一般目標
一般医学および婦人科腫瘍学に関する十分な知識と情報を有し、これに基づいて、腫瘍患者の治療前評価、治療、および管理を適切に行うことができる.。必要に応じて、他領域の専門医と適切に相談し、その協力を得ることができる。
行動目標
すべての婦人科腫瘍の治療前評価、治療、および管理について、必要な方法論を述べることができる。
A. 治療前評価
1. 末梢血液検査
2. 凝固系検査
3. 肝機能検査
4. 腎機能検査
5. 肺機能検査
6. 心機能検査
B. 治療前準備
以下の治療前準備を適切に行うことができる。
1. 呼吸機能および循環機能の適正化
2. 体液、電解質、栄養状態の適正化
3. 感染症に対する適切な抗生剤投与
4. 深部静脈血栓症、肺塞栓症に対する適切な薬剤投与および下大静脈フィルター設置
C. 患者および家族に診断と治療法を説明し、十分な理解を得た上で同意を得ることができる。
1. エビデンスに基づいた標準的治療を説明できる。
2. 臨床試験、とくにランダム化比較試験の説明ができる。
D. 各疾患における治療前評価、治療、および管理
婦人科悪性腫瘍の各疾患について、その治療前評価、治療、および管理方法について説明できる。
1. 外陰
以下の疾患について、その治療前評価、治療、および管理方法を説明できる.
また各項に掲げた問題点について、エビデンスに基づいて討論することができる。
a. 外陰上皮内腫瘍
b. 初期浸潤扁平上皮癌
c. 浸潤扁平上皮癌
(1) 外陰切除の方法と範囲、および再建術に関して
(2) 鼠径リンパ節郭清の方法と範囲に関して
d. 浸潤腺癌(Bartholin 腺由来腺癌等)
e. 悪性黒色腫
f. Paget 病
(1) 切除範囲の決定に関して
(2) 下床腺癌の存在とその治療に関して
2. 腟
以下の疾患について、その治療前評価、治療、および管理方法を説明できる.
また各項に掲げた問題点について、エビデンスに基づいて討論することができる。
a. 腟上皮内腫瘍
b. 扁平上皮癌
(1) 占拠部位による転移形式と治療法の差異に関して
(2) 手術療法と放射線療法の選択に関して
c. 腺癌
d. 他臓器癌の腟転移
3. 子宮頸部
以下の疾患について、その治療前評価、治療、および管理方法を説明できる。また各項に掲げた問題点について、エビデンスに基づいて討論することができる。
a. 子宮頸部上皮内腫瘍
(1) 種々の保存的治療方法に関して
(2) HPVタイプによる自然史の差異に関して
b. 頸癌Ia 期
(1) 扁平上皮癌Ia 期の診断方法に関して
(2) 扁平上皮癌Ia1 期の標準的手術および妊孕性温存手術に関して
(3) 脈管侵襲を伴う扁平上皮癌Ia1 期の治療に関して
(3) 扁平上皮癌Ia2 期の転移リスクと標準的手術に関して
(4) 腺癌Ia 期に対する標準的手術に関して
c. 頸癌Ib~IIb 期
(1) Ib1 期癌に対する治療法の選択に関して
(2) Ib2~IIb 期癌に対する治療法の選択に関して
(3) 術後追加治療法とその適応に関して
(4) 化学療法同時併用放射線療法に関して
(5) ネオアジュバント化学療法とその適応に関して
d. 頸癌III~IV 期
(1) IIIa 期癌に対する治療法の選択に関して
(2) IIIb 期癌に対する治療法の選択に関して
(3) IVa 期癌に対する治療法の選択に関して
(4) IVb 期癌に対する治療法の選択に関して
(5) chemoradiation に関して
(6) ネオアジュバント化学療法とその適応に関して
(7) 骨盤除臓術とその適応に関して
(8) 寛解導入化学療法とその効果に関して
e. 再発癌の治療
(1) 放射線療法の適応に関して
(2) 放射線治療後のcentral recurrence に対する手術療法に関して
(3) 骨盤除臓術とその適応に関して
(4) 化学療法の選択に関して
4. 子宮体部(上皮性腫瘍)
以下の疾患について、その治療前評価、治療、および管理方法を説明できる. また各項に掲げた問題点について、エビデンスに基づいて討論することができる。
a. 子宮内膜増殖症
(1) 組織分類による管理法の選択に関して
(2) ホルモン療法とその効果に関して
b. 体癌I 期
(1) 妊孕性を温存した治療法の可能性に関して
