外にかかわり踊ることの面白さが身に染みたのは何と言っても「ダンス白州」だった。田中泯さんらが中心になって山梨の白州で開かれていた踊りの祭典で、何年も踊らせていただいた。すべてが素敵ですべてが肉に染み付いた。
森の中で、樹のなかで、闇のなかで、湿度のなかで、寒さのなかで、いろんなものが整理されて、生理に関係してゆく。
僕は奈良の旧市内に育ち東京で大人になって、ずっと人のなかにいたから山も海も知らない。だから、あの、空気も太陽もキラキラしている場所に身体を投げ出して観客の方々と対峙してゆく、という関係と時間の濃厚さ、その毎年毎年の課題とプレッシャーと格闘は、本当に贅沢な経験だった。
踊り方も活動地も色々な、ダンサーも美術家も音楽家も集まっていた。自由に場所を選んで、空のもと大地の上で、自作のダンスを上演するのだった。観客の方々も、すぐそばで寝泊まりしているところで、準備から全部やる。さいごの年は、四回開催された。それは、四季と肉体との特別な出会いだった。
その後、いくつかの地域で野外の踊りをしたが、白州で触れた光と風の記憶がなかったら、どうだったか。
舞台を踏む前になると、よく思い出す。(写真は2009年のフェスティバルから)
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