グローバル化した世界の視点で、国内の感染症対策をみつめる必要があります。
それは「入国・帰国者による持ち込み感染症(輸入感染症)」です。
風疹に関する記事を紹介します;
■ 海外出張後の体調不良が思わぬ感染源に〜抗体保有率低い男性群の風疹が依然問題
(2018.1.24:メディカル・トリビューン)
2月4日は"風疹(ゼロ)の日"。同月いっぱいを"風疹ゼロ"月間と定め、妊婦の風疹ウイルス感染を防いで先天性風疹症候群(CRS)児の出生をゼロにし、風疹の完全制御を目指す活動が始まる。風疹ゼロプロジェクト作業部会代表で日本産婦人科医会常務理事の平原史樹氏は、抗体保有率が低い30~50歳代の男性で風疹ワクチンを接種せずに海外出張し、帰国後体調不良を自覚しつつも出社して出張先で感染した風疹を妊娠中の女性に二次感染させた事例を紹介。国と医療従事者、企業が一体となって風疹対策に取り組む必要性を、1月17日に東京都で開かれた同医会記者懇談会で訴えた。(関連記事「男性の海外出張による"輸入感染症"、児の先天風疹症候群の原因に」)
◇ 依然として日本は風疹流行の準備状態
風疹ゼロプロジェクトは、昨年(2017年)2月に日本産科婦人科医会を中心に開始され、
①麻疹・風疹(MR)混合ワクチン接種の啓発活動を全国規模で推進
②適切なワクチン接種の推進策を提言
③ワクチン未接種者の低減に向け有効な方策を発信
―を行うプロジェクトである。
これまで風疹は反復流行し、多くのCRS児が出生した。依然、日本は流行の準備状態にあり、大規模な国際交流イベントの開催時に大流行する傾向が見られる。日本では2020年に東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控えていることから、厚生労働省は同年までに風疹の排除を目標としている。
風疹ゼロプロジェクトは、昨年に引き続き今年も次の4つのスローガンを掲げた。
1.海外に出かけるなら風疹の用心と万全の対策を!
2.海外から帰国後の体調異変はもしかしたら風疹かも! 診察を受けてから職場へ
3.30~50歳代の男性は風疹への抵抗力が弱い人が多く、ぜひMRワクチンを接種してください(かかりつけ医、職場健康相談で尋ねてください)
4.妊娠を考えているおふたりへ風疹対策は大丈夫ですか? 予防接種は妊娠前に忘れずに!
(各市町村で風疹抗体検査女性事業が実施されています―詳しくは保健所へ)
◇ CRS の約7割は職場での二次感染が原因
スローガンの主なポイントは、海外渡航者へのワクチン接種と帰国後の体調管理の推奨にある。現在38歳6カ月以上の男性(1979年4月2日以前に出生)と55歳6カ月以上の女性(1962年4月2日以前に出生)は風疹含有ワクチンの定期予防接種制度の対象ではなく、接種の機会がなかったため抗体保有率が低い。特により海外出張の機会が多い男性が、風疹の流行国であるインド、中国、インドネシアに渡航した場合、感染しやすい。
帰国後、体調不良を感じても風疹感染に気付かずにかぜだと思い込み、受診せずに出社することで、感染を拡大させてしまう。
2012/13年の風疹の流行時に公表されたCRS出生児数は45例に上った。しかし、平原氏は「45例はあくまで公的にCRSと認定された患児の数で、実際のところは分からない。人工妊娠中絶を余儀なくされた妊婦も存在した」と述べた。 同氏によると、45例中約7割は職場での二次感染によるものだったという。それにもかかわらず大々的な報道はされず、渡航者の風疹ワクチンの接種率は高くない。 今年はスローガンに、MRワクチン接種が必要な年齢層を具体的に示し、接種を呼びかける。
なお、"風疹ゼロ"プロジェクトの協力要請組織・共同行動組織・機関には、厚労省、経済産業省、外務省、国立感染症研究所、日本医師会、関連学会の他、妊娠中に風疹に罹患して出産した母親とCRSの当事者グループ・風疹をなくそうの会など多数の組織が名を連ねている。
<参考>
□ 「麻疹・風疹の現状と対策ー輸出国から輸入国へー」(2017.11.5岡部信彦先生講演スライド)
