去年の夏、人に奨められて初めて檀一雄の“火宅の人”を読んで以来、檀一雄なんて、檀ふみのお父さんくらいにしか知らなかった私だったのに、たちまち夢中になった。
どれくらい夢中かというと、もの凄く深く恋に落ちた。まるで縁のない、今はもう亡き作家、檀一雄に。
寝ても醒めても暫くは口を開けば檀の話をした。読んでいるだけで息が苦しくなるあの感じ。たまにそうゆう本に出会うけど。つくづく本も、人も、映画も、その他諸々にとって縁は大事だと思う。私はこの本に27歳になった去年出会えてほんとに良かったと思う。
“火宅の人”の次は、沢木耕太郎の“檀"を読み、更に感慨を深め、最後の一冊、檀一雄の光と影を昨日手にした。(“火宅の人”は檀一雄自身が愛人と暮らした日々のことを描いている。更に“檀”は、沢木が檀の妻ヨソ子さんのインタビューを基にして書いていて、この“光と影は愛人だった“恵子”からの発信)この本は絶版になっているらしく、ものすごく探してやっと見つけた貴重な本です。(今はAmazonにあります)
何でこの本をこんなにも探していたかというと、この本に、“火宅”で愛人として登場する恵子(舞台女優の入江杏子さん)の写真が載っていると聞いたからです。
火宅を読んでいて、恵子という女性に実はものすごく度肝を抜かれた。
ひとつには、檀が惚れ込んだ女性であり、
ふたつめには、檀と初めてキスをした時の涙に、
みっつめは、その奔放さにでした。
もちろん、妻ヨソ子さんも、私にはすごく素晴らしい女性に思えたので、妻の気持ちを考えると、檀一家と家族ぐるみの付き合いをしていながら、よくも、この泥棒猫という憎々しい気持ちが恵子に対して終始あったのですが、一方で、どうしようもなく彼女が気になりました、どんな人だっただろう、ネットで懸命に探しましたが、出てくるのは、今現在の写真だけで、もう本を手に入れるより他にないなあ、と思ってたのです。
そして、昨日頭の中で何度も想像した彼女の顔は、実際の写真を目にして一瞬にして吹き飛びました。
なんて、幼い、なんて・・・その本の中で彼女は30歳当時の写真を載せていたのですが、坂口安吾が壇に彼女を紹介されて口にした言葉、
「檀君は少女趣味だね、よしなさい」
が身に染みてわかりました。結局彼女は、火宅を読んで膨らませた私の想像の女性とは似ても似つかないくらい、純真そうで、天真爛漫な顔をしていました。
私は改めて、火宅での二人のやりとりを思い出し、そして、息つく間もないくらい夢中でページをめくりました、
長くなりましたが、結局私が感じたことは、そして、私はそこまで執拗にこの話に拘るのは何故か。
私が知りたいのは、檀がこの世で一番愛したのはやはり恵子だったのか、ということ、その二人の運命と、そして、少し変わったやり方ではありましたが、心底檀を愛した妻ヨソ子さんへの檀の気持ち。この二人を天秤にかけたらどうだったのか、そんなしょうもないことに拘りわだかまった気持ちで一杯なのです。
そんなしょうもないことを問い詰めて何が出るわけでも、そこに正確な答えがあるわけでもないのに、ほんとにおかしなことに思えますけど、でも。
男と女の間っていうのは本当に面白い。時に理不尽で、どうしようもなく涙を誘います。もちろん手放しで幸福な時間も。
まだまだ、檀一雄にまつわる私なりの謎は心を離れていかないでしょう。
私は考え続けます。この極上で最も切ないラブストーリーは、50年以上経つ今も、読者の心を揺さぶって離さないのです。
どれくらい夢中かというと、もの凄く深く恋に落ちた。まるで縁のない、今はもう亡き作家、檀一雄に。
寝ても醒めても暫くは口を開けば檀の話をした。読んでいるだけで息が苦しくなるあの感じ。たまにそうゆう本に出会うけど。つくづく本も、人も、映画も、その他諸々にとって縁は大事だと思う。私はこの本に27歳になった去年出会えてほんとに良かったと思う。
“火宅の人”の次は、沢木耕太郎の“檀"を読み、更に感慨を深め、最後の一冊、檀一雄の光と影を昨日手にした。(“火宅の人”は檀一雄自身が愛人と暮らした日々のことを描いている。更に“檀”は、沢木が檀の妻ヨソ子さんのインタビューを基にして書いていて、この“光と影は愛人だった“恵子”からの発信)この本は絶版になっているらしく、ものすごく探してやっと見つけた貴重な本です。(今はAmazonにあります)
