月の岩戸

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ヌンキ

2014-11-21 06:58:29 | 詩集・瑠璃の籠

もう
崖っぷちの崖っぷちに来ているというのに
まだ飛べないものは
わたしが背中を押してあげましょう
それが奈落の底に落ちていくことであっても
あなたがたのためには
その方がいいのです

いくつも飲み込んだ罪のたまごから
運命が生まれてくるのを恐れて
かぶっていた仮面も もう壊れてゆく
全身に塗りこんだ嘘の色も もう剥げてくる
そしてたまごの中で そっと運命が動き始める

人よ 馬鹿になるのを
おそれてはいけません
すばらしい法王の冠が
詐欺の鼠の住処であったことが
明らかになっても
驚いてはいけません
運命を受け入れなさい
真実はまことにやさしく
そしておそろしい

なぜなら 美しい真心の真珠が
一粒落ちただけで
瞬時に破滅する人間が
大量に発生するからです
これを静かなる核弾頭と言います

もうおわかりでしょう
あふれるほど持っていた財産が
ほんの数分で 波がひいていくように
すべて消えてしまったことを
目撃した人もいることでしょう

あらゆるものが馬鹿になる
一匹の白い猫がもっていた
一粒の真珠だけで

あきれるほどの 馬鹿をやりましたね
そろそろ
運命の扉を開けるものが
鍵を見つけた頃です

嘘でできた人生の舞台から降り
運命のたまごを開いて
真実の自分を生きなさい
それがどんなに苦しいことであっても
逃げてはならない
それはあなたのためなのです

何が起こるかはこれからわかる
風の中にひとり取り残された孤児のように
すべてを失った道化が
案山子のように呆然と立っているのを
あなたがたは見るでしょう
そして
生きているのでも
死んでいるのでもなかった者が
ようやく真実の自分を生き始めるのです



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