スピルバーグ監督の古い戦争映画を眺めていたら、数秒、腕を撃ち落とされた兵士がポトリと落ちた腕をパッと拾って走り去った。眼に焼き付いて眠れなくなった。一瞬の映像によって引き出されてしまったあの異様な感覚はなんだったのだろう。
そういえば、この身をどう呼ぶべきか、迷うことがたまにある。「体」と書けばよいものをわざわざ「カラダ」だの「からだ」なんて書いてみたり、いろいろ使い分けようとするが、なかなかむつかしく、自笑する。体は、案外、近くて遠いのかもしれない。
だからかしら、思い通りにしたくても、体は言うことを聞かないのが当たり前なのではないかと思ったりもする。体を思い通りにしようとする人は、子どもだって思い通りに育てようとするのじゃないかとか、もっと言えば、他者をも思い通りにしようと、どこかで思っているのではないだろうか、なんて、つい愚想したりもしてしまう。
踊るたび、稽古するたび、体と付き合うというのは面白いことだと思い知らされている。踊り方や稽古の仕方には、その人の、体に対する態度がはっきり出てくる。体には、その人の個ばかりでなく、その人の肉に連なるさまざまが含まれてあるのだから、体に対する態度というのはあまたに対する態度とも言えるのではないかとも思う。
文頭に映画のことを書いたが、美術を見たりするときでも、体の表し方には非常につよく作者の精神が現れている気がしてならないし、音楽を聴いて感動するときも、その音に通じている演奏家の肉体的な営みが迫ってくることがたびたびある。
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