何でこの本をこんなにも探していたかというと、この本に、“火宅”で愛人として登場する恵子(舞台女優の入江杏子さん)の写真が載っていると聞いたからです。
火宅を読んでいて、恵子という女性に実はものすごく度肝を抜かれた。
ひとつには、檀が惚れ込んだ女性であり、
ふたつめには、檀と初めてキスをした時の涙に、
みっつめは、その奔放さにでした。
もちろん、妻ヨソ子さんも、私にはすごく素晴らしい女性に思えたので、妻の気持ちを考えると、檀一家と家族ぐるみの付き合いをしていながら、よくも、この泥棒猫という憎々しい気持ちが恵子に対して終始あったのですが、一方で、どうしようもなく彼女が気になりました、どんな人だっただろう、ネットで懸命に探しましたが、出てくるのは、今現在の写真だけで、もう本を手に入れるより他にないなあ、と思ってたのです。
そして、昨日頭の中で何度も想像した彼女の顔は、実際の写真を目にして一瞬にして吹き飛びました。
なんて、幼い、なんて・・・その本の中で彼女は30歳当時の写真を載せていたのですが、坂口安吾が壇に彼女を紹介されて口にした言葉、
「檀君は少女趣味だね、よしなさい」
が身に染みてわかりました。結局彼女は、火宅を読んで膨らませた私の想像の女性とは似ても似つかないくらい、純真そうで、天真爛漫な顔をしていました。
私は改めて、火宅での二人のやりとりを思い出し、そして、息つく間もないくらい夢中でページをめくりました、
長くなりましたが、結局私が感じたことは、そして、私はそこまで執拗にこの話に拘るのは何故か。
私が知りたいのは、檀がこの世で一番愛したのはやはり恵子だったのか、ということ、その二人の運命と、そして、少し変わったやり方ではありましたが、心底檀を愛した妻ヨソ子さんへの檀の気持ち。この二人を天秤にかけたらどうだったのか、そんなしょうもないことに拘りわだかまった気持ちで一杯なのです。
そんなしょうもないことを問い詰めて何が出るわけでも、そこに正確な答えがあるわけでもないのに、ほんとにおかしなことに思えますけど、でも。
男と女の間っていうのは本当に面白い。時に理不尽で、どうしようもなく涙を誘います。もちろん手放しで幸福な時間も。
まだまだ、檀一雄にまつわる私なりの謎は心を離れていかないでしょう。
私は考え続けます。この極上で最も切ないラブストーリーは、50年以上経つ今も、読者の心を揺さぶって離さないのです。
今、akkoさんからのお返事を読んで、更なる驚きと感動に包まれています。なんかもう自分がこれ書いたんじゃないかって気がするくらい。共通点を感じるんです。
まずひとつは、ちょうど今私、三島由紀夫を読んでます。(“金閣寺”先日京都に行ってきたので、合わせるようにして読んでます・・・。三島本を読むのは実はこれが初めて。)
それから、古本街、神保町のこと。以前日記にも書いたかな?私、入江さんの本をどうしても手にしたくて、神保町を探しました。(見つかるわけもなく途方にくれたけど)
それから、リツ子は私もぜひ読みたい本です☆
ホント、日本の出版界には一言言いたいですね。
ちなみに、私がもの凄くはまってた頃、周りの友達もakkoさんのお友達同様の反応でした。だけどその時、たまたま“サライ”っていう雑誌で、壇一雄特集だったんです。(知ってますか?たぶん去年の11月号くらい。それは、壇一雄の愛した料理やそのレシピ等が載っていて、去年の大晦日は、壇流レシピで辛子蓮根を作りました・・。)それを一緒に見た友達はびっくりして、「今、壇一雄流行ってるの?!」って。私も絶頂期だっただけに、その特集にはさすがにびっくりでした。
それから、入江さんですけど、今akkoさんが上げたセリフ全部、本当に印象的ですよね~時々真似して呟きたくなっちゃいますもん。。私、その辺が好きで何度も読み返してるのかもしれない。。
入江さんかヨソ子さんかですが、私、火宅~では泣かなかったけど、“壇”と入江さんの本では泣きました。もう両方とも苦しすぎて。確かに、年を重ねていくうちにまた見方も変わってくるでしょうね、
akkoさんはお母様とも語りあえて羨ましいです。(うちの母は、いくら勧めても手に取ろうとしません!!)
またお薦めの本等、あったら教えてください。
本当に同じ気持ちの人と出会えてヨカッタです!!
ありがとうございました!!
