従来「レジオネラ感染症=循環風呂」というイメージがありました。
■ 「広島入浴施設でレジオネラ集団感染、死亡例も」
(2017/5/8:日経メディカル)
しかし今回は加湿器が原因でした。
「塩素系洗剤ですべての加湿器のタンクなどを洗った」ものの、それでも感染者が出現し、「洗剤を使っても、菌がぬめり(生物膜)の中で守られていた可能性」が指摘されました。
※ 下線は私が引きました。
■ 加湿器からレジオネラ菌、肺炎で高齢男性死亡
(2018年1月20日:読売新聞)
大分県は19日、同県国東くにさき市の高齢者施設で入所者と利用者の男性計3人(80~90歳代)がレジオネラ症による肺炎を発症し、このうち90歳代男性1人が死亡したと発表した。
施設内にあった加湿器からレジオネラ菌が検出されており、県は加湿器が感染源とみている。
県によると、昨年12月17日と同23日、ともに80歳代の入所者2人が相次いで発熱やせきの症状を訴え、市内の病院に入院。県東部保健所が同28日、施設内の浴槽などを調べたが、菌は検出されなかった。2人は快方に向かった。
しかし今月13日、短期入所中の90歳代男性が同じ症状を訴えて入院し、翌日に死亡。保健所が施設を再検査したところ、先に感染した2人のそれぞれの部屋にあった加湿器2台からレジオネラ菌が検出された。
■ 加湿器の洗浄「週1回」だった レジオネラ感染で施設長
(2018年02月01日:朝日新聞デジタル)
大分県国東市の高齢者施設の利用者3人がレジオネラ菌に感染して1人が死亡した問題で、施設長が31日、朝日新聞の取材に応じた。加湿器が感染源となる認識はなく、毎日の洗浄や乾燥もしていなかったという。施設長は「それが菌繁殖の原因になった可能性がある」との見方を示した。
施設では昨年12月、入所者の80代男性2人の感染が判明した。県はレジオネラ菌の感染源となることが多い風呂場を調べたが、検出されなかった。次の感染者を出さないよう、風呂場に加えて加湿器も清掃、消毒するよう県から指導されたことで、施設長は「加湿器も感染源となりうることを知った」という。
約50人が入所するこの施設では、インフルエンザ対策として計20台ほどの加湿器を各部屋に設置。24時間動かしていた。約2年ごとに買い替えており、今回レジオネラ菌が検出された2台は2016年冬に購入したものだった。週に1度、すべての加湿器のタンクを洗っていたが、施設長は「湿度を維持するため、24時間使い続けていた。毎日洗って乾燥するのは難しかった」と話した。
県の指導を受けて、塩素系洗剤ですべての加湿器のタンクなどを洗ったが、1月になって再び、ショートステイで施設を利用していた90代男性が感染し、レジオネラ肺炎で死亡した。県は「洗剤を使っても、菌がぬめり(生物膜)の中で守られていた可能性がある」とみている。
施設は1月18日、利用者らの家族を集めて謝罪し、経緯と再発防止策などを説明したという。元の加湿器はすべて廃棄し、除菌効果のある水を使う新しい加湿器を27日から導入した。加湿器以外にも、レジオネラ菌の感染源となりうる風呂場の床をすべて張り替え、空調設備も業者に依頼して洗浄したという。
施設長は「亡くなった人と遺族、すべての利用者、そして心配をかけた地域の方々に申し訳ない。他の高齢者施設では、同じことが起こらないよう注意してほしい」と話している。
◇ 県の想定「風呂場だけ」、改める
90代男性の死亡後に施設の風呂場を調べていた県は調査を終え、レジオネラ菌は検出されなかったと発表した。「加湿器が感染源とみられる」と結論づけた。
県によると、感染者と加湿器から採取したレジオネラ菌の遺伝子が一致するかは確認できなかったため、感染源は特定できなかった。ただ、ほかの場所から菌が検出されなかったことから、加湿器を感染源と推定したという。
県が調査で使うチェックリストは、感染源としての想定は風呂場だけだったという。「今後はすべてを疑ってかかることが重要」(担当者)として、リストに加湿器や空気清浄機、エアコン、車などを加えるという。
■ 「クエン酸を使用した加湿器のお手入れ」(e-すまい)
■ 「加湿器の手入れが楽で簡単な方法!クエン酸を使って清潔に感染予防!」(various search)
■ 「加湿器のお手入れ法 クエン酸液で水あか除去」(毎日新聞:2016年11月22日)より
加湿の方法には、超音波式▽スチーム式▽気化式▽ハイブリッド式--の4種類がある。どの方式も水道水を使うため、放っておけば噴出口やタンクに水あかが付き、最終的には雑菌がわく。お手入れは必須だ。
水あかは水の中のミネラル分が固まったものなので、薬局や100円ショップなどで買える「クエン酸」約6グラムを1リットルの水に溶かした液で除去する。メーカーが加湿器用に売る洗浄剤もある。ちなみに、塩素臭を嫌って浄水器を通した水を使うのは厳禁。殺菌力が働かず、タンクで雑菌が繁殖してしまう。
人気の卓上型は、ほとんどが超音波式。水を振動で砕いて噴出させ、霧吹きのように加湿する。電気消費量が少なくアロマも使えるが、この方式は構造上水あかがつきやすく雑菌が生じやすい難点がある。また、超音波式の水の粒子は水蒸気より粒が大きいため雑菌を含みやすい。過去にレジオネラ菌発生、人への感染が報告されたこともある。クエン酸液をつけた綿棒で吹き出し口や給水口をぬぐうなど、お手入れは毎日した方が望ましい。
最近は、タンク内の水を紫外線や抗菌剤などで除菌する製品や、水に加える除菌剤なども登場しているので活用するのも一つの手だ。
スチーム式は湯をわかして蒸気を出すイメージで素早く潤う。加熱するため菌は発生しないが電気代が高く、多くは吹き出し口が90度程度に熱くなる欠点がある。しかしヤマダ電機の佐久間さんによると、電気ポットと同じ構造のスチーム式の製品は、40~50代によく売れているという。面倒なお手入れも、ポットと同じやり方なので使いやすいらしい。
気化式はぬれた布に風をあてるイメージで非常に電気代が安い。大きい運転音が難点だが、最近はモーターや制御機器などで改善している。ハイブリッド式はぬれた布に温風をあてるイメージ。スチーム式と気化式の良い点を取り入れた形で、気化式よりは電気代がかかる。両方式はともにフィルターを使うのでお手入れが必要だ。
加湿フィルターは目地に水あかがつくと給水できずに加湿能力が落ちる。放っておくとカビも生える。機種により、少なくとも月1回、多くて週1回はお手入れが必要だ。通常は紙製だが、パナソニックは汚れが落ちやすく、基本的に押し洗いで済む布製フィルターを開発するなど、各社工夫している。フィルターの寿命は布製が10年、紙製は最大8年ほど。機種によって1年のものもあるという。ただしヤマダ電機の佐久間さんは「いずれも取扱説明書通りの頻度でお手入れをすれば、の話」とくぎを刺す。
掃除が面倒な人には、特殊な紙をぬらして自然に気化させる雑貨がおすすめだ。加湿能力は高くないが、ただ器に水を入れておくだけより10倍程度潤せるという。デザイン性が高く、プレゼントにも最適だ。