小児アレルギー科医の視線

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ロシアの医療制度について

2017年10月26日 08時13分39秒 | 医療問題
 目面シイロシアの医療制度の記事が目にとまりました。
 なんとLancetの論文です。

■ ロシアの医療制度の概要
(The Lancet:2017.10.23)
 現代のロシア医療制度は、これまでの経緯から発生した医療問題に取り組む上で深刻な問題に直面している。
 ロシアの医療制度は、ソビエト連邦下で提供されていたセマシュコの医療モデルの主な特徴を留めている。このモデルは国民全員に対して無料で医療を受ける権利を与え、1918年の布告は世界で初めての国民皆保険制度であった。この医療を受ける権利を確保するための公共医療施設の大規模なネットワークが築かれたが、実際には、医療へのアクセスは国民全員に対して平等ではなかった。重点産業の従業員、大都市の市民、公務員は最善の設備やスタッフの整った医療施設で治療を受けていた。
 1992年から1999年の社会主義から市場経済への移行期に生じた経済危機は、医療へのアクセス可能性に甚大な影響を与えた。公的資金削減のため、公共医療機関による医療サービスの有料化が認められるようになった。2016年後半のロシア長期家計モニタリング調査の最新データによると、患者の27%は医療費を自己負担していた。

<原著>
Shishkin S. How history shaped the health system in Russia. Lancet. 2017 Sep 30;390(10102):1612-1613. doi: 10.1016/S0140-6736(17)32339-5.


 社会主義制度が理想郷として実験的に作られたソ連邦という国。
 しかし「すべての国民が平等」という思想は、いくら働いても給料は同じなので人間から労働意欲を奪い、汚職がはびこって終焉を迎えました。
 おそらく医療制度も表だっては平等を謳いながらも特権階級のみ優遇されたことでしょう。
 現在は医療サービスが有料化してアメリカのトランプ政権並みでしょうか。
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