子どもに「こうあるべき」と教えたいときは、親自身が手本を示せば真似る、という原則があります。
口うるさく云ってしまうのは「自分が行動でお手本を示せないから」言葉と親の権威に頼らざるを得ないと読んだことがあります。
食事の好き嫌いもその要素がありそう、という報告を紹介します;
■ 母乳の味を変えれば野菜好きの子に育つ?
[2017年8月4日/HealthDayNews]
(HealthDay News:2017/08/30)
幼い子どもに野菜好きになってほしければ、母親が授乳中に野菜を食べておくとよいかもしれない。「American Journal of Clinical Nutrition」7月号に掲載された研究で、母親が授乳前に野菜ジュースを飲むと母乳が野菜の風味になり、その母乳を飲んだ子どもは後に同じ味のする食べ物を嫌がる可能性が低くなることが示された。
今回の研究では、母乳育児中の母子97組を5つのグループにランダムに割り付け、第1~第4グループの母親には授乳前に野菜ジュース(ニンジン、セロリ、ビートなど)を半カップ飲んでもらうことにした。その時期は、第1~第3グループではそれぞれ子どもの生後2週間目、1.5カ月目、2.5カ月目から1カ月間とし、第4グループでは生後2週間目から3カ月間とした。第5グループは水を飲む対照群とした。
子どもの離乳後(生後8カ月頃)、母親が子どもに対してプレーンまたはニンジン風味、ブロッコリー風味の離乳食用シリアルを与える様子をビデオ撮影し、子どもの嫌がるサイン(鼻にしわを寄せる、唇を尖らせる、顔をしかめる、スプーンを強く拒絶するなど)を観察した。
その結果、野菜風味の母乳を飲んだ子どもはプレーンなシリアルや不慣れなブロッコリー風味のシリアルよりも、ニンジン風味のシリアルを好むことが分かった。また、生後2週間目から1カ月間、野菜風味の母乳を飲んだ子どもは、他のグループの子どもに比べてニンジン風味のシリアルをより多く、より勢いよく食べていた。この結果について研究では「生後数週間は授乳の頻度が高いためか、もしくは味覚の形成に影響を及ぼしやすい時期であるためだろう」と推測している。
なお、母親の野菜摂取量は研究期間中を通して変化しておらず、8割が推奨量を満たしていなかったが、母親は次第に野菜ジュースの味を好むようになっていた。そのため、その後も子どもに健康的な食べ物を与え続ける可能性が高まっているかもしれないという。
研究を率いた米Monell Chemical Senses CenterのJulie Mennella氏は「乳児の感覚的経験はそれぞれの児に固有のものだが、味覚の経験は子宮内にいるうちから始まり、母親が食べたものによる影響を受ける。母親から与えられる母乳は精密医療の極致といえるだろう」と述べている。母親が野菜を食べると、その風味が羊水や母乳に移行し、子どもに伝わる。それにより子どもが早期から野菜の味を学べば、固形食を取り始めたときに嫌がりにくくなる可能性があるという。
米国栄養・食事療法学会(AND)スポークスパーソンのJennifer McDaniel氏は「他にも複数の研究で、母乳育児により食べ物の好き嫌いを少なくできる可能性が示されている。しかし、母乳育児をできない母親は自分を責めなくてよい。健康的で多様性に富む食事を与えれば、子どもは異なる味や食感を経験して受け入れていき、選り好みしない健康的な食事パターンを身につけられる可能性が高い」とアドバイスしている。
<原著論文>
・Mennella JA, et al. Am J Clin Nutr. 2017; 106: 67-76.
口うるさく云ってしまうのは「自分が行動でお手本を示せないから」言葉と親の権威に頼らざるを得ないと読んだことがあります。
食事の好き嫌いもその要素がありそう、という報告を紹介します;
■ 母乳の味を変えれば野菜好きの子に育つ?
[2017年8月4日/HealthDayNews]
(HealthDay News:2017/08/30)
幼い子どもに野菜好きになってほしければ、母親が授乳中に野菜を食べておくとよいかもしれない。「American Journal of Clinical Nutrition」7月号に掲載された研究で、母親が授乳前に野菜ジュースを飲むと母乳が野菜の風味になり、その母乳を飲んだ子どもは後に同じ味のする食べ物を嫌がる可能性が低くなることが示された。
今回の研究では、母乳育児中の母子97組を5つのグループにランダムに割り付け、第1~第4グループの母親には授乳前に野菜ジュース(ニンジン、セロリ、ビートなど)を半カップ飲んでもらうことにした。その時期は、第1~第3グループではそれぞれ子どもの生後2週間目、1.5カ月目、2.5カ月目から1カ月間とし、第4グループでは生後2週間目から3カ月間とした。第5グループは水を飲む対照群とした。
子どもの離乳後(生後8カ月頃)、母親が子どもに対してプレーンまたはニンジン風味、ブロッコリー風味の離乳食用シリアルを与える様子をビデオ撮影し、子どもの嫌がるサイン(鼻にしわを寄せる、唇を尖らせる、顔をしかめる、スプーンを強く拒絶するなど)を観察した。
その結果、野菜風味の母乳を飲んだ子どもはプレーンなシリアルや不慣れなブロッコリー風味のシリアルよりも、ニンジン風味のシリアルを好むことが分かった。また、生後2週間目から1カ月間、野菜風味の母乳を飲んだ子どもは、他のグループの子どもに比べてニンジン風味のシリアルをより多く、より勢いよく食べていた。この結果について研究では「生後数週間は授乳の頻度が高いためか、もしくは味覚の形成に影響を及ぼしやすい時期であるためだろう」と推測している。
なお、母親の野菜摂取量は研究期間中を通して変化しておらず、8割が推奨量を満たしていなかったが、母親は次第に野菜ジュースの味を好むようになっていた。そのため、その後も子どもに健康的な食べ物を与え続ける可能性が高まっているかもしれないという。
研究を率いた米Monell Chemical Senses CenterのJulie Mennella氏は「乳児の感覚的経験はそれぞれの児に固有のものだが、味覚の経験は子宮内にいるうちから始まり、母親が食べたものによる影響を受ける。母親から与えられる母乳は精密医療の極致といえるだろう」と述べている。母親が野菜を食べると、その風味が羊水や母乳に移行し、子どもに伝わる。それにより子どもが早期から野菜の味を学べば、固形食を取り始めたときに嫌がりにくくなる可能性があるという。
米国栄養・食事療法学会(AND)スポークスパーソンのJennifer McDaniel氏は「他にも複数の研究で、母乳育児により食べ物の好き嫌いを少なくできる可能性が示されている。しかし、母乳育児をできない母親は自分を責めなくてよい。健康的で多様性に富む食事を与えれば、子どもは異なる味や食感を経験して受け入れていき、選り好みしない健康的な食事パターンを身につけられる可能性が高い」とアドバイスしている。
<原著論文>
・Mennella JA, et al. Am J Clin Nutr. 2017; 106: 67-76.