小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

予防接種情報2024〜乳児をRSウイルスから守る戦略

2024年11月12日 07時49分07秒 | 予防接種
前項目で高齢者用のRSウイルス・ワクチンを紹介しました。

▶ 高齢者向けワクチン

使用するワクチン:アレックスビー筋注用®(グラクソ・スミスクライン社)
効果:RSウイルスによる感染症予防
用法:60歳以上に1回、0.5mLを筋肉内注射
国内製造販売承認:2023年9月25日(2024年1月販売開始)

上記ワクチンは乳児をRSウイルスから守る予防医療の一環でもあります。
現在構築されつつあるRSウイルス感染症の予防戦略を説明します。

2024年11月時点で、ハイリスク児に対するモノクローナル抗体製剤(ワクチンではありません)が2剤存在します。
接種方法、対象者が異なりますので要注意。

▶ 乳児に対する予防戦略(モノクローナル抗体)

①パリビズマブ(シナジス®)
用法:0.15mL/kg、流行期に「月1回」筋注(投与量は体重により異なる)

②ニルセビマブ(ベイフォータス®)
用法:流行期に「1回のみ」筋注

さらに妊婦にワクチンを接種して抗体を作り、
その抗体が胎盤を通して胎児に移行することにより、
出生児の命を守るという製剤も登場しました。

▶ 妊婦を介しての予防戦略(妊婦向けワクチン)

ワクチン:組み換えRSウイルス・ワクチン(アブリスボ®)ファイザー社
効果:妊婦への能動免疫による新生児及び乳児のRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防
用法:妊娠24週(推奨は28週)〜36週の妊婦、1回、0.5mL筋肉内注射
国内製造販売承認: 2024年1月18日(販売開始は未定)

なお、アブリスボとハイリスク児に対するシナジス、ベイフォータスは併用可能です。

<参考>
(日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会)

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