コメント(私見):
産科・小児科の医師不足の問題は全国的に深刻な状況であり、一病院、一自治体だけでいくら努力しても解決は非常に難しいと思います。地域の状況にマッチした有効な対策を立て、地域全体で早急に取り組んでゆく必要があります。
一つの医療圏で周産期医療体制が崩壊すると、大量のお産難民が発生して、周辺の医療圏に流れ込んでしまうので、医療崩壊が急速かつ波状的に広がってしまう可能性があります。
ですから、自分の医療圏さえ問題がなければ関係ないんだというわけにもいきません。全県的な課題として、各医療圏が協調して、この問題に取り組んでゆく必要があると思います。
****** 信濃毎日新聞、206年11月3日
産科・小児科医師不足の対策探る 県検討会初会合
県は2日、産科・小児科の医師不足対策を話し合う「県産科・小児科医療対策検討会」の初会合を松本市内で開いた。病院と診療所の連携、地域の拠点病院への医師の重点配置など、県内の実情に応じた医療体制をまとめ、来年3月をめどに県に報告する。
委員を委嘱した産科・小児科医15人のうち12人が出席。信大医学部(松本市)の金井誠委員は、県内で分娩(ぶんべん)を扱う病院が最近5年間で23施設、過去1年間で11施設減ったと指摘し、「医療体制は崩壊の危機にあり、地域で体力のある中核的な病院に集約することも検討すべきだ」と述べた。
飯田市立病院(飯田市)の山崎輝行委員は、飯田下伊那地方で今年から、妊娠中の検診は診療所と役割分担し、出産は同病院で行う「産科連携システム」が始まったことを説明。同病院での出産の件数が昨年の2倍以上に増加、検診などの外来患者が減るなど診療所との連携が進んでいる―と話した。
他の委員からは「女性医師が出産後も働ける環境整備が必要」「麻酔科医の不足も深刻だ」といった指摘が出された。
検討会は、小児科、産科の医師を地域拠点病院などに集約するとした厚生労働省の方針を受け設置。今後は産科と小児科の2分科会を設けて議論する。会長に就任した信大医学部の小西郁生教授は「地域に合ったベストな対策が出せるよう知恵を出し合いたい」と話した。
(信濃毎日新聞、206年11月3日)
****** 中日新聞、2006年11月3日
初の県対策検討会 産科・小児科問題 現場の課題探る
「第一回県産科・小児科医療対策検討会」(会長・小西郁生信大医学部産科婦人科教授)が二日、松本市中央の松本商工会館であった。県内の産科医、小児科医ら十二人が委員として出席し、課題を話し合った。
信州大医学部の金井誠産科婦人科講師は、産科医の減少について、若手医師の志望が少なく、医師の高齢化や都会への人材流出、女性医師の増加などが複合的に重なったことが原因と分析。課題として、医師の過重労働の是正、医師同士や助産師のサポート体制、中核病院の育成を挙げた。また、過重労働を強いられている若手医師の現状を「限界に近い」と訴えた。
飯田市立病院の山崎輝行産婦人科長は、飯田下伊那地域の取り組みを紹介。同病院では出産と婦人科の重症例を担当し、初診は他の病院で診察してもらうなど役割分担で効率化を図り、診察をスムーズにしているとした。【中津芳子】
(中日新聞、2006年11月3日)
****** 毎日新聞、2006年11月3日
医師不足:分べん施設、4年で2割減--県産科・小児科医療対策検討会 /長野
◇松本で初会合
産科と小児科医師の不足問題を検討する県産科・小児科医療対策検討会の初会合が2日、松本市内で行われた。県内の産科・小児科医師らが参加し、県内医療の現状について話し合った。同検討会は、医師の偏在問題で有効策と考えられている医療の集約化・重点化の必要性を検討し、今年度末までに提言をまとめる。
同検討会によると、県内の医師数全体は増加傾向にあるが、産婦人科と小児科は減少。医療施設も減少。特に産婦人科の分べん施設では、01年は68施設だったが05年には53施設と約2割も減少した。木曽地域では産婦人科と小児科医師がともに2人ずつしかおらず、医師の偏在問題も進んでいるという。
信州大医学部教授で産科婦人科医の小西郁生会長は「このままだと医療体制が崩壊してしまう」と指摘。「各地域の実情に応じた対策を検討していきたい」と話した。【藤原章博】
(毎日新聞、2006年11月3日)