小児アレルギー科医の視線

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「紹介状ください」のストレス

2024年10月07日 15時22分38秒 | 予防接種
前回、「アレルギー検査希望」のストレスをつぶやきました。
今回は「紹介状ください」のストレスです。

学術的(病気やアレルギー)な話ではないので、
そのような目的の方はスルーしてください。

こんな患者さんが来院しました。

「しばらく前から鼻水が止まらなくて近くの耳鼻科に通院していましたが、
 処方された薬を飲んでいるけどよくならない、
 そのうち咳も始まってつらそう、
 咳止めも処方されたけどよくならない・・・」

「診断名もはっきり言われておらず、
 心配になってこちらを受診しました」

という経過でした。話を詳しく聞くと、

耳鼻科で処方された薬は抗アレルギー薬で、
鼻汁は透明だったり白濁していたり・・・

という情報から私は「鼻副鼻腔炎の後鼻漏による咳嗽」を疑いました。
アレルギー性鼻炎であれば透明な鼻汁が続くはずです。
鼻汁が透明だったり白濁したり・・・という現象は風邪の反復です。

私はまず、副鼻腔炎の治療を提案しました。
それをターゲットにした薬の反応を見て次の一手を考えましょう、と。

「じゃあ、頑張って薬を飲ませてみます」

と診療が一旦終了しました。
・・・でもその直後、患者さんが「追加の話がある」とのこと。

看護師さんに間接的に聞いてもらうと、
「大きな病院に紹介状を書いて欲しい」
と希望しているらしい。

「えっ?」

と怪訝な表情に私がなったことは皆さんも想像できると思います。

長引く鼻水と咳はアレルギーより感染症の可能性が高いと思われ、
その治療をしてみましょうと提案し、納得してもらったと思っていたのに、
「アレルギーに関して大きな総合病院の診療を希望します」
という反応は、私を信頼していないということです。

「わかりました、それなら紹介状を書きますので、
 そちらでお薬ももらってください。」

と怒りを抑えて紹介状を書き、処方箋の薬を消しました。
初めから「紹介状目的の受診」だったのですね。
まあ、このような患者さんは時々いますので、
仕方がないか・・・。

しかし、意外な反応が返ってきました。

「かぜ薬は出してください」
「かぜ薬も出してくれないなんて信じられない」

と怒り始めたのです。

・・・私の話、聞いてました?

この患者さんとの信頼関係構築は諦めました。
しょうもないつぶやきをここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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