櫻井郁也ダンスブログ Dance and Art by Sakurai Ikuya/CROSS SECTION

◉新作ダンス公演2024年7/13〜14 ◉コンテンポラリーダンス、舞踏、オイリュトミー

海外公演の報告(2012年10月・ルクセンブルク)

2012-11-20 | 海外公演の記録 past dance works in EU
そろそろ、ルクセンブルク公演の報告をしたい……。

支えていただき、励ましていただいて実現した舞台だった。
倒れては立ち上がる。リハーサルと並行して、そんな単純な作業を執拗に繰り返しつつ、作品を膨らませた。理知的な方法とは思えないが、肉体や集中力を検証したかった。ソロダンスには思考回路だけでは何ともならない領域がある。自作自演は、甘さが何よりも怖い。
そんななか、東京公演でいただいた視線の力を思い出していた。作品を磨き込んでゆく杖になった。
ひとつのカラダは数知れない魂に支えられていると思う。
育てたものを正確に踊る、そこに徹した。想像以上の好評を得ることが出来た。
感謝、というコトバでまとめてしまいたくないけど、やはり、書いておきたい。
ありがとうございました、本当に!!

さて、報告したいことは沢山。
上演、プロセス、ワークショップ、人々、風景、予感、
何回かに分けて。
すでに始動している新作(2013年3月末公演)への結線も張ってみたい。

きょうはまず、写真を少し。


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漆黒のなかに微かな火が揺らぐ。
舞台に散りばめられているのは沢山の卵。その内部で微かな火が、ちらちらと光を放つ。
さらに目を凝らすと無数の光の点が渦をなしつつ、宙空に浮いている。
静かに人影が立っている。


ムーブメンツは沈黙から生まれる。
気配、呼吸。動き出しは、ダンスにとって最もデリケートな瞬間だ。
重心のわずかな移動が衣装の衣擦れの音をきめる、床と体重の接点がどう定まるかで、空間全体のひろがりが良くも悪くもなる。
客席に、どこまで静寂を呼び込めるか。心臓が止まりそうになる。



ダンスのステージはマラソンに似ているかもしれない。
エネルギーを使いに使って、もう無理かな、と思う時点を越えてから、やっと始まってゆく次元がある。
イメージが本当に活きてくるのは、そこからだ。













作品の終わりには、カラダは崩れそうなまま立っている。
なんとか背筋を入れて、感謝を込める。

とても長い静けさのあと、強い拍手の波が来た。
手をたたきながら立ち上がる人が次第に増える。
声が上がり、ドッドッドッと足踏みが始まる。劇場が残響して楽器のなかに居るみたいだ。
客席から、力を与えてもらっている実感があった。
新しいダンスが始まる予感がした。



(続く)

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【Coming Stage】
櫻井郁也ダンスソロ・次回公演
In the attachement please find the detailed program.
Sakurai Ikuya Official HP (JP/ENG)

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