近年話題になっている病態です。
フロモックス、メイアクト、トミロン、オラペネムなどの抗生物質連用により低血糖(意識障害・けいれん)を起こすことがあるのです。
■ 「ピボキシル基を有する抗菌薬投与による 小児等の重篤な低カルニチン血症と低血糖について」(PMDA)
主なところを抜粋しますと、
ピボキシル基を有する抗菌薬は中耳炎などの感染症の治療に汎用さ れていますが、小児等に投与した際に、重篤な低カルニチン血症に伴って低血糖症、 痙攣、脳症等を起こし、後遺症に至る症例も報告されています。
ピボキシル基を有する抗菌薬服用時には、カルニチン排泄が亢進し、低カルニチン血症に至ることがあり、小児(特に乳幼児)では血中カルニチンが少ないため、下記の事項にご留意ください!
・小児(特に乳幼児)への投与においては、血中カルニチンの 低下に伴う低血糖症状(意識レベル低下、痙攣等)に注意し てください。
・長期投与に限らず、投与開始翌日に低カルニチン血症に伴う 低血糖を起こした報告もあります。
・妊婦の服用により出生児に低カルニチン血症が認められた報 告もあります。
<低カルニチン血症、低血糖に至る機序>
ピボキシル基を有する抗菌薬は、消化管吸収を促進する目的で、活性成分本体に ピバリン酸がエステル結合されています。これらの薬は吸収後、代謝を受けてピバ リン酸と活性本体になります。ピバリン酸はカルニチン抱合を受けピバロイルカル ニチンとなり、尿中へ排泄されます。この結果、血清カルニチンが低下することが 知られています。
カルニチンは、食物からの摂取のほか、アミノ酸からの生合成により体内に供給 されます。また、ミトコンドリア内での脂肪酸β酸化に必須な因子です。空腹、飢 餓状態では通常、脂肪酸β酸化によって必要なエネルギーを確保し、糖新生を行い ます。しかし、カルニチン欠乏状態だと脂肪酸β酸化ができず、糖新生が行えない ため、低血糖を来たします。
上述の抗生物質がよく知られた名前ですが、最近普及してきたジェネリック医薬品では同じ薬でも名前が違うので要注意。
<ピボキシル基のある抗生物質一覧>
■ セフカペン ピボキシル塩酸塩水和物:フロモックス、 セフカペンピボキシル塩酸塩
■ セフジトレン ピボキシル:メイアクト、セフジトレンピボキシル
■ セフテラム ピボキシル:トミロン、セトラート、ソマトロン、テラミロン、 テラセフロン
■ テビペネム ピボキシル:オラペネム
■ ピブメシリナム塩酸塩:メリシン
※ これらの医薬品を切り替えて使用しても、ピボキシル基を有する抗菌薬を継続して投与したことになります。なお、長期の漫然とした使用は避けてください。
心配なのが中耳炎を繰り返して長く耳鼻科へ通院している子どもたち。
「おくすり手帳」を見ると、上記の抗生物質が長期にわたり入れ替わり立ち替わり処方されている例も希ではありません。
このような副作用を承知の上で処方されているのか、日々疑問を感じております。
ただ、長期連用でなくても、投与開始翌日に発症した例も報告されています。
抗生物質を処方する際は、期待される治療効果と副作用を秤にかけて塾考する必要があります。
10年前はまだ「かぜ薬=抗生物質」のような社会通念がありました。
受診される患者さんにも抗生物質を処方してくれないと納得しない方が時々いらっしゃいました。
いわゆる「かぜ」の原因の90%はウイルスであり、ウイルスには抗生物質は効きません。
残りの10%の原因が抗生物質が有効な細菌類です。
ですから、風邪で受診された患者さんで抗生物質が有効なのは10人に1人の割合ということ。
それを見極めて適正使用する能力が臨床医に求められる時代になりつつあります。
フロモックス、メイアクト、トミロン、オラペネムなどの抗生物質連用により低血糖(意識障害・けいれん)を起こすことがあるのです。
■ 「ピボキシル基を有する抗菌薬投与による 小児等の重篤な低カルニチン血症と低血糖について」(PMDA)
主なところを抜粋しますと、
ピボキシル基を有する抗菌薬は中耳炎などの感染症の治療に汎用さ れていますが、小児等に投与した際に、重篤な低カルニチン血症に伴って低血糖症、 痙攣、脳症等を起こし、後遺症に至る症例も報告されています。
ピボキシル基を有する抗菌薬服用時には、カルニチン排泄が亢進し、低カルニチン血症に至ることがあり、小児(特に乳幼児)では血中カルニチンが少ないため、下記の事項にご留意ください!
・小児(特に乳幼児)への投与においては、血中カルニチンの 低下に伴う低血糖症状(意識レベル低下、痙攣等)に注意し てください。
・長期投与に限らず、投与開始翌日に低カルニチン血症に伴う 低血糖を起こした報告もあります。
・妊婦の服用により出生児に低カルニチン血症が認められた報 告もあります。
<低カルニチン血症、低血糖に至る機序>
ピボキシル基を有する抗菌薬は、消化管吸収を促進する目的で、活性成分本体に ピバリン酸がエステル結合されています。これらの薬は吸収後、代謝を受けてピバ リン酸と活性本体になります。ピバリン酸はカルニチン抱合を受けピバロイルカル ニチンとなり、尿中へ排泄されます。この結果、血清カルニチンが低下することが 知られています。
カルニチンは、食物からの摂取のほか、アミノ酸からの生合成により体内に供給 されます。また、ミトコンドリア内での脂肪酸β酸化に必須な因子です。空腹、飢 餓状態では通常、脂肪酸β酸化によって必要なエネルギーを確保し、糖新生を行い ます。しかし、カルニチン欠乏状態だと脂肪酸β酸化ができず、糖新生が行えない ため、低血糖を来たします。
上述の抗生物質がよく知られた名前ですが、最近普及してきたジェネリック医薬品では同じ薬でも名前が違うので要注意。
<ピボキシル基のある抗生物質一覧>
■ セフカペン ピボキシル塩酸塩水和物:フロモックス、 セフカペンピボキシル塩酸塩
■ セフジトレン ピボキシル:メイアクト、セフジトレンピボキシル
■ セフテラム ピボキシル:トミロン、セトラート、ソマトロン、テラミロン、 テラセフロン
■ テビペネム ピボキシル:オラペネム
■ ピブメシリナム塩酸塩:メリシン
※ これらの医薬品を切り替えて使用しても、ピボキシル基を有する抗菌薬を継続して投与したことになります。なお、長期の漫然とした使用は避けてください。
心配なのが中耳炎を繰り返して長く耳鼻科へ通院している子どもたち。
「おくすり手帳」を見ると、上記の抗生物質が長期にわたり入れ替わり立ち替わり処方されている例も希ではありません。
このような副作用を承知の上で処方されているのか、日々疑問を感じております。
ただ、長期連用でなくても、投与開始翌日に発症した例も報告されています。
抗生物質を処方する際は、期待される治療効果と副作用を秤にかけて塾考する必要があります。
10年前はまだ「かぜ薬=抗生物質」のような社会通念がありました。
受診される患者さんにも抗生物質を処方してくれないと納得しない方が時々いらっしゃいました。
いわゆる「かぜ」の原因の90%はウイルスであり、ウイルスには抗生物質は効きません。
残りの10%の原因が抗生物質が有効な細菌類です。
ですから、風邪で受診された患者さんで抗生物質が有効なのは10人に1人の割合ということ。
それを見極めて適正使用する能力が臨床医に求められる時代になりつつあります。