それは「入国・帰国者による持ち込み感染症(輸入感染症)」です。
風疹に関する記事を紹介します;
■ 海外出張後の体調不良が思わぬ感染源に〜抗体保有率低い男性群の風疹が依然問題
(2018.1.24:メディカル・トリビューン)
2月4日は"風疹(ゼロ)の日"。同月いっぱいを"風疹ゼロ"月間と定め、妊婦の風疹ウイルス感染を防いで先天性風疹症候群(CRS)児の出生をゼロにし、風疹の完全制御を目指す活動が始まる。風疹ゼロプロジェクト作業部会代表で日本産婦人科医会常務理事の平原史樹氏は、抗体保有率が低い30~50歳代の男性で風疹ワクチンを接種せずに海外出張し、帰国後体調不良を自覚しつつも出社して出張先で感染した風疹を妊娠中の女性に二次感染させた事例を紹介。国と医療従事者、企業が一体となって風疹対策に取り組む必要性を、1月17日に東京都で開かれた同医会記者懇談会で訴えた。(関連記事「男性の海外出張による"輸入感染症"、児の先天風疹症候群の原因に」)
◇ 依然として日本は風疹流行の準備状態
風疹ゼロプロジェクトは、昨年(2017年)2月に日本産科婦人科医会を中心に開始され、
①麻疹・風疹(MR)混合ワクチン接種の啓発活動を全国規模で推進
②適切なワクチン接種の推進策を提言
③ワクチン未接種者の低減に向け有効な方策を発信
―を行うプロジェクトである。
これまで風疹は反復流行し、多くのCRS児が出生した。依然、日本は流行の準備状態にあり、大規模な国際交流イベントの開催時に大流行する傾向が見られる。日本では2020年に東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控えていることから、厚生労働省は同年までに風疹の排除を目標としている。
風疹ゼロプロジェクトは、昨年に引き続き今年も次の4つのスローガンを掲げた。
1.海外に出かけるなら風疹の用心と万全の対策を!
2.海外から帰国後の体調異変はもしかしたら風疹かも! 診察を受けてから職場へ
3.30~50歳代の男性は風疹への抵抗力が弱い人が多く、ぜひMRワクチンを接種してください(かかりつけ医、職場健康相談で尋ねてください)
4.妊娠を考えているおふたりへ風疹対策は大丈夫ですか? 予防接種は妊娠前に忘れずに!
(各市町村で風疹抗体検査女性事業が実施されています―詳しくは保健所へ)
◇ CRS の約7割は職場での二次感染が原因
スローガンの主なポイントは、海外渡航者へのワクチン接種と帰国後の体調管理の推奨にある。現在38歳6カ月以上の男性(1979年4月2日以前に出生)と55歳6カ月以上の女性(1962年4月2日以前に出生)は風疹含有ワクチンの定期予防接種制度の対象ではなく、接種の機会がなかったため抗体保有率が低い。特により海外出張の機会が多い男性が、風疹の流行国であるインド、中国、インドネシアに渡航した場合、感染しやすい。
帰国後、体調不良を感じても風疹感染に気付かずにかぜだと思い込み、受診せずに出社することで、感染を拡大させてしまう。
2012/13年の風疹の流行時に公表されたCRS出生児数は45例に上った。しかし、平原氏は「45例はあくまで公的にCRSと認定された患児の数で、実際のところは分からない。人工妊娠中絶を余儀なくされた妊婦も存在した」と述べた。 同氏によると、45例中約7割は職場での二次感染によるものだったという。それにもかかわらず大々的な報道はされず、渡航者の風疹ワクチンの接種率は高くない。 今年はスローガンに、MRワクチン接種が必要な年齢層を具体的に示し、接種を呼びかける。
なお、"風疹ゼロ"プロジェクトの協力要請組織・共同行動組織・機関には、厚労省、経済産業省、外務省、国立感染症研究所、日本医師会、関連学会の他、妊娠中に風疹に罹患して出産した母親とCRSの当事者グループ・風疹をなくそうの会など多数の組織が名を連ねている。
<参考>
□ 「麻疹・風疹の現状と対策ー輸出国から輸入国へー」(2017.11.5岡部信彦先生講演スライド)