この本を手にするきっかけですが、母が出版された当初から愛読書にしていて、文庫本がずっと家にあったんです。本好きの母ですが「火宅の人」は手元に置いてしょっちゅう読み返していたので、私は、「お母さんは火宅の人なんて本にあんなに夢中だけど、不倫の話なんだよネー」位に思ってました。私も本読みなので面白い本があったらお互いに貸し借りしているのですが、この本は内容が内容だからでしょうか(大人の話ですよね)、なんとなく今まで手に取らずにいました。それが先日、私が三島由紀夫を今読んでるという話をして、三島由紀夫はアンチ太宰で有名だったらしいねーとなって、太宰といえば檀一雄、という経路で、「そういえばアンタ檀一雄は読まないの?」となって「火宅の人」を貸してもらうに至りました。
読み始めて驚きました、こんなに面白い本だったのね!お母さんがあんなに夢中になってたのよくわかるわ!と毎日仕事が終わると飛んで返ってご飯も早々に済ませて深夜まで読みふけりました。そしてこれまた母の所有物の「檀」を読了、入江さんのこの本は買いそびれて、探したけどなかなか手に入らなかった、とのことでこの本だけ家になかったので、「檀」読了した私がすぐにネットで購入(日本の古本屋さんというサイトで入手、便利ですネー)しました。
母は私がすぐに檀熱に侵されたのをみて「血は争えない」と苦笑い。でもこれってやっぱり「ハマる」本なんですよね!にしては檀一雄っていうとそんなに知られてないんですよね。周り話しても「へ?檀ふみのお父さん?」という程度。この本を読了し、とりあえず次はリツ子ものを読みたいと思ったのですがこれも絶版のようで、日本の出版業界に物申す!と憤慨しているところです。今現在売れる本ばっかりを使い捨て感覚でどんどん世の中に送り出して、こういういい本を生産中止にするなんて、よくないですよね。アマゾンで買えるのですが、1円~となっていて、1円で買うのは悲しすぎる、と躊躇しているところです。神田神保町の古本屋街を散策して探そうかなーと思ったりしてます。ということで今のところ「火宅」以外で読んだのは「海の泡」というエッセイ集です。これも彼のひととなりがよくわかる、いい本でした。
私も、モガリ笛は入江さんに宛てたものだと思います。誰に心惹かれるかって、入江さんですもの。本当に天真爛漫で無邪気でまっすぐで可愛いくって魅力的な人。両膝を打ちたたいて‘いつヨメにもらってくれんだよ、おろした子供がいっせいにあぐらかいているのがみえねーのかよ’、てすごんで、‘私とそっくりの短い脚してんだろ、ね、カズさん’て笑うところとか、役が当たらなくて気分が鬱屈したときに‘ねーカズさんダイヤモンドの欲しかー、ルビーの欲しかー、みんなみんな欲しかー’と檀のそばで寝転がってジタバタするなんていう所が最高に好きです。なんて可愛いひとなんでしょう!檀もそういうところがたまらなかったんでしょうね。面白いもので、主婦と独身娘の違いか、うちの母は完全にヨソ子さんサイドで、檀も苦しんだけど、ヨソ子さんが一番可哀想、そして横取りした入江さんが悪!というスタンスなんですよ。
私からすると、入江さんもとってもとってもとっても辛い思いをしたと思います。最後まで一緒にいることができなかったし、最愛の人の子供を持つこともできなかった。もし、ヨソ子さんと結婚する前に出会っていたら・・?苦悩する原因もなく、仲良し夫婦として一生添い遂げられたのでは・・?・・というのは世間知らずの甘い考えなんでしょうかねー。そう思わずにいられません。年を重ねていくとまた違った読み方もできるようになるのでしょうか・・・。
長々とすみません、ついうれしくて調子に乗ってしまいました。
私も今このコメントを読んで、すごくびっくりしました。と同時に本当に嬉しくなってしまいました。
どうしてこの本を手にされることになったのでしょう?(私はとっても入手に苦労したので・・)
読み終わって、半年以上経った今でも、時々壇一雄と入江さんについて考えますが、苦しくなります。入江さんの方は、苦しいので“火宅の人”を時々振り返って読みます。(私はこの本以外、めったに同じ本を2度読み返したりしない質です)
本当に、モガリ笛は誰に宛てて詠ったのか?私は入江さんの本にある通り、本当に彼女に宛てたような気がしてなりません。
ところで、他にも何か壇一雄の本は読まれましたか?
モガリ笛の句は誰に充てたものだったのでしょう。この世で一番愛したのは?5人の子を育て上げ最期まで添い遂げたヨソ子さんへの愛のほうが深く重い?
私もこれからじっくりと考え続けてこうと思います。