一病息災〜心房細動とその周辺

心房細動の治療は日進月歩。目に留まった記事の備忘録です。
他に、生活習慣病や自分に関係ありそうな健康問題も。

テストステロンの真実 〜謎多き男性ホルモン〜

2019年11月10日 12時38分45秒 | 加齢現象
 NHK-BS1で2019.9.25に放送された番組です。

 少し前に、同じNHKの番組で夫婦の危機に関する内容を見たことがあります。
 その時に印象的だったのは、妻の方が経済的優位に立ち、家も仕切っている夫婦の血液中テストステロン値を測定したところ、なんと妻の方が多かった、という衝撃的事実。
 確かに、その妻は草食系のおとなしそうな夫を叱り飛ばしていて、一般夫婦のイメージと逆になっていました。

 女性でも男性ホルモンであるテストステロンが分泌されていることは知っていましたが、微量であり、男性を上回ることがあることは知りませんでした。

 今回番組を見て、世界中の研究者がテストステロンの正体を見極めようと現在進行形で研究中であることがわかりました。
 研究者のコメントは断定的ではなく、「こういうデータがある」と紹介するパターンが多く、煮え切らない印象がありました。
 様々な可能性を検証しつつ、結局「テストステロンの作用は単純ではない」というどっちつかずの結論でした。

 ・・・その中でもとくに「!」と感じたのは・・・

「内臓脂肪はテストステロンをエストロゲンへ変えるので、テストステロン値は低下する」

 とりあえず、肥満はよくない、ということは確定。



内容紹介
 ドーピングで話題になるテストステロンだが、実は複雑な働きをしていることがわかった。筋肉だけでなく精神面にも作用するという謎の男性ホルモンに、最先端の科学で迫る。
 筋肉隆々のボディと結び付けられるテストステロン。男性ホルモンの代表で、スポーツ界のドーピングでも話題となるが、実際には、肉体だけでなく精神や行動に複雑な影響を与えることがわかってきた。テストステロンが多いと、気前が良くなるという実験結果も!しかしそれは善人になるわけではないらしい。さらに、脳の発育や言語能力にも関係するなど、欧米の最先端の科学的知見から、テストステロンの真実に迫る。



 印象に残ったことをメモしておきます。


テストステロンの分泌
・男性:精巣(ライディッヒ細胞)95%、副腎皮質5%
・男性の分泌は思春期になると急増し、その後はあまり変わらない。
・正常範囲:8-12nmol/ml
・女性は男性の10%程度。

テストステロン欠乏症
・テストステロンを使ったホルモン補充療法では、精子がうまく作れなくなる可能性がある。下垂体からのFSH、LHの刺激で精子が作られるが、外からテストステロンが補充されるとFSH/LHが分泌されず、精子が作られなくなる。
・子どもを望む場合は補充療法にゴナドトロピン(FSH、LH)を用いる。するとテストステロン生成と精子形成が可能になる。

テストステロン過剰症
・攻撃性/支配欲が増す(?)。

動物の観察研究:攻撃性とテストステロン分泌の関係
①チンパンジー(オス優位の社会)
・トップのオスがより攻撃的になり、それを周囲に示すようになったときに上昇
・妊娠可能なメスが集団に突然は行ってきたときに上昇
②ボノボ(メス優位の社会)
・オスはテストステロンが少ない方がメスと出会いやすい。

ヒトではテストステロンがどう行動に結びつくかよくわかっていない。
・攻撃性と関係あるという報告と、逆の報告が混在する。
・テストステロン=攻撃性、と単純ではないようだ。
・テストステロンが男性らしさと関係するというのは俗説で、データはない。

テストステロンは社会的ホルモンである。
・投与実験において、投与群では攻撃的になるほか、気前が良くなる、行動が寛大になることが判明。
・テストステロンは社会的地位を維持する行動に向かわせる。報酬系と呼ばれる脳の部位と関係があるようだ。
・他者への信頼とそれに対する反応を調べた実験では、投与群では社会性のある行動を取る傾向がある(利他的である)。社会性の発揮は権力の行使と捉えることもできる。

テストステロンは骨の成長に関与する。
・骨はテストステロンとエストロゲンの影響を受ける。

□ テストステロンの男女差
・羊水中のテストステロン濃度は、男児の方が女児よりはるかに多い。妊娠の早い段階からテストステロンの脳の発達への影響が始まっている。
・羊水テストステロン濃度が低いほど、2歳時の語彙が少ない。

テストステロンと父性
・子どもと楽しく遊んでいるときの父親のテストステロンは低下している。
・仲のいい夫婦の男性はテストステロンが低い。

男性更年期とテストステロン
・男性は若い頃と同じレベルのテストステロンを80歳まで分泌する能力があるので、女性と同じような更年期は存在しない。
・内臓脂肪はテストステロンをエストロゲンに変えるので、テストステロン値を低下させる(ほかにインスリン抵抗性、高血圧などを引き起こす)。生活習慣を見直し、内臓脂肪を減らすと元に戻ることが確認されている。

コルチゾール(副腎皮質ホルモンのひとつ)はテストステロンの影響が行動につながることをブロックする。
・デュアルホルモン仮説。

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