の限界に挑戦だね

でも、その本を最後まで全部読むことができた!自分でも、絶対途中で飽きると
思っていたのに。この本に関しては、他の人のレビューや書評など一切読まず、
まっさらな気持ちで読んだので「へぇ~なるほど~。こういう見方もあるのか」と
新鮮な気持ちで読み進んだ記憶がある。

その時、修士論文の参考になるかもと思うところに付箋を付けていて、今、
その部分を読んでもなるほどと思う。外国人が見た日本についての文献の引用が
ほとんどなのだが、付箋が付いていたのは、アリス・ベーコンからの引用で、

 「日本の職人は本能的に美意識を強く持っているので、
  金銭的に儲かろうが関係なく、彼らの手から作り出だされるものは
  みな美しいのです」  第5章「雑多と充溢」223頁

ここが好き。


そして、古き良き日本の男などと言われ、亡くなられてから今もずっと話題に
なっているのが高倉健さんである。そして、私は高倉健さんが大好きだ。

出会いは『野生の証明』薬師丸ひろ子の映画デビュー作。
子供だった私は難しいことはよくかわらなかったけど、主題歌の町田義人の
「戦士の休息」も大好きだった、生意気な子供でした。ちなみに、↑この人は
以前このブログで書いた「キタキツネ物語」の主題歌「赤い狩人」を歌って
いる人です。小学校の同級生、ちかちゃんやたかちゃんがこれを読んだら、
きっと懐かしいって言うだろうな。私がいつも歌っていたから

それから、何年か後に観た「鉄道員(ぽっぽや)」で泣いた
平日の人のまばらな映画館で、隣の隣に座っていたおじさんも号泣していた。

役の中でも、インタビューやエピソードの中に登場する時も、健さんはいつも
言葉数が少なくゆっくりしゃべる。そこがとても好きだ。言葉を発する前の
間が何とも言えずいい。

若い役者や周りの人に、堅物のおやじでなく、柔軟に接しられていて、相手を
たてる方なのが伝わってくる。謙虚で、それでいて熱く、孤高の俳優さんだ。
もちろん会ったことはないけど、訃報はとてもショックだった。そして、私は
こんなに健さんが好きだったんだと気付いた。健さんみたいに年を取りたい
とも思った。

NHKで「高倉健という生き方~最後の密着映像100時間」を放送していた。
その中での健さんの言葉。たぶん役について、仕事についての質問に対しての。

「本人の生き方かな。生き方が出るんでしょうね。テクニックではないですよね。
 柔軟体操も毎日いいトレーナーについてやってれば壊さないで柔らかくなる。
 あと、やっぱ本を読んで勉強していれば、ある程度の知恵は付くよね。
 でも、その生き方っていうのがたぶん一番なんか出る。その人の普段の生き方
 じゃないんですかね。偉そうなことを言うようですけど」

窓辺で、外を見ながら語る言葉にテロップは出ていなかったけど、とても心に
残った。外を見ながらも必ず文末はインタビュアーの顔を見て話をされるから、
本心が伝わってくる気がした。

小学生の時から好きな男性のタイプは「無口で車の運転が上手い人」で、
もう少し大きくなってからは、そこに「仕事熱心で、品のある人」が加わった。
そこには、ちょっと健さんの影響があるのかもしれませんね。
コメント (2)
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