(2) 標準的な手術療法に関して
(3) 摘出標本による再発リスク評価と術後追加治療に関して
c. 体癌II~IV 期
(1) 手術術式の選択に関して
(2) 摘出標本による再発リスク評価と術後追加治療に関して
(3) 遠隔転移例に対する集学的治療に関して
d. 再発癌の治療
(1) 手術療法の選択に関して
(2) 放射線療法の適応に関して
(3) 化学療法の効果に関して
5. 子宮体部(間質性腫瘍)
以下の疾患について、その治療前評価、治療、および管理方法を説明できる。 また各項に掲げた問題点について、エビデンスに基づいて討論することができる。
a. 癌肉腫
(1) 標準的な手術療法に関して
(2) 放射線療法の効果に関して
(3) 化学療法の効果に関して
b. 平滑筋肉腫
(1) 術前診断法に関して
(2) 術後治療法とその効果に関して
c. 内膜間質肉腫
(1) 低悪性度内膜間質肉腫の腫瘍進展形式とその治療に関して
(2) 低悪性度間質肉腫に対するホルモン療法に関して
(3) 高悪性度内膜間質肉腫に対する化学療法に関して
6. 卵管および腹膜
以下の疾患について、その治療前評価、治療、および管理方法を説明できる。 また各項に掲げた問題点について、エビデンスに基づいて討論することができる。
a. 卵管癌
(1) 術前診断法に関して
(2) 標準的な手術療法に関して
(3) 化学療法の効果に関して
b. 腹膜原発腺癌
(1) 術前診断法に関して
(2) 標準的な手術療法に関して
(3) 化学療法の効果に関して
7. 卵巣
以下の疾患について、その治療前評価、治療、および管理方法を説明できる。 また各項に掲げた問題点について、エビデンスに基づいて討論することができる。
a. 上皮性境界悪性卵巣腫瘍
(1) 標準的な手術療法に関して
(2) 妊孕性温存手術に関して
(3) 腹腔内に進展した境界悪性腫瘍の治療に関して
(4) 腹膜偽粘液腫の管理に関して
b. 上皮性卵巣癌I 期
(1) 標準的な手術療法に関して
(2) 妊孕性温存手術の適応に関して
(3) 術後化学療法の適応に関して
c. 卵巣癌II~IV 期
(1) cytoreductive surgery とその意義に関して
(2) interval debulking surgery とその意義に関して
(3) second-look operation とその意義に関して
(4) 化学療法レジメンの選択に関して
(5) second-line 化学療法の選択に関して
d. 再発卵巣癌
(1) 化学療法の選択方法に関して
(2) 手術療法および放射線療法の適応に関して
e. 胚細胞性腫瘍
(1) 各腫瘍の術前鑑別診断に関して
(2) 手術における妊孕性温存の考慮に関して
(3) 術後化学療法およびその適応に関して
(4) 未分化胚細胞腫における腫瘍進展形式に関して
(5) 未熟奇形腫の組織学的grade 評価に関して
f. 性索間質性腫瘍
(1) 顆粒膜細胞腫の管理法に関して
(2) セルトリ・間質細胞腫の管理法に関して
g. 転移性卵巣癌
(1) 術前診断法に関して
(2) 原発部位による卵巣腫瘍形態の差異に関して
(3) 合理的な手術療法に関して
8. 絨毛性疾患
以下の疾患について、その治療前評価、治療、および管理方法を説明できる。 また各項に掲げた問題点について、エビデンスに基づいて討論することができる。
a. 胞状奇胎
(1) hCG 値の推移による奇胎娩出後の管理に関して
(2) 侵入奇胎の臨床的診断に関して
(3) 侵入奇胎に対する化学療法に関して
b. 絨毛癌
(1) 絨毛癌の臨床的診断に関して
(2) 臨床的絨毛癌に対する化学療法に関して
(3) 肺転移、脳転移、肝転移に対する集学的治療に関して
(4) 再発絨毛癌、難治性絨毛癌に対する化学療法に関して
9. 妊娠に合併した各種の悪性腫瘍
以下の疾患について、その治療前評価、治療、および管理方法を説明できる。 また各項に掲げた問題点について、エビデンスに基づいて討論することができる。
a. 婦人科腫瘍
(1) 子宮頸部上皮内腫瘍の管理に関して
(2) 子宮頸部浸潤癌の治療に関して
(3) 卵巣腫瘍の鑑別診断と手術適応に関して
b. 乳癌
c. 消化器癌
d. その他の臓器の悪性腫瘍