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司法試験の問題も小説 (Hです)
2011-02-27 22:49:29
司法試験の問題は長文の事実を掲げて、法解釈能力・適用能力・文章作成能力等を発揮できるかを試し、法曹となる素質があるかを見極めるために作成されます。

司法試験も小説です。具体的な事案を元にして作成されているので、生々しいものになります。
小説を読むことは、司法試験の問題文を読むことに通じるものがあります。

平成22年度の新司法試験論文式試験では公法系第1問の憲法の問題で生活保護に関する問題が出題されました。
法務省HPより引用します(http://www.moj.go.jp/content/000046904.pdf)。
こういう記述がありました。
「……Xは,Y市内にあるB社に正規社員として20年勤めていたが,B社が倒産し,突然職を失った。そして,失職が大きな原因となり,X夫婦は離婚した。その後,Xは,C派遣会社に登録し,紹介されたY市内にあるD社に派遣社員として勤め始め,Y市内にあるD社の寮に入居した。しかし,D社の経営状況が悪化したために,いわゆる『派遣切り』されたXは,寮からも退去させられた。職も住む所も失ってしまったXは,団体Aに支援を求めた。そして,その団体Aのシェルターに入居し,そこを住所として住民登録を行った。不定期のアルバイトをしながら,できる限り自立した生活をしたいと思っているXは,正規社員としての採用を目指して,正規社員募集の情報を知ると応募していたが,すべて不採用であった。その後,厳しい経済不況の中,団体Aの支援を求める人も急増し,2つのシェルターに居住し,そこを住所として住民登録を行う人数が200名を超えるに至った。シェルターが『飽和状態』となって息苦しさを感じたXは,シェルターに帰らなくなり,正規社員への途も得られず,アルバイトで得たお金があるときはY市内のインターネット・カフェを泊まり歩き,所持金がなくなったときにはY市内のビルの軒先で寝た。……」

言いたいことはわかりましたが、実感が持てませんでした。弱者の気持ちが分かっていませんでした。小説をもっともっと法科大学院在学時代に読んでいれば、上記文章から伝わってくる「Xの切実さ」を感じ取ることができたはずです。

小説を読むことにより、現実の人間の生々しさというものを感じ取ることができます。
それを感じ取って、問題文を読む際に登場人物を自分に置き換えて、その人の痛みや苦しみを感じ取ることができます。

この前、芥川賞を受賞した作品である「苦役列車」を読みました。
書かれていることがリアルで背筋が凍る思いをしました。司法試験を受ける前に読むことができて良かったです。
 
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