エピペン®は、小児科医にとっては重症の食物アレルギー患者さん(アナフィラキシー・タイプ)に処方する携帯用薬剤です。
中身はアドレナリンという、蘇生にも使う劇薬。
当初は林業に従事する人たちのハチ毒アレルギー用として登場しましたが、その後食物アレルギーにも使えるようになりました。
その頃は、小児科医でも講習を受けなければ処方できなかったと記憶しています。
所持しているのが患者さん自身であり、エピペン®を使う必要な場合は基本的に患者さんは重症状態。
自分で注射することが困難なことが多いので、周囲の人たちが注射すべき場面も出てきます。
こういう場合は家族が行うのが慣例でしたが、学校や遠方ではいつでも家族が駆けつけられるわけではなく、物理的に困難を伴います。
すると対処が遅れて命取りになる可能性も出てきます。
この状況を解決するため、患者さんがアナフィラキシーに遭遇した際、“周囲の人たち”も注射してよい、という流れができました。
はじめは患者さんが搭乗した救急車の救命救急士、
次に学校教師、
次に保育園の保育士、
そして現在は「保育所で教職員が行う場合に限らず、医師等以外の無資格がエピペンを使用することも可能」というところまできました。
患者さんとその家族、小児科医、学会などによる努力のたまものです。
ここまでの歴史を群馬大学小児科教授の荒川浩一先生が「群馬小児アレルギー親の会会報 2018.10 No.61」にまとめているのを見つけましたので、メモしておきます。
(1987年)米国FDA(食品医薬品局)で承認され販売開始。
(1996年)米国から輸入し日本で国有林の現場職員に「ハチ刺症によるアナフィラキシー」に“治験的扱い”として所持させ効果を上げた。
(2003年)8月:厚生労働省から承認され販売。適応は「蜂毒に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療」。
(2005年)「食物や薬物等によるアナフィラキシー反応」及び「小児」への適応を取得。この時点では保険適応はなく全額自己負担。
(2009年)3月:救命救急士によるエピペン使用が可能となる。
(2009年)7月:「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」(文部科学省)において学校教職員によるエピペン使用が可能となる。
(2011年)3月:「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」(厚生労働省)保育所職員によるエピペン使用が可能となる。
(2011年)9月:薬価収載され保険適応となる。処方医に対する講習の実施と、未使用製剤の回収が承認条件。
(2013年)6月:NPO法人が非医療従事者(教職員等以外を含む)におけるエピペンの取り扱いを厚生労働省に問い合わせした返答「保育所で教職員が行う場合に限らず、反復継続する意志がない場合には“医業”に当たらず、医師等以外の無資格がエピペンを使用することも可能」。
★ 学校教職員や保育所職員の場合は、保護者からの「管理指導表」を得て、ある意味契約を交わして、代理注射を行う図式になっている。
というわけで、患者さんがアナフィラキシーに遭遇し自分でエピペンを注射できない状況に陥った際は、(限定はされますが)周囲の人たちが注射しても問題ない、という環境が少しずつ整ってきました。
ただ、医療関係者以外が劇薬の注射をすることは当然躊躇される行為であり、事前の講習やシミュレーションを十分行うことが必要であることは言うまでもありません。
中身はアドレナリンという、蘇生にも使う劇薬。
当初は林業に従事する人たちのハチ毒アレルギー用として登場しましたが、その後食物アレルギーにも使えるようになりました。
その頃は、小児科医でも講習を受けなければ処方できなかったと記憶しています。
所持しているのが患者さん自身であり、エピペン®を使う必要な場合は基本的に患者さんは重症状態。
自分で注射することが困難なことが多いので、周囲の人たちが注射すべき場面も出てきます。
こういう場合は家族が行うのが慣例でしたが、学校や遠方ではいつでも家族が駆けつけられるわけではなく、物理的に困難を伴います。
すると対処が遅れて命取りになる可能性も出てきます。
この状況を解決するため、患者さんがアナフィラキシーに遭遇した際、“周囲の人たち”も注射してよい、という流れができました。
はじめは患者さんが搭乗した救急車の救命救急士、
次に学校教師、
次に保育園の保育士、
そして現在は「保育所で教職員が行う場合に限らず、医師等以外の無資格がエピペンを使用することも可能」というところまできました。
患者さんとその家族、小児科医、学会などによる努力のたまものです。
ここまでの歴史を群馬大学小児科教授の荒川浩一先生が「群馬小児アレルギー親の会会報 2018.10 No.61」にまとめているのを見つけましたので、メモしておきます。
(1987年)米国FDA(食品医薬品局)で承認され販売開始。
(1996年)米国から輸入し日本で国有林の現場職員に「ハチ刺症によるアナフィラキシー」に“治験的扱い”として所持させ効果を上げた。
(2003年)8月:厚生労働省から承認され販売。適応は「蜂毒に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療」。
(2005年)「食物や薬物等によるアナフィラキシー反応」及び「小児」への適応を取得。この時点では保険適応はなく全額自己負担。
(2009年)3月:救命救急士によるエピペン使用が可能となる。
(2009年)7月:「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」(文部科学省)において学校教職員によるエピペン使用が可能となる。
(2011年)3月:「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」(厚生労働省)保育所職員によるエピペン使用が可能となる。
(2011年)9月:薬価収載され保険適応となる。処方医に対する講習の実施と、未使用製剤の回収が承認条件。
(2013年)6月:NPO法人が非医療従事者(教職員等以外を含む)におけるエピペンの取り扱いを厚生労働省に問い合わせした返答「保育所で教職員が行う場合に限らず、反復継続する意志がない場合には“医業”に当たらず、医師等以外の無資格がエピペンを使用することも可能」。
★ 学校教職員や保育所職員の場合は、保護者からの「管理指導表」を得て、ある意味契約を交わして、代理注射を行う図式になっている。
というわけで、患者さんがアナフィラキシーに遭遇し自分でエピペンを注射できない状況に陥った際は、(限定はされますが)周囲の人たちが注射しても問題ない、という環境が少しずつ整ってきました。
ただ、医療関係者以外が劇薬の注射をすることは当然躊躇される行為であり、事前の講習やシミュレーションを十分行うことが必要であることは言うまでもありません。