What A Wonderful World

毎日の暮らしの中で、心惹かれたことを語ります。

畑 正憲 ムツゴロウの動物王国・他多数

2006年07月27日 13時05分04秒 | 
畑 正憲

1935年 福岡生まれ。
1954年、東京大学・理学部生物学科へ入学。生物系大学院に進む。
1960年、学習研究社映画局へ入社後、記録映画制作に従事する。出版を機に退社し本格的な著作活動に入る。「われら動物みな兄弟」で第16回エッセイストクラブ賞を受賞。
1971年、北海道浜中町に「動物王国」を建国。動物たちとの心温まる交流を描き続け、第25回菊池寛賞を受賞する。

著書に「畑正憲作品集」「ムツゴロウの青春記」「ムツゴロウの動物交際術」など多数あり、映画「子猫物語」では監督を務めるほか、21年間続いたテレビ番組「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」でも活躍する。


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 たぶん、小学校中学年頃に、ムツゴロウさんの本を読み始めたのだと思うのですが、それ以来ほぼ全作(絵本や写真集を含め)読んだ事でいるはずです。
可笑しな話、娘の明日美さんが生まれた時のお話から読んでいる為に、歳がそんなに離れていないにも関わらず、ご結婚やご出産された時は、我が子の様にとても嬉しかったです。

 私が元来、生きもの好きという事もあるのですが、真摯な命への想いや実際の体験談から語られる言葉は、とても胸に迫るものがあります。ご自身の病気や、愛する動物たちの生き死、王国のあり方など、書き綴られるエッセイや物語にグイグイ引き込まれます。

 北海道や霧多布の豊かな自然は、今となっては書かれた当時の姿を失ってしまったかもしれませんし、ひぐまのどんめいも死にました。ばくろうさんも番屋で暮らしていた漁師さんも居なくなってしまったかもしれませんが、本の中ではいつまでも生き生きと、普遍の自然の掟を語っています。

 素晴らしいお話が沢山ありすぎて、困ってしまうのですが、心に残っているお話の一つに、動物王国で育てた馬を、何故売らないのか?と酔ったばくろうさんが畑さんに尋ねるというお話があります。可愛いのは当たり前、それを売り買いしなければ「ペット」であり、家畜ではなくなってしまう、と話すばくろうさんに、畑さんはハッとされるのです。馬は、人に飼われ、人と共存して生き続けて来た歴史があります。それをしなくなったら、馬は滅びてしまうと、ばくろうさんは畑さんに言いに来たのです。以後、畑さんは馬を売り買いし(競馬に出場し賞金を貰って来るような馬を育てた事もあります)馬と人のあり方を、私たちに示してくれます。

 ゾウを取材しにスリランカへ行って、ゾウ使いに弟子入りしてしまったり、TV番組で、世界各国の猫や犬、希少動物の生態を紹介したり、様々な活動をされて、少々過度な(笑)動物とのスキンシップが、モノマネされたりする畑さんですが、著書の数々は、温かい眼差しと専門知識と厳しい自然への尊敬に溢れています。

 あ、そういえばマージャンがお強いのですよ?著名作家さんとの殺気溢れる逸話も面白いですし、人生はギャンブルだ的なお話も奥深いです。

 生きもの好きな方、人間観察に興味のある方、自然保護や動物との共存に興味のある方は、ぜひ一度お手に取って頂きたいです。
コメント (2)
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