三大栄養素をバランスよく摂取するのがよい食生活ですが、
現在、栄養学の常識が揺らいでいます。
そう、炭水化物制限(=糖質制限)が登場してから。
従来の糖尿病患者の病院での食事指導は「バランス食」「カロリー制限」でした。
しかし、食事指導を守っていても糖尿病が治るわけではありません。
なぜ?
それは糖尿病の薬物治療は、
「今までの食生活を続けられるように薬を使う」
という面があるからです。
治療薬としてのインスリンが登場した際のキャッチコピー(?)は、
「今までの食生活が続けられます」
「ご飯を我慢しなくても大丈夫」
という類いでした。
その後、京都の江部先生らが提唱した「糖質制限」。
糖質を減らすことにより、薬のいらない体をつくり、
健康を取り戻そう、というスタンスです。
こちらの方が理にかなっていると私は感じます。
実は、インスリンが登場する以前は、
糖尿病の食事指導は「糖質制限食」でした。
これらのことを踏まえ、
「バランスのよい食事」を考えてみます。
①カロリー制限派と②糖質制限派が推奨する、
三大栄養素の摂取バランスを比較してみます。
カロリー制限 糖質制限
糖質: 60% 30%
脂質: 20% 45%
タンパク質: 20% 25%
私が意外に感じたのは、
糖質を減らす代わりに増やすのは、
タンパク質ではなくて主に脂質だということ。
基本的に糖質制限では、
糖質制限に気を遣いますが、
タンパク質と脂質は特に制限がいらないとされています。
ここが、すべてのカロリーを細かく計算して管理する、
カロリー制限より手軽な点です。
糖質制限では、
カロリーの高い肉料理や揚げ物も我慢しなくてよく、
アルコールも蒸留酒なら適量楽しめます。
カロリー制限ではこれらは“禁断の味”として厳しく制限されます。
上記2つのの食生活を1年間続けて比較した研究があり、
体重、腹囲、血糖値いずれも、
糖質制限の方が効果が高いという結果でした。
私自身、5年以上ゆるい糖質制限食を続けています。
おかず(肉と魚と大豆)と野菜中心の食生活で、
主食(ごはん、パン、パスタなど)を食べない生活。
おかずだけ食べると、
日本の食事はしょっぱいことに気づかされます。
白米がはかどるように、
味付けが濃く、塩分が多くなっているのです。
おかげさまで、おかずの味付けが皆薄味になりました。
これは高血圧対策として有効です。
じつはご飯がないと、タンパク質はたくさん食べれません。
「この辺でいいかな」で食事が終わります。
食後も体が重くなることはなく、すぐに動けます。
いわゆる満腹感は、炭水化物の影響であることがわかりました。
胃もたれもそうですね。
最近、成分がよくわからない食事をしたとき、
胃のもたれ具合で炭水化物の含有量がおおよそわかるようになりました。
<参考>
・「面白いほどよくわかる糖質の新常識」(前川智著、宝島社、2022